千早
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今日は地方のラジオ局でゲスト出演に決まっている。
この前のオーディションが受かってから、順調にオーディションを勝ち進んでいる。
そんな千早に、ついにラジオの仕事がやってきた。
しかし移動中、千早はずっと浮かない顔をしていた。
「どうしましょう…」
「喋るのが嫌?」
千早は首を横にふった。歌以外の要素として、喋りも必要だということはこの前のこともあり理解しているようだった。
それならなぜラジオを嫌がるのかカオルにはわからなかった。
「今日のラジオ番組って、進行役の方とダベっているような雰囲気を前面に出したラジオ番組ですよね。私だと、話がつまらないし…堅すぎるって言われちゃう気がして…。」
千早はこれからでる番組のことを事前に調べていた。カオルは、千早の不安に気が付けなかった自分を心の中で責めた。
「私は千早のそういうところ、アイドルっぽくなくて好きだけどな」
「アイドルっぽくない…?それって…」
千早の顔がさらに曇った。
自分はアイドルとしてラジオに行くのに、アイドルっぽくないのはまずいと考えているようだ。
「…千早は、アイドルっぽいアイドルって誰だと思う?」
「春香…とか、高槻さん…でしょうか」
千早の中のアイドル像は、明るく元気で前向きな女の子というイメージみたいだ。
「じゃあ逆にアイドルっぽくないアイドルって誰だと思う?」
「……亜美と真美は…ノリと面白さにかける情熱がすごくてたまに芸人に見えます」
「やっぱり、アイドルっぽくないとだめかな?」
カオルは照れたように笑った。
千早は少し困っているようだった。
「亜美と真美は…逆にいいんじゃないかと。
歌やダンスをしてるところをまだちゃんと見てませんが、間違いなくトークは私より上手だと思います。」
「芸人っぽいトークでも、いいの?」
「面白いならいいんじゃないでしょうか。ライブの楽しさは歌のうまさだけじゃないんだと思います。」
「私は歌に一途な歌手のようなアイドル、如月千早のトークも、アリだと思うけどな。」
「歌手みたいな、アイドル…?」
千早は車の窓から遠くを見た。
カーナビの音声がもうすぐラジオ局に着くことを知らせた。
「実際に、ラジオにはアイドルだけじゃなくてアーティストや芸人、いろんな人が出てるでしょ?実際、聞いてる人は肩書きよりその人のする話の方を大事にしてるんじゃないかな…。千早は、歌のことを一生懸命話せばきっと大丈夫だと思う。」
「面白い話、出来るでしょうか…」
話が振り出しに戻ってしまったようだったが、アイドルっぽさを演出しなくていいのは理解して貰えたようでカオルはほっとした。
「千早は、今気になるアーティストいる?」
「あ、それは…この前プロデューサーに勧めてもらったライブの○△さんですね。……な所や、バックの演奏技術が……な所はもちろん素晴らしかったのですが。
あれからその人の曲を聞く度に気さくなトークを思い出したり、ライブのことを思い出したりして…。
本当にいいライブでした。」
千早は一通り話すと、ハッとした顔をした。自分がここまで話せることに気がついていなかったみたいだ。
カオルはミラー越しに千早を見て、笑った。
「じゃあ、不安になったときはこの話をしよう。」
「…いいんでしょうか?」
「千早のことがわかるすごくいいお話だったと思うよ。
もう1つ、私が言いたいのは…。」
ーーーーーーーーー
帰りの車にて。
「まさか、あんなに充実したお話ができるとは思いませんでした。」
「進行役の人、千早のことちゃんと調べてたみたい。さすがだよね」
進行役の方は、無名プロダクションの無名アイドルの千早をこれでもかという程調べあげて、いろいろな話題を事前に用意していた。
(あんな話をして千早を勇気づける必要なかったかな…)
カオルは、ラジオが円満に終わって安心していたが、少し寂しさを感じていた。
「もちろん、進行役の△△さんは本当にすごい人でした。
けど、その人の進行に任されているだけではきっと私は成長できないと思います。」
「千早はすごいね…。
今日は100点だったと思うよ?」
「あの、プロデューサー…。
今日は、ありがとうございました。」
千早は車の中で深深と頭を下げた。
運転中なのであまり千早の方を見れなかったが、真面目な顔をしているのが想像出来た。
「行きの車でプロデューサーは、『そのままの千早をラジオで見てみたい。』と言ってくれましたよね。
本番が始まるまでの間、私らしさってなんだろうって考えたんです。
△△さんは本当に如月千早らしさを引き出すのが上手でした。
今日の話に嘘は何一つありませんし、如月千早らしさを伝えられたいいラジオだったと思います。
でも、いつか1人でトークをする時が来たら…
プロデューサーのこと、また頼ってもいいですか?」
千早は頬を赤らめながら、カオルをミラー越しに覗いた。
カオルはまさか自分が頼られるとは思っておらず、耳まで真っ赤になって照れた。
一匹狼な千早に頼られることが嬉しいのと、改めて見た彼女の顔があまりに綺麗で頭がショートしてしまいそうだった。
「……千早ってそういう所アイドルだよね」
千早は、きょとんとした顔をした。
2人を乗せた軽自動車は、青信号になり走り出した。
この前のオーディションが受かってから、順調にオーディションを勝ち進んでいる。
そんな千早に、ついにラジオの仕事がやってきた。
しかし移動中、千早はずっと浮かない顔をしていた。
「どうしましょう…」
「喋るのが嫌?」
千早は首を横にふった。歌以外の要素として、喋りも必要だということはこの前のこともあり理解しているようだった。
それならなぜラジオを嫌がるのかカオルにはわからなかった。
「今日のラジオ番組って、進行役の方とダベっているような雰囲気を前面に出したラジオ番組ですよね。私だと、話がつまらないし…堅すぎるって言われちゃう気がして…。」
千早はこれからでる番組のことを事前に調べていた。カオルは、千早の不安に気が付けなかった自分を心の中で責めた。
「私は千早のそういうところ、アイドルっぽくなくて好きだけどな」
「アイドルっぽくない…?それって…」
千早の顔がさらに曇った。
自分はアイドルとしてラジオに行くのに、アイドルっぽくないのはまずいと考えているようだ。
「…千早は、アイドルっぽいアイドルって誰だと思う?」
「春香…とか、高槻さん…でしょうか」
千早の中のアイドル像は、明るく元気で前向きな女の子というイメージみたいだ。
「じゃあ逆にアイドルっぽくないアイドルって誰だと思う?」
「……亜美と真美は…ノリと面白さにかける情熱がすごくてたまに芸人に見えます」
「やっぱり、アイドルっぽくないとだめかな?」
カオルは照れたように笑った。
千早は少し困っているようだった。
「亜美と真美は…逆にいいんじゃないかと。
歌やダンスをしてるところをまだちゃんと見てませんが、間違いなくトークは私より上手だと思います。」
「芸人っぽいトークでも、いいの?」
「面白いならいいんじゃないでしょうか。ライブの楽しさは歌のうまさだけじゃないんだと思います。」
「私は歌に一途な歌手のようなアイドル、如月千早のトークも、アリだと思うけどな。」
「歌手みたいな、アイドル…?」
千早は車の窓から遠くを見た。
カーナビの音声がもうすぐラジオ局に着くことを知らせた。
「実際に、ラジオにはアイドルだけじゃなくてアーティストや芸人、いろんな人が出てるでしょ?実際、聞いてる人は肩書きよりその人のする話の方を大事にしてるんじゃないかな…。千早は、歌のことを一生懸命話せばきっと大丈夫だと思う。」
「面白い話、出来るでしょうか…」
話が振り出しに戻ってしまったようだったが、アイドルっぽさを演出しなくていいのは理解して貰えたようでカオルはほっとした。
「千早は、今気になるアーティストいる?」
「あ、それは…この前プロデューサーに勧めてもらったライブの○△さんですね。……な所や、バックの演奏技術が……な所はもちろん素晴らしかったのですが。
あれからその人の曲を聞く度に気さくなトークを思い出したり、ライブのことを思い出したりして…。
本当にいいライブでした。」
千早は一通り話すと、ハッとした顔をした。自分がここまで話せることに気がついていなかったみたいだ。
カオルはミラー越しに千早を見て、笑った。
「じゃあ、不安になったときはこの話をしよう。」
「…いいんでしょうか?」
「千早のことがわかるすごくいいお話だったと思うよ。
もう1つ、私が言いたいのは…。」
ーーーーーーーーー
帰りの車にて。
「まさか、あんなに充実したお話ができるとは思いませんでした。」
「進行役の人、千早のことちゃんと調べてたみたい。さすがだよね」
進行役の方は、無名プロダクションの無名アイドルの千早をこれでもかという程調べあげて、いろいろな話題を事前に用意していた。
(あんな話をして千早を勇気づける必要なかったかな…)
カオルは、ラジオが円満に終わって安心していたが、少し寂しさを感じていた。
「もちろん、進行役の△△さんは本当にすごい人でした。
けど、その人の進行に任されているだけではきっと私は成長できないと思います。」
「千早はすごいね…。
今日は100点だったと思うよ?」
「あの、プロデューサー…。
今日は、ありがとうございました。」
千早は車の中で深深と頭を下げた。
運転中なのであまり千早の方を見れなかったが、真面目な顔をしているのが想像出来た。
「行きの車でプロデューサーは、『そのままの千早をラジオで見てみたい。』と言ってくれましたよね。
本番が始まるまでの間、私らしさってなんだろうって考えたんです。
△△さんは本当に如月千早らしさを引き出すのが上手でした。
今日の話に嘘は何一つありませんし、如月千早らしさを伝えられたいいラジオだったと思います。
でも、いつか1人でトークをする時が来たら…
プロデューサーのこと、また頼ってもいいですか?」
千早は頬を赤らめながら、カオルをミラー越しに覗いた。
カオルはまさか自分が頼られるとは思っておらず、耳まで真っ赤になって照れた。
一匹狼な千早に頼られることが嬉しいのと、改めて見た彼女の顔があまりに綺麗で頭がショートしてしまいそうだった。
「……千早ってそういう所アイドルだよね」
千早は、きょとんとした顔をした。
2人を乗せた軽自動車は、青信号になり走り出した。