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「あーー! 全然うまくいかねーってばよ!」
「お前は本当に才能がないのぉ」
目の前では、もう何度目になるのか分からないやり取りが繰り広げられていた。怒鳴るナルト君と、呆れたように返す自来也師匠。その光景に、さすがの私も呆れてしまい、ため息すら出てこない。
ナルト君に九尾のチャクラコントロールを教えるため、現在は口寄せの術の特訓中だ。しかし、その成果はあまりにも乏しい。今も呼び出されたのは、おたまじゃくしに足が生えた程度のカエル。これを進歩と呼んでいいのかすら怪しい状態だった。この調子では、第三試験までに間に合うとは到底思えない。
「おっと、もうこんな時間か。ワシは取材に行くからの。お前はここで修行してろ。名前、お前もついてこい」
唐突にそう告げられ、思わず眉をひそめた。
「えーっ! コツとか教えてくれてもいいじゃねーか!」
「甘えるんじゃないっての!」
ナルト君の抗議は、あっさりと切り捨てられる。完全にいつもの流れだった。
『取材って……どうせ、のぞ――』
そう言いかけた瞬間、ガシッ、と首に腕を回される。
『ちょっ――』
抗議の声も虚しく、そのまま半ば引きずられるように連れて行かれた。抵抗しようとしても無駄だと体が先に理解している。ごめんね、ナルト君。と心の中でだけ謝る。元師匠であるこの人には、どうやったって逆らえないのだから。
「ぐへ、ぐへへ……ええのぉ、ええのぉ」
『やっぱり覗きじゃないですか。前より酷くなってますよ、自来也師匠』
呆れを隠そうともせずに言うと、当の本人はまったく悪びれる様子もなく笑った。目の前の光景に思わず額を押さえたくなる。
「おお、お前さんにそう呼ばれるのは懐かしいのぉ。まさか木ノ葉に戻ってきとったとはな」
『……師匠はやっぱり違いますね』
「ん?」
『生きていた、じゃなくて……“戻っていた”なんですね?』
師匠は一瞬だけ目を細め、それから小さく笑った。
「そりゃあ、あの血継限界を聞けばの。どこかで生きとるとは思っとったよ。もっとも、あのジジイが殉職の報告を出した時は驚いたがな……じゃが、今となっては、あの判断は正解だったと思うとる」
『……本当に、正解だったんですかね』
ぽつりと本音が零れた。木ノ葉へ戻ってきてからの出来事が、ふと頭をよぎる。死んだことになっていた人間が生きていた。本来なら、喜ばれるべきことなのだろうけど、戻ってこない方がよかったんじゃないか。そんな考えが、時々胸をよぎってしまう。自分でも最低だと思いながら。
「アホ言え。正解に決まっとる」
私の迷いなど取るに足らないものだと言わんばかりに、師匠は間髪入れずに言い切った。
「お前の秘密を守るための行動じゃろうが。あの状況で殉職にしない方が、よっぽど怪しまれる。それにな、あのジジイがワシにお前の秘密を教えたんじゃ」
『……』
「探せってことだと思ったよ」
まっすぐな言葉で、逃げ道を作らない断言。三代目と師匠のことを知っているからこそ、その言葉は妙に腑に落ちた。きっと二人ならそうする。だからこそ、何も言い返せなかった。
『……そうですか』
「相変わらずの反応だのぉ。消息を絶つ前は、もう少し感情豊かだったと思うんじゃが」
くつくつと笑う声が耳に届く。そして。
「お前さんが気に病んどるのは、カカシのことじゃろ」
不意にその名前が落とされ、びくり、と肩が跳ねる。反応するつもりなんてなかったのに、体が先に動いてしまった。当然、自来也師匠がそれを見逃すはずもない。にやり、と口角が吊り上がる。
『……誰も先輩の名前なんて出してないじゃないですか』
ジライヤ「ふん。わしに隠し事などできると思うなよ」
どこか得意げな顔だった。昔からこうだ。こちらが隠しているつもりでも、気付けば全部見抜かれている。だからこそ、反論するだけ無駄だと知っていた。私は小さく息を吐き、強引に話題を変える。
『それにしても、ナルト君の修行。あんな方法でいいんですか?』
ジライヤ「ん?」
『とても上達するようには見えませんけど』
先ほどまでのおたまじゃくしを思い出し、思わず眉をひそめる。あれで本当に第三試験までに間に合うのだろうか。正直、不安しかなかった
「なら、お前さんがコツを教えてやればいい。同じ〝うずまき一族〟であるお前がな。のう、うずまき名前」
『…………』
その名で呼ばれたのはいつ以来だろうか。
