雨の間に
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「国見くんだ、こんにちは」
「こんにちは」
「あ、ごめん。声かけられたくなかった?」
「いえ、問題ないです…」
雨の降りだしそうな6月末。
公園を歩いていると犬の散歩中の中村先輩と出会った。
「くろすけ?どうしたの、珍しい。」
クロスケと呼ばれた犬はリードに繋がれながらも
俺の方に向かおうと必死に中村先輩を引っ張る。
小型犬だからいいけど、大型犬だったら
今頃俺は下敷きになってたかもしれない。
「ごめんね、
初対面の人にはあまりぐいぐい行かないんだけど」
「いえ…」
俺だって別に犬に好かれる方でもない。
「一緒に走ってくれそうだからかなぁ…」
違う気がするけど、中村先輩のことだから
本気でそう思ってそうだな。
「撫でてあげてもいいですか?」
「うん、喜ぶと思う。ありがとう」
顎の方からゆっくり手を差し伸べる様に触れる。
クロスケは大人しくなって
目を細めて尻尾を振った。
「くろすけ、良かったね。
国見くんが犬が平気でよかった」
「賢い動物は好きです」
「あはは、国見くんって感じ」
家、この辺なのか…。
もっとわしゃわしゃとクロスケを撫でてやる。
次はハッハ言いながら見つめ返してきた。
「めっちゃ見てくる…」
尻尾が最大限に揺れて、
クゥクゥと鼻を鳴らしている。
「あはは、国見くんが好きみたいだね」
少し複雑な気分で
俺はゆっくりと犬から手を離した。
「この後、雨降るらしいんで、
もう帰ったほうがいいですよ」
「そっか。ありがとう、国見くん」
「いえ。」
「じゃあまた学校でね。くろすけ、バイバイして」
クロスケはキュンと小さく鳴いたあと、
ちぎれそうな尻尾を振って
中村先輩のもとにすり寄っていった。
――翌日
「うちのくろすけ、国見くんに似てるかも」
俺は予想外の事を言われ
靴ひもを結ぶ手が止まった
「毛が黒いところが」
なんだ、そんなことか。
「俺は飼い主に似てると思いましたけどね」
黒くつぶらな目で俺を見上げて
遠慮なく愛想を振りまく先輩に。
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