キバユウ 一覧
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※キバナとユウリが結婚を考えるお話
※甘め
「あ?結婚?」
「あ、いや、結婚はしないんですけど…
若い子向けのウェディングドレスのモデルさんやってきたんです。」
ユウリは頬を赤くして視線をそらした。
キバナの自室で、2人はいつものようにくつろいでいた。
「んー…まあ、最近10代の結婚増えてるしなぁ…」
キバナは遠い目をした。
「新郎役、本当はキバナさんが良かったなぁ…」
ユウリは苦々しく笑った。
「だれだったんだ?」
キバナはユウリのいじっているスマホロトムを覗き見た。
「写真みます?」と言って、彼女はギャラリーを開いた。
ユウリの隣で笑っていたのは、ビートとダンデだった。
「2人?!」
「雰囲気違う人を置きたかったみたいで…」
ビートは華奢な身体の線を活かしたピッタリとしたデザインになっていた。彼のカラーでもある薄ピンクの蝶ネクタイと、花を胸ポケットにさしている。
ダンデは、大きめの丈の長いジャケットを羽織って、ビートに比べて控えめなデザインのネクタイをしている。
ユウリは写真を1枚1枚流すように送っていった。
その中に気になる写真がありキバナはユウリの手を止めた。
「これは…」
「ダンデさんが急に私の事お姫様抱っこしちゃって。」
えへへ、と困ったように笑った。
画面には、満面の笑みでブーケを投げるユウリと、軽々と両手でユウリをお姫様抱っこするダンデの姿が映っていた。
「キバナさんだったら、どんなタキシードだったのかなぁ…」
ユウリはうーんと唸っている。
「むしろ、なんで俺じゃねぇんだろうな?
ダンデ出すなら、歳変わらねぇんだから俺でもいいじゃん」
キバナは乾いた笑いをした。
「あ、じゃあ今度一緒に見に行きませんか?」
「俺たち付き合ってないし、ここまで仲良いことも公表してないのに?」
「あ…。」
ユウリは視線を下げて、返す言葉もなく黙ってしまった。
キバナは、どうせホップが新郎役で性懲りも無くユウリに近付いて、勝手にいい雰囲気になっているのではないかと思っていた。
だから、正直ダンデとビートならそこまで気にはならなかった。
「ま、いいよ。
この話はここで終わり。」
キバナは落ち込むユウリの頭を撫でた。
----------------------------------
「ここは…教会か?」
数週間後、ユウリにメールを貰ったキバナは、街のはずれの森の中にある小さな教会のドアを開けた。
メールには教会の場所を示す住所と、日にちと時間だけが書かれていた。
「おーい」
大きな声で呼びかけると、思ったよりも大きく教会に響いた。
返事はない。
少しほこりっぽい気がしたが、ステンドグラスから柔らかい光が降りてきていた。
どこかに隠れているんじゃないかと思い、後ろからゆっくりと歩いて椅子をチェックする。
どこにも隠れていない。
1番前の椅子に、大きな平べったい箱が置かれていた。
丁寧に蓋を開けると、綺麗なタキシードが1式入っていた。
おそらく新品だ。
1番上に入っていたハンカチに、“KIBANA”とガラル文字で刺繍がされていた。
「着替えろってことか?」
周りを見渡して再度誰もいないことを確認すると、キバナはパーカーを脱ぎ、ワイシャツに袖を通した。
一体彼女がいつどこで測ったのか分からないが、ぴったりと自分の身体に合っている。
ズボンやベスト、ジャケット、全てが自分にピッタリだった。
ご丁寧に髪を下ろして結び直すためのブラシも入っていた。
キバナはタキシードを1度も着たことがなかったが、ベストの胸ポケットに入った小さなドラゴンの刺繍や、ドラゴンタイプを連想させる小物の色合いが自分にぴったりだと思った。
「これで…全部か?」
スマホロトムに撮影させて、全身をチェックした。着たことがないのでわからないが、おそらく合っているはずだ。
キバナは襟を正して、ウロウロと歩いた。
予想ではこの後ユウリが来るはずだ。
ダンデがやってたようなお姫様抱っこもしたいし、キスもしたかった。
実際に目にしたら愛おしすぎるだろうから、そのまま家に連れて帰ってしばらく軟禁してやろう、と胸を膨らませていた。
ステンドグラスから漏れる光を眺めて、ドアの開く音を待っていた。
しかし、何十分待ってもユウリはやって来なかった。
キバナはタキシード姿のまま、教会の外に出てぐるっと周りを一周した。
人の気配はない。
メールや電話にも反応はなかった。
「アイツ、なにがしたかったんだ…?」
キバナは両手をポケットに突っ込みながら、暗い森の小道を歩いた。
小道の脇に小さなパールのピアスが落ちていた。
キバナはそれを拾い上げると、もっと奥に進んだ。
小道の奥に光が見えた。
開けた場所があるようだ。
白い花がたくさん咲いた花畑だ。
近くまで来ると、ウェディングドレスを着たユウリが大木の下で仰向けに倒れていた。
「ユウリ?!」
キバナは走って駆け寄った。
しかし、すぐに寝ているだけだと気が付いた。
白い花畑に寝転ぶ彼女は、近くで見ても幻想的だった。
スマホロトムに合図して、少し離れたところから彼女を撮ってもらった。
「すぅ………すぅ……」
「起きろよ、姫様」
キバナは、ユウリの顎を右手でゆっくり持ち上げて、バレないようにこっそりキスをした。
キスが終わると、自分のあまりのキザさに自分で赤面した。
ユウリが起きていないのを確認して、胸をなでおろした。
「………ったく。
おい!!!起きろ!!!」
何事も無かったかのように少し離れたあと、キバナはユウリの頬を軽くはたいた。
「わっ!え?!……ごめんなさい!」
「行くぞ」
キバナはユウリの肩と膝に手を回して、よいしょ、と持ち上げた。
ユウリはさらに驚いてキバナの首に手を回した。
「おい、重いんだよ
もうちょっとダイエットしろ」
「なっ…!ダンデさんは軽々持ち上げてましたよ?!」
「そう言われても重いんだよ」
「じゃあ降ろしてください!」
悪態をつきつつも、キバナはユウリを教会まで抱えて歩いていった。
ステンドグラスの前で彼女を下ろすと、彼女の目にステンドグラスの光がいっぱいに集まり、宝石のように輝いた。
キバナはその姿を写真に収めようとしたが、あまりにも綺麗で目を逸らすことができなかった。
「本当に綺麗だな…」
「キレイって言ってくれたの初めてですね」
ユウリは得意げな顔をした。
「なあ、これ作ったのか?」
キバナは片足でくるりと回って見せた。
「ええ、まあ…。」
「これってプロポーズだよな?」
「さあ…。」
「さあってなんだよ!」
キバナは拗ねそうになった。
「キバナさん…。」
「っ…?!」
ユウリが恥ずかしそうに目を閉じ、背伸びをする姿を見て、キバナは唾を飲んだ。
キバナはポケットをまさぐると、スマホロトムがいないことに気が付いた。
いつの間にかスマホロトムは少し離れた場所で撮影を始めていた。
キバナはぎこちなく肩に手を置いた。
今までで最も緊張するキスだ。
「…後悔するなよ」
ぼんやりした2人の影が、重なって1つになった。
※甘め
「あ?結婚?」
「あ、いや、結婚はしないんですけど…
若い子向けのウェディングドレスのモデルさんやってきたんです。」
ユウリは頬を赤くして視線をそらした。
キバナの自室で、2人はいつものようにくつろいでいた。
「んー…まあ、最近10代の結婚増えてるしなぁ…」
キバナは遠い目をした。
「新郎役、本当はキバナさんが良かったなぁ…」
ユウリは苦々しく笑った。
「だれだったんだ?」
キバナはユウリのいじっているスマホロトムを覗き見た。
「写真みます?」と言って、彼女はギャラリーを開いた。
ユウリの隣で笑っていたのは、ビートとダンデだった。
「2人?!」
「雰囲気違う人を置きたかったみたいで…」
ビートは華奢な身体の線を活かしたピッタリとしたデザインになっていた。彼のカラーでもある薄ピンクの蝶ネクタイと、花を胸ポケットにさしている。
ダンデは、大きめの丈の長いジャケットを羽織って、ビートに比べて控えめなデザインのネクタイをしている。
ユウリは写真を1枚1枚流すように送っていった。
その中に気になる写真がありキバナはユウリの手を止めた。
「これは…」
「ダンデさんが急に私の事お姫様抱っこしちゃって。」
えへへ、と困ったように笑った。
画面には、満面の笑みでブーケを投げるユウリと、軽々と両手でユウリをお姫様抱っこするダンデの姿が映っていた。
「キバナさんだったら、どんなタキシードだったのかなぁ…」
ユウリはうーんと唸っている。
「むしろ、なんで俺じゃねぇんだろうな?
ダンデ出すなら、歳変わらねぇんだから俺でもいいじゃん」
キバナは乾いた笑いをした。
「あ、じゃあ今度一緒に見に行きませんか?」
「俺たち付き合ってないし、ここまで仲良いことも公表してないのに?」
「あ…。」
ユウリは視線を下げて、返す言葉もなく黙ってしまった。
キバナは、どうせホップが新郎役で性懲りも無くユウリに近付いて、勝手にいい雰囲気になっているのではないかと思っていた。
だから、正直ダンデとビートならそこまで気にはならなかった。
「ま、いいよ。
この話はここで終わり。」
キバナは落ち込むユウリの頭を撫でた。
----------------------------------
「ここは…教会か?」
数週間後、ユウリにメールを貰ったキバナは、街のはずれの森の中にある小さな教会のドアを開けた。
メールには教会の場所を示す住所と、日にちと時間だけが書かれていた。
「おーい」
大きな声で呼びかけると、思ったよりも大きく教会に響いた。
返事はない。
少しほこりっぽい気がしたが、ステンドグラスから柔らかい光が降りてきていた。
どこかに隠れているんじゃないかと思い、後ろからゆっくりと歩いて椅子をチェックする。
どこにも隠れていない。
1番前の椅子に、大きな平べったい箱が置かれていた。
丁寧に蓋を開けると、綺麗なタキシードが1式入っていた。
おそらく新品だ。
1番上に入っていたハンカチに、“KIBANA”とガラル文字で刺繍がされていた。
「着替えろってことか?」
周りを見渡して再度誰もいないことを確認すると、キバナはパーカーを脱ぎ、ワイシャツに袖を通した。
一体彼女がいつどこで測ったのか分からないが、ぴったりと自分の身体に合っている。
ズボンやベスト、ジャケット、全てが自分にピッタリだった。
ご丁寧に髪を下ろして結び直すためのブラシも入っていた。
キバナはタキシードを1度も着たことがなかったが、ベストの胸ポケットに入った小さなドラゴンの刺繍や、ドラゴンタイプを連想させる小物の色合いが自分にぴったりだと思った。
「これで…全部か?」
スマホロトムに撮影させて、全身をチェックした。着たことがないのでわからないが、おそらく合っているはずだ。
キバナは襟を正して、ウロウロと歩いた。
予想ではこの後ユウリが来るはずだ。
ダンデがやってたようなお姫様抱っこもしたいし、キスもしたかった。
実際に目にしたら愛おしすぎるだろうから、そのまま家に連れて帰ってしばらく軟禁してやろう、と胸を膨らませていた。
ステンドグラスから漏れる光を眺めて、ドアの開く音を待っていた。
しかし、何十分待ってもユウリはやって来なかった。
キバナはタキシード姿のまま、教会の外に出てぐるっと周りを一周した。
人の気配はない。
メールや電話にも反応はなかった。
「アイツ、なにがしたかったんだ…?」
キバナは両手をポケットに突っ込みながら、暗い森の小道を歩いた。
小道の脇に小さなパールのピアスが落ちていた。
キバナはそれを拾い上げると、もっと奥に進んだ。
小道の奥に光が見えた。
開けた場所があるようだ。
白い花がたくさん咲いた花畑だ。
近くまで来ると、ウェディングドレスを着たユウリが大木の下で仰向けに倒れていた。
「ユウリ?!」
キバナは走って駆け寄った。
しかし、すぐに寝ているだけだと気が付いた。
白い花畑に寝転ぶ彼女は、近くで見ても幻想的だった。
スマホロトムに合図して、少し離れたところから彼女を撮ってもらった。
「すぅ………すぅ……」
「起きろよ、姫様」
キバナは、ユウリの顎を右手でゆっくり持ち上げて、バレないようにこっそりキスをした。
キスが終わると、自分のあまりのキザさに自分で赤面した。
ユウリが起きていないのを確認して、胸をなでおろした。
「………ったく。
おい!!!起きろ!!!」
何事も無かったかのように少し離れたあと、キバナはユウリの頬を軽くはたいた。
「わっ!え?!……ごめんなさい!」
「行くぞ」
キバナはユウリの肩と膝に手を回して、よいしょ、と持ち上げた。
ユウリはさらに驚いてキバナの首に手を回した。
「おい、重いんだよ
もうちょっとダイエットしろ」
「なっ…!ダンデさんは軽々持ち上げてましたよ?!」
「そう言われても重いんだよ」
「じゃあ降ろしてください!」
悪態をつきつつも、キバナはユウリを教会まで抱えて歩いていった。
ステンドグラスの前で彼女を下ろすと、彼女の目にステンドグラスの光がいっぱいに集まり、宝石のように輝いた。
キバナはその姿を写真に収めようとしたが、あまりにも綺麗で目を逸らすことができなかった。
「本当に綺麗だな…」
「キレイって言ってくれたの初めてですね」
ユウリは得意げな顔をした。
「なあ、これ作ったのか?」
キバナは片足でくるりと回って見せた。
「ええ、まあ…。」
「これってプロポーズだよな?」
「さあ…。」
「さあってなんだよ!」
キバナは拗ねそうになった。
「キバナさん…。」
「っ…?!」
ユウリが恥ずかしそうに目を閉じ、背伸びをする姿を見て、キバナは唾を飲んだ。
キバナはポケットをまさぐると、スマホロトムがいないことに気が付いた。
いつの間にかスマホロトムは少し離れた場所で撮影を始めていた。
キバナはぎこちなく肩に手を置いた。
今までで最も緊張するキスだ。
「…後悔するなよ」
ぼんやりした2人の影が、重なって1つになった。