逢坂紘夢
カランカラン。
「おおっ!1等です!おめでとうございまーす!」
鈍い光を放つ金色の玉が四角い箱の中でゆらゆら揺れている。商店街中の視線が#name#の元に集まる。
#name#はショーウィンドウに写った自分と目が合った。小6の時に買ってもらったTシャツはすっかりくたびれていた。
しまった。今日に限ってスッピンだし、適当な服だな…
「会誌に載せたいので写真撮影よろしいですか?」
本当は断りたかったが、さすがに1等を当ててしまったら断れるわけもない。
「はいチーズ!」
ぎこちない笑顔でTシャツをごまかすように胸の前で封筒を持ち、撮影に応じた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「そんなわけで、旅館のチケットが当たったからどうかなって思って。」
くじ引きの日から1週間後の日曜日。#name#は自宅に紘夢を招待した。
今は紘夢と#name#だけだが、夕食時には#name#の母親が仕事を早めに切り上げてきてくれるそうだ。いつも#name#が紘夢からプレゼントを貰っているのを知っていたので、そのお礼に夕飯をご馳走すると張り切っている。
「え…?それって、僕と2人でってことかい?」
「うん。ペアチケットなんだけど、お母さんが紘夢くんなら真面目だし大丈夫でしょって…」
そう言いながら#name#は身を小さくした。
「それはつまり…未成年宿泊同意書にサインを書いていただけるということかい?」
「えっと…まあそうだけど…詳しいね?」
「……偶然知ってたんだよ。」
紘夢は机の下で小さくガッツポーズをした。
「日程は紘夢くんに合わせるから、今日は旅館の前後でどこに行くか決めようと思って。」
#name#は図書館から借りてきた旅行雑誌を数冊広げて、旅館の詳しい場所を紘夢に教えた。
紘夢は旅行雑誌や地元の観光サイトなどを見比べ、しばらく吟味するふりをした。
「うーん、君が当ててくれた旅行だから君の好きなところに行きたいけど…あえて言うならこの水族館に行きたいかな?」
「すごい!私も同じこと思ってたの!」
「ふふ、気が合うね」
本当はここ1週間の盗聴とたまに見える予測変換の文字列で水族館に行きたがっていることは何となくわかっていたのだが、紘夢も一緒に喜んだ。
しばらく談笑しながら水族館以外の予定も決めていると、母親が帰ってきた。両手の袋にはデパートの惣菜がぎっしりだ。
「わぁ!お母さん、紘夢くんはこんなに食べないよ」
「少ないよりいいでしょ!…あ、どうもー、いつも#name#をありがとうねー」
「はい、遅くまでお邪魔していてすみません。」
「いいのよー。私も紘夢くんに何回か荷物持ってもらっちゃったことあるし?」
「え!そうなの?」
「ああ。偶然、商店街で会ったりしてね。」
「そうそう!真面目でいい子なのはすごく伝わったわ!#name#は任せた!」
「もう、お母さん!」
頬を紅潮させて怒る#name#を紘夢はうっとりと眺めた。
「たった2日とはいえ、#name#ちゃんの命を預かるわけだからね。本気で守り通してみせるよ。」
「紘夢くんも大袈裟だよー!」
「おおっ!1等です!おめでとうございまーす!」
鈍い光を放つ金色の玉が四角い箱の中でゆらゆら揺れている。商店街中の視線が#name#の元に集まる。
#name#はショーウィンドウに写った自分と目が合った。小6の時に買ってもらったTシャツはすっかりくたびれていた。
しまった。今日に限ってスッピンだし、適当な服だな…
「会誌に載せたいので写真撮影よろしいですか?」
本当は断りたかったが、さすがに1等を当ててしまったら断れるわけもない。
「はいチーズ!」
ぎこちない笑顔でTシャツをごまかすように胸の前で封筒を持ち、撮影に応じた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「そんなわけで、旅館のチケットが当たったからどうかなって思って。」
くじ引きの日から1週間後の日曜日。#name#は自宅に紘夢を招待した。
今は紘夢と#name#だけだが、夕食時には#name#の母親が仕事を早めに切り上げてきてくれるそうだ。いつも#name#が紘夢からプレゼントを貰っているのを知っていたので、そのお礼に夕飯をご馳走すると張り切っている。
「え…?それって、僕と2人でってことかい?」
「うん。ペアチケットなんだけど、お母さんが紘夢くんなら真面目だし大丈夫でしょって…」
そう言いながら#name#は身を小さくした。
「それはつまり…未成年宿泊同意書にサインを書いていただけるということかい?」
「えっと…まあそうだけど…詳しいね?」
「……偶然知ってたんだよ。」
紘夢は机の下で小さくガッツポーズをした。
「日程は紘夢くんに合わせるから、今日は旅館の前後でどこに行くか決めようと思って。」
#name#は図書館から借りてきた旅行雑誌を数冊広げて、旅館の詳しい場所を紘夢に教えた。
紘夢は旅行雑誌や地元の観光サイトなどを見比べ、しばらく吟味するふりをした。
「うーん、君が当ててくれた旅行だから君の好きなところに行きたいけど…あえて言うならこの水族館に行きたいかな?」
「すごい!私も同じこと思ってたの!」
「ふふ、気が合うね」
本当はここ1週間の盗聴とたまに見える予測変換の文字列で水族館に行きたがっていることは何となくわかっていたのだが、紘夢も一緒に喜んだ。
しばらく談笑しながら水族館以外の予定も決めていると、母親が帰ってきた。両手の袋にはデパートの惣菜がぎっしりだ。
「わぁ!お母さん、紘夢くんはこんなに食べないよ」
「少ないよりいいでしょ!…あ、どうもー、いつも#name#をありがとうねー」
「はい、遅くまでお邪魔していてすみません。」
「いいのよー。私も紘夢くんに何回か荷物持ってもらっちゃったことあるし?」
「え!そうなの?」
「ああ。偶然、商店街で会ったりしてね。」
「そうそう!真面目でいい子なのはすごく伝わったわ!#name#は任せた!」
「もう、お母さん!」
頬を紅潮させて怒る#name#を紘夢はうっとりと眺めた。
「たった2日とはいえ、#name#ちゃんの命を預かるわけだからね。本気で守り通してみせるよ。」
「紘夢くんも大袈裟だよー!」
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