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彗星のように

知らない土地の空気を肺に目一杯詰め込む。

春の霞がかった空を眺めた。雲と空が溶けているような境目のないぼやけた空。
僕とハイエロファントの関係に似ている空。

各地を転々としてきた僕には友達と呼べるような存在がいない。
とりわけ内向的、というわけではなかったのだが、とにかくいなかった。
たわいのない話をするクラスメイトなどはいたがそれまでの関係。
親はとてもそれを気にしているようだったが僕は何不自由を感じたことがなかった。

ハイエロファントがいるから。
喋ることはないが見守られているようなそんな気分にさせてくれる。

昼の中庭のベンチは暖かく、あまり人は来ないので僕のお気に入りの場所になっていた。

腕時計をちらと見る。
まだ昼の授業まで時間がある。
腹も満たしてすぐなのでほどよい眠気に襲われる。
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