千早と雪歩
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「担当アイドルを増やして欲しい」
突然社長に呼び出されたかと思えば、そう告げられた。
もう1人のプロデューサーはあずさ以外にも、律子と伊織を担当しているため、千早のプロデュースが軌道に乗り始めた今、自分にも2人目プロデュースの話が出るのは自然な流れだと思った。
「だれにするか、1日考えてみてもいいですか?」
社長は「では明日、社長室で待っているよ」と、快諾してくれた。
どうするかな…。
担当を増やすということは、ユニットで売り出すことも考えないといけない。2人で出した方が負担も減るし、良さを活かしあえばいいパフォーマンスもできる。ただ、誰を選べばいいのかよくわからなかった。
今までまともに話したことがあるのはお茶をいれてくれる雪歩と、よく事務所で遊んでいる亜美、真美、やよい、伊織くらいだった。
その中だと、千早とユニットを組んでも大丈夫そうなのは雪歩だと思った。少し気が弱いのは心配だが、極度の男性恐怖症の彼女の支えになれるのは自分しかいないとカオルは感じていた。
とりあえず、雪歩と千早を集めて打診してみようと思った。打合せ室に雪歩と千早を呼び出した。
「今朝、社長から話があってね。私の担当アイドルを1人増やそうってお話だったんだけど。
こっちで千早ともう1人のアイドルを選んでいいみたい。私は雪歩がいいと思うんだけど、2人はどう思う?」
雪歩はかなり不安そうだが、千早はあまり気にしていない様子だ。
「わ、私なんかでいいんでしょうか…?」
「? 大丈夫じゃないかしら。」
千早はなぜ雪歩があそこまで萎縮しているのかよくわかっていない様子だった。
「雪歩は、デビュー前からレッスンに真面目に参加してるみたいだし、私も大丈夫だと思う。」
雪歩の顔色はますます悪くなっているが、カオルは優しく語りかければ心を開いてくれるかもしれないと考えていた。
「あ、あのぅ…。私なんかでよければ…よろしくお願いします。」
雪歩は震えながらも深深と頭を下げた。芯の強さが彼女の魅力だと社長からは聞いていた。カオルはにっこりと笑った。
「こちらこそ、よろしくね。」
「萩原さん、一緒に高め合いましょう。」
千早はどこか壁を隔てているような話し方をしているが、カオルはひとまず安心だと思い、社長に報告することにした。
ーーーーーーーー
ユニット結成から数日後…
lapis lazuliを立ち上げてから3回目ほどのレッスンで、コーチから相談があった。雪歩が音程を外した時、千早が注意するそうなのだが、その度に雪歩が萎縮してしまいレッスンがやりづらい、とのことだった。だから、別々でレッスンを行うことを勧めてきたのだった。
「ちょっと3人で話し合ってみます」
カオルは、レッスン後に千早と雪歩をカフェに連れ出した。
カオルは、いつもレッスンを最初の10分ほど見ると事務や営業周りをしに外に出てしまっていた。だから、どんな状況になっているのか2人に直接確認しておきたかった。
「ごめんね、私は裏で動いたりするの苦手だから全部話しちゃうね」
正直に全てを話すと、雪歩は顔を真っ青にして震えた。
「わ、私のせいで…。本当にすみません…。」
千早は、怒っているようには見えなかったが、自分のした事を反省している様子にも見えなかった。強いて言うならどうでもいい、と思っているのかもしれない。
「千早はどう思う?」
カオルがそう聞くと、千早はやっと口を開いた。
「練習すればいいんじゃないでしょうか?」
千早のその言葉に、雪歩はあわあわと言葉を詰まらせた。
カオルは、コーチの言っていた居心地の悪さがよく理解出来た。このままだと事態が悪化するのを感じ、今日は次のレッスンの目標と今日までの反省を簡単に話して一旦解散にした。
次の日、レッスン後に雪歩に呼び止められ、カオルはレッスン室に残った。
「あ、あの…。もし時間があればなんですけど
個人レッスンってできないでしょうか?」
カオルは驚いた。まさか、雪歩が昨日の今日で動き出すとは思わなかった。
「いいよ。私に手伝えることがあれば…。」
カオルは、電子ピアノのスイッチを入れた。
それから毎日、雪歩とカオルの個人レッスンは1週間ほど続いた。カオルは様子が気になって、営業の合間
に練習の様子を雪歩の用意してくれたテレビ通話で見たりしていたが、日に日に上手くなっているようだった。千早も雪歩に注意をしなくなり、自分になにか直すべき点はないか雪歩やコーチに積極的に聞くようになっていた。
「本当に、プロデューサーのおかげですぅ」
個人レッスンも終盤を迎えたある日の夜、雪歩はそう伝えてきた。
これまでは緊張のせいで歌やダンス中に体が強ばっていたが、回数をこなすことで緊張が解け、のびのびと歌えるようになった。ただそれだけでここまで変わるものなのかと、レッスンコーチも口を揃えて言っていた。
「雪歩が頑張ったからだよ」
カオルは優しく笑った。雪歩は頭を横に振り、そんなことないです…と言った。
lapis lazuli新曲のお披露目が明日に迫っている。
カオルは雪歩の頭を撫で、今日は早く帰らせることにした。
突然社長に呼び出されたかと思えば、そう告げられた。
もう1人のプロデューサーはあずさ以外にも、律子と伊織を担当しているため、千早のプロデュースが軌道に乗り始めた今、自分にも2人目プロデュースの話が出るのは自然な流れだと思った。
「だれにするか、1日考えてみてもいいですか?」
社長は「では明日、社長室で待っているよ」と、快諾してくれた。
どうするかな…。
担当を増やすということは、ユニットで売り出すことも考えないといけない。2人で出した方が負担も減るし、良さを活かしあえばいいパフォーマンスもできる。ただ、誰を選べばいいのかよくわからなかった。
今までまともに話したことがあるのはお茶をいれてくれる雪歩と、よく事務所で遊んでいる亜美、真美、やよい、伊織くらいだった。
その中だと、千早とユニットを組んでも大丈夫そうなのは雪歩だと思った。少し気が弱いのは心配だが、極度の男性恐怖症の彼女の支えになれるのは自分しかいないとカオルは感じていた。
とりあえず、雪歩と千早を集めて打診してみようと思った。打合せ室に雪歩と千早を呼び出した。
「今朝、社長から話があってね。私の担当アイドルを1人増やそうってお話だったんだけど。
こっちで千早ともう1人のアイドルを選んでいいみたい。私は雪歩がいいと思うんだけど、2人はどう思う?」
雪歩はかなり不安そうだが、千早はあまり気にしていない様子だ。
「わ、私なんかでいいんでしょうか…?」
「? 大丈夫じゃないかしら。」
千早はなぜ雪歩があそこまで萎縮しているのかよくわかっていない様子だった。
「雪歩は、デビュー前からレッスンに真面目に参加してるみたいだし、私も大丈夫だと思う。」
雪歩の顔色はますます悪くなっているが、カオルは優しく語りかければ心を開いてくれるかもしれないと考えていた。
「あ、あのぅ…。私なんかでよければ…よろしくお願いします。」
雪歩は震えながらも深深と頭を下げた。芯の強さが彼女の魅力だと社長からは聞いていた。カオルはにっこりと笑った。
「こちらこそ、よろしくね。」
「萩原さん、一緒に高め合いましょう。」
千早はどこか壁を隔てているような話し方をしているが、カオルはひとまず安心だと思い、社長に報告することにした。
ーーーーーーーー
ユニット結成から数日後…
lapis lazuliを立ち上げてから3回目ほどのレッスンで、コーチから相談があった。雪歩が音程を外した時、千早が注意するそうなのだが、その度に雪歩が萎縮してしまいレッスンがやりづらい、とのことだった。だから、別々でレッスンを行うことを勧めてきたのだった。
「ちょっと3人で話し合ってみます」
カオルは、レッスン後に千早と雪歩をカフェに連れ出した。
カオルは、いつもレッスンを最初の10分ほど見ると事務や営業周りをしに外に出てしまっていた。だから、どんな状況になっているのか2人に直接確認しておきたかった。
「ごめんね、私は裏で動いたりするの苦手だから全部話しちゃうね」
正直に全てを話すと、雪歩は顔を真っ青にして震えた。
「わ、私のせいで…。本当にすみません…。」
千早は、怒っているようには見えなかったが、自分のした事を反省している様子にも見えなかった。強いて言うならどうでもいい、と思っているのかもしれない。
「千早はどう思う?」
カオルがそう聞くと、千早はやっと口を開いた。
「練習すればいいんじゃないでしょうか?」
千早のその言葉に、雪歩はあわあわと言葉を詰まらせた。
カオルは、コーチの言っていた居心地の悪さがよく理解出来た。このままだと事態が悪化するのを感じ、今日は次のレッスンの目標と今日までの反省を簡単に話して一旦解散にした。
次の日、レッスン後に雪歩に呼び止められ、カオルはレッスン室に残った。
「あ、あの…。もし時間があればなんですけど
個人レッスンってできないでしょうか?」
カオルは驚いた。まさか、雪歩が昨日の今日で動き出すとは思わなかった。
「いいよ。私に手伝えることがあれば…。」
カオルは、電子ピアノのスイッチを入れた。
それから毎日、雪歩とカオルの個人レッスンは1週間ほど続いた。カオルは様子が気になって、営業の合間
に練習の様子を雪歩の用意してくれたテレビ通話で見たりしていたが、日に日に上手くなっているようだった。千早も雪歩に注意をしなくなり、自分になにか直すべき点はないか雪歩やコーチに積極的に聞くようになっていた。
「本当に、プロデューサーのおかげですぅ」
個人レッスンも終盤を迎えたある日の夜、雪歩はそう伝えてきた。
これまでは緊張のせいで歌やダンス中に体が強ばっていたが、回数をこなすことで緊張が解け、のびのびと歌えるようになった。ただそれだけでここまで変わるものなのかと、レッスンコーチも口を揃えて言っていた。
「雪歩が頑張ったからだよ」
カオルは優しく笑った。雪歩は頭を横に振り、そんなことないです…と言った。
lapis lazuli新曲のお披露目が明日に迫っている。
カオルは雪歩の頭を撫で、今日は早く帰らせることにした。