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逢坂紘夢


○月✕日 午前7時10分。
今日も#name#ちゃんは2回目の目覚ましで起きた。
昨日は夜早めに寝ていたから、今日は授業中に居眠りすることは無いだろう。

イヤホンで#name#ちゃんの着替える音を聞きながら、僕も学校の準備をする。
ドアが勢いよく開けられ、ドタドタと1階に降りた音を聞き届けたら、#name#ちゃんの通学路に向かって歩く。
最近、そのタイミングで家を出るとちょうど#name#ちゃんの登校に鉢合わせやすいことに気がついた。
毎朝迎えに行くのは断られてしまったから、あくまで偶然を装いたい。

#name#ちゃんの昨晩の寝言を聴きながら、通学路をゆっくり歩く。
昨日と5日前と同じ展開ならあと8分で#name#ちゃんは僕を見つけて、一緒に登校してくれるはずだ。
昨晩はまた食べ物の夢を見ていたようだ。今度お弁当でも作ったら喜んでくれるかな…。

そんなことを考えていると、前から嫌な奴が来た。#name#ちゃんの幼なじみ、如月斗真だ。
「げ、逢坂じゃん。」
如月は分かりやすく嫌な顔をした。そういう品のない所が僕は嫌いだ。
「学校はあっちだよ。」
「忘れ物だよ、じゃあな」
如月は走って俺の横を通りすぎていった。
「!………まずい…そっちは…」
このままだと如月は#name#ちゃんと鉢合わせて一緒に登校してしまう。だが後を追っても運動部の彼には追いつけないだろうし、朝から余裕のないところを#name#ちゃんに見られたくない。

僕は通学路途中のコンビニでコーヒーを買って、#name#ちゃんが通り過ぎるまで見守ることにした。
如月と一緒に登校していてなにかあったらいけない。彼は#name#ちゃんのことを少し勘違いしているようだから。

8時10分。
#name#ちゃんが1人で通学路を歩いているのを見つけた。昨日より3分遅い。
如月は一緒じゃないみたいだ。
彼女はキョロキョロして落ち着かない様子だ。
だれかを探しているのだろうか。
もしかしたら僕のことをさがしているのかもしれない。
僕は急いでコンビニから出て、#name#ちゃんを追いかけた。

「おはよ、#name#ちゃん」
「あ、逢坂くん。おはよー」
「なにか探し物?」
「うん。逢坂くんいつもこの時間に登校してるから、いないかなーって探してたの。」
#name#ちゃんは聖母のようにふんわりと笑って見せた。
「ぼ、僕のこと探してくれてたの?」
「うん。」
感動して涙が出そうだ。

「私、逢坂くんのストーカーだからこの道通る時間把握してるんだぁ」
正確には3分遅いのだが、冗談っぽく笑う#name#ちゃんは文句なしで可愛いし、僕のストーカーをしてくれるならもういっそ同棲する?と言いたかった。

「…僕の気持ちが通じたんだね。」
「えへへ、本気にしないでよ、冗談だよー。」
「…。」
本気であってほしかったな…。少し残念な気持ちになった。まあ、本当にストーキングしてたら僕が先に気がつくはずなんだけど。

「そういえばさっき如月とすれ違ったよ。#name#ちゃん大丈夫だった?」
「斗真?ああ、さっき会ったよ。今日は朝練休みみたいだから一緒に登校する?って誘われたけど…」

#name#ちゃんは高校指定カバンを開けて、一冊の本を取り出した。
「この前借りた本、返そうと思って。」
「…本を返すために、如月の誘いを断ってくれたのかい?」
「うん、まあそうだけど。」
「いつでもよかったのに…ありがとう。よかったらこの本の感想聞かせて欲しいな。」
本を返す名目があったとはいえ、如月に勝ったのは飛び上がるほど嬉しかった。
しかし、ここで大喜びするとイメージが悪くなってしまうからあえて余裕を見せた。


12時30分。
今日も#name#ちゃんは食堂で同じクラスの女友達とご飯を食べている。
1度くらいは2人で食べてみたいが、1度きりの高校生活を僕が全て独占してしまうのは申し訳ないから女友達との絆も育んでいってほしいと願っている。だから今は#name#ちゃん達のランチタイムを邪魔する不届き者がいないか観察している所だ。
「やあ、美味しそうなお昼ご飯だね?」
「………!鳴海…!」
完全に油断していた。あいつもマークしておくべきだったか。最も、#name#ちゃんが交流を持っている男子は数十人いるので全員を遠ざけることはできないのだが。

鳴海が#name#ちゃんの隣に座る。
遠くからだから会話は聞こえないが、鳴海のことだから#name#ちゃんの気持ちを考えずに余計なことをするに決まってる。

鳴海は#name#ちゃんのお弁当についてなにか話し始めた。すると、#name#ちゃんのお弁当から卵焼きを1切れ取っていった。

怒りで我を忘れそうになった。今日のは#name#ちゃんのお母さんが作った卵焼きだったからまだいいものの、毎週水曜日と金曜日は30分早く起きて#name#ちゃんが自分で作っているのだ。もし、今日が水曜日か金曜日だったらどうなっていたかわからない。

深呼吸して気分を落ち着ける。
今度#name#ちゃんをお昼に誘ってみよう。もちろん水曜日か金曜日に。

17時10分。
A組で#name#ちゃんが帰りの支度をしている。
#name#ちゃんは放課後だというのに髪は全く乱れていないし、顔も全く疲れていない。やはり僕の理想のヒロインだ。
「おー、逢坂、ちょっといいか?」
「え、いや…あの」
「来月の文化祭なんだけどなー」
「えっと…。なんでしょう。」

一緒に帰ろうとタイミングを図るが、急に先生に話しかけられて#name#ちゃんを見失ってしまった。
今日は朝に一緒に登校できただけで、なにもいいことがない。
以前から敵対視していた如月に勝ったのは気分が良かったが、もしかしたら今#name#ちゃんと一緒にいるのは如月かもしれない。あるいは別の誰かか。

一先ず#name#ちゃんの下駄箱をチェックしようと、急いで階段を駆け下りた。
下駄箱までたどり着いた時、出入口の方に#name#ちゃんが立ち止まっているのが見えた。勘づかれないように息を整えて靴を履き替え、まっすぐ#name#ちゃんの方へ歩いた。

「あ、逢坂くん。待ってたよ」
「え…?」
#name#ちゃんが?僕を待っていた?
「一緒に帰ってもいい?」
登下校を共にする…もはや付き合っていると言っていいのではないか?

「も、もちろんいいけど…。
えっと…なぜ僕がまだ帰ってないってわかったの?」
「下駄箱見たからだけど…。」
#name#ちゃんは伏し目がちになって頬をほんのり赤く染めた。
「すごい…。一緒だ。」
「え?」
「いや、なんでもないよ。さあ、邪魔者が来る前に一緒に帰ろうか。」

お昼は心を乱されることもあったが、今日は最高の一日だ。
#name#ちゃんとは素敵な放課後を過ごせたと思う。
明日は水曜日だから#name#ちゃんをお昼に誘ってみると、なんとOKを貰えた。
#name#ちゃんのために今日は#name#ちゃんの好きなものをたくさん買って帰ろうと思う。

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