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【一次創作】聖女になりましたが、目立つのが嫌いなので王太子妃にはなりません!

休養すると告げてから、数時間経った。窓に西日が差し込んでいる。

この数時間で整理したことがいくつかある。
私はクランベル伯爵家の令嬢カフカ。
親は代々水魔法の使い手で、去年行われた診断によって私もそうなることが予想されていた。
しかし、前世の記憶が入ってきたことにより魔力の質が変わった。
この世界では突発的な事故などによって、新たな魔力に目覚めることが稀にあるが、どうやら私は新しい魔力に目覚めてしまったらしい。

「聖魔法…。」
カフカが手を合わせて魔力をこめると手の間から白い光が漏れた。
これは聖属性の魔法特有のものだ。以前家庭教師から教えられていた。
そして、聖属性の魔力を持つものは聖女として国の為に働くことを義務付けられていることも、聞いていた。

聖女になると親族に対して手厚い補助がある為、小さいうちに怪しい民間療法などを行いなんとしてでも聖魔法を発現させようとする親は多く存在している。カフカの親もそうであった。

次の魔力診断は11歳時の入学前診断だが、よほど微弱な魔力で無ければ診断で隠すことは出来ないため、次の診断でバレてしまうだろう。この時点で聖女になる道はほぼ確定してしまっている。

また、聖女の上の階級で大聖女というものがある。大きな回復力、瘴気の浄化などが条件となっており、大聖女になってしまうと王太子との結婚を打診される。
強制ではないが、大聖女で結婚しなかったのは既に婚約者がいる女性がほとんどだ。先代の大聖女はそういう事情があり、王太子とは結ばれなかった。

来年になれば王立学園の入学前診断へ行かなければならない。1度発現した魔力を隠す方法はきっとないから、そこでカフカ・クランベルは聖女として生きていくことを決められてしまうのだ。そして、ないとは思うがもしも自分が大聖女なら王太子妃になることも覚悟しなければならない。

大聖女が嫌という訳では無い。人の役にたつのは大いに結構だ。しかし、私は前世でも今世でも目立つのが苦手だった。そんな私に王太子妃はあまりにも酷だ。

王太子妃になってしまったら、大きな期待がのしかかるだろう。私は今後の人生を憂いて頭を抱えた。
しかし憂いてばかりではいけない。
まずは大聖女が確定しないように動くことが必須だ。
大聖女の条件は
・大きな回復力
・瘴気の浄化
この2つだ。瘴気の浄化さえしなければ大聖女とは認められないため、しばらくは気をつけて学園生活を送るしかない。
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