ウェイン 牧物 三つの里
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※ウェインと夢主が出会った時のお話です。
ウェスタウンの南にあった牧場の跡地に、少し年下の女の子がやってきた。
カオル…どんな女の子なんだろう。初対面で少し挨拶はしたが、ちゃんと話したことはほとんどなかった。もう彼女が引っ越してきてから5日になるが、彼女はミランダさんの所や動物屋の所に行って、いつも忙しくしているようだった。
そうだ、フォードにも彼女のことを聞いてみよう。
俺はいつものフォードとのティータイムの時間に、カオルについて話してみることにした。
「カオル…?ああ、この前貧血気味だと言ってウチにきたな。」
「どんな女の子だった?」
「どんな、か……。普通の女だとしか思えなかったが。…そんなに気になるなら本人と話してみればいいじゃないか。キミらしくもないな。」
それもそうだ、俺はフォードの話を聞いてから、何度かカオルに話しかけようとした。しかし、なぜか話す内容が思いつかず、気がついたら取り巻きの女の子たちに囲まれて、話に夢中になっているうちにいつのまにかいなくなっているため、話すことが出来なかった。
ある日の21時、なんとなく歩きたい気分になって外に出た。配達で行くこと以外なかったが、牧場に行ってカオルの畑を見てみたくなり、歩いて向かうことにした。
交差点に入ると、緑のいい香りがした。ウェスタウンは土臭いが、牧場は空気が綺麗だ。
「ウェイン?」
遠くから声が聞こえた。牧場の方からだった。
「ああ、カオルか。遅くまで大変だね。」
カオルは手を土まみれにして農作業をしていた。カオルは一旦手を止めると、「ウェインも来るの大変だったでしょう。どうしたの?」と言って笑った。
「カオルとお話したくて」
とっさにいいセリフが出た。ここから繋げられればもっと話せるかもしれない。
「それなら部屋に来る?」
俺は彼女の警戒心の無さに驚いた。都会から来たと聞いたが、まだ若いから世間知らずなのかもしれない。
「それは悪いよ。でも、もし良かったら今度牧場仕事が終わったらウチに寄ってほしいな。」
「そう?」
カオルは首を傾げた。
「うん、美味しいものでも作って待ってるからさ。」
「そっか。…ん?今日は何を話しに来たの?」
カオルは納得したように頷いたが、またすぐに新しい疑問を投げかけた。俺は、話すことがとっさに思いつかず焦った。
「え、えっと…。どんな作物を育ててるのかなって。」
「今作ってるのはじゃがいもだよ。まだ芽が出たばかりだけど…。」
「こんなに細いのに、大変だね。俺に手伝えることがあったら言って欲しいな」
「よく言われる。でも、今ウェインが来てくれて嬉しかった。」
カオルはリュックから花を出すと、俺に手渡した。桃色ルピナス草だと、リシェットから聞いたことがある。
「これは…?」
「ウェインが来てくれて元気が出たから、そのお礼。」
カオルは頬に土がついた顔で静かに笑った。
こんなに素朴な女性は初めてかもしれない。
俺は、ポケットからハンカチを出した。
「ごめんね。きれいな頬に土がついてるよ。」
左手で頬を軽く抑えて、右手のハンカチでそっと土を拭き取った。カオルはいつものぼんやりした顔で俺を見つめた。
「…ちょっとドキドキした。ありがと。」
カオルは俺から目を逸らして、口をもにょもにょさせた。
カオルの初めて見る表情と、二人きりの静かな夜が、俺を妙に緊張させた。
「じゃ、じゃあもう遅いから帰るね」
俺はやや強引に話を切り上げて牧場を後にした。カオルはなにか言いたげだったが、これ以上一緒にいると特別な感情を抱いてしまいそうな気がしたから、今日はすぐ帰ることにした。
桃色ルピナスの甘い香りが、鼻にくっついて離れない。
その日は、どうしても上手く寝付くことができなかった。
ウェスタウンの南にあった牧場の跡地に、少し年下の女の子がやってきた。
カオル…どんな女の子なんだろう。初対面で少し挨拶はしたが、ちゃんと話したことはほとんどなかった。もう彼女が引っ越してきてから5日になるが、彼女はミランダさんの所や動物屋の所に行って、いつも忙しくしているようだった。
そうだ、フォードにも彼女のことを聞いてみよう。
俺はいつものフォードとのティータイムの時間に、カオルについて話してみることにした。
「カオル…?ああ、この前貧血気味だと言ってウチにきたな。」
「どんな女の子だった?」
「どんな、か……。普通の女だとしか思えなかったが。…そんなに気になるなら本人と話してみればいいじゃないか。キミらしくもないな。」
それもそうだ、俺はフォードの話を聞いてから、何度かカオルに話しかけようとした。しかし、なぜか話す内容が思いつかず、気がついたら取り巻きの女の子たちに囲まれて、話に夢中になっているうちにいつのまにかいなくなっているため、話すことが出来なかった。
ある日の21時、なんとなく歩きたい気分になって外に出た。配達で行くこと以外なかったが、牧場に行ってカオルの畑を見てみたくなり、歩いて向かうことにした。
交差点に入ると、緑のいい香りがした。ウェスタウンは土臭いが、牧場は空気が綺麗だ。
「ウェイン?」
遠くから声が聞こえた。牧場の方からだった。
「ああ、カオルか。遅くまで大変だね。」
カオルは手を土まみれにして農作業をしていた。カオルは一旦手を止めると、「ウェインも来るの大変だったでしょう。どうしたの?」と言って笑った。
「カオルとお話したくて」
とっさにいいセリフが出た。ここから繋げられればもっと話せるかもしれない。
「それなら部屋に来る?」
俺は彼女の警戒心の無さに驚いた。都会から来たと聞いたが、まだ若いから世間知らずなのかもしれない。
「それは悪いよ。でも、もし良かったら今度牧場仕事が終わったらウチに寄ってほしいな。」
「そう?」
カオルは首を傾げた。
「うん、美味しいものでも作って待ってるからさ。」
「そっか。…ん?今日は何を話しに来たの?」
カオルは納得したように頷いたが、またすぐに新しい疑問を投げかけた。俺は、話すことがとっさに思いつかず焦った。
「え、えっと…。どんな作物を育ててるのかなって。」
「今作ってるのはじゃがいもだよ。まだ芽が出たばかりだけど…。」
「こんなに細いのに、大変だね。俺に手伝えることがあったら言って欲しいな」
「よく言われる。でも、今ウェインが来てくれて嬉しかった。」
カオルはリュックから花を出すと、俺に手渡した。桃色ルピナス草だと、リシェットから聞いたことがある。
「これは…?」
「ウェインが来てくれて元気が出たから、そのお礼。」
カオルは頬に土がついた顔で静かに笑った。
こんなに素朴な女性は初めてかもしれない。
俺は、ポケットからハンカチを出した。
「ごめんね。きれいな頬に土がついてるよ。」
左手で頬を軽く抑えて、右手のハンカチでそっと土を拭き取った。カオルはいつものぼんやりした顔で俺を見つめた。
「…ちょっとドキドキした。ありがと。」
カオルは俺から目を逸らして、口をもにょもにょさせた。
カオルの初めて見る表情と、二人きりの静かな夜が、俺を妙に緊張させた。
「じゃ、じゃあもう遅いから帰るね」
俺はやや強引に話を切り上げて牧場を後にした。カオルはなにか言いたげだったが、これ以上一緒にいると特別な感情を抱いてしまいそうな気がしたから、今日はすぐ帰ることにした。
桃色ルピナスの甘い香りが、鼻にくっついて離れない。
その日は、どうしても上手く寝付くことができなかった。