中忍選抜試験編 後編
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『⁉︎……ナルト‼︎早く‼︎』
気づいた時には、意識は現実へ引き戻されていた。けれど状況は変わらない。私たちは今もなお、崖の底へ向かって真っ逆さまに落ち続けている。慌ててナルトへ声を飛ばした。
ナルト「わかってるってばよ‼︎口寄せの術‼︎」
ボンッ‼︎
激しい衝撃とともに視界が大きく揺れる。
『いたたた……なんとか間に合った……』
強く体を打ちながらも、落下の勢いは止まっていた。どうやら、ナルトが口寄せした巨大な何かに受け止められたらしい。揺れる体を起こし辺りを見回すけれど、その全貌は見えない。視界に入るのは巨大な皮膚と圧倒的な質量感だけ。
ナルト「尻尾もなし!やったってばよー!口寄せの術成功だってばよ‼︎」
『フフフ、さっきまで死にそうだったのに、本当にナルトは元気だね』
ナルト「当たり前だってばよ!成功して喜ばない方がおかしいってばよ!な!見たか!見たか!俺の凄さ!」
興奮したまま胸を張るナルトに、思わず笑みがこぼれる。ひとまず、死ぬことは回避できたらしい。けれど次の問題は、ここからどうやって地上へ戻るかだ。そんなことを考え始めたその時だった。
ガマブンタ「ワリャガキャ!ワシの頭の上で何騒いどんじゃボケ‼︎」
『っ⁉︎』
ナルト「うわっ⁉︎」
突如響いた怒声に体がびくりと跳ねる。足元がぐらりと大きく揺れ、慌てて視線を向ければ巨大な影がゆっくりと姿を現す。ぎょろりとした大きな目、煙管を咥えた圧倒的な存在感を放つ巨大なカエル。
ガマブンタ「ったく……妙な場所に呼び出しおって」
低く腹に響く声には、隠しきれない苛立ちが滲んでいた。その威圧感だけで周囲の空気が震えているように感じ、思わず息を呑む。彼は、自分を呼び出したのは自来也さんだと思っているらしい。目の前にいるナルトを見るなり、子ども扱いを隠そうともせず、露骨に見下した態度を取っている。
普通ならここは黙ってやり過ごす場面だけれど、ナルトはそんな性格じゃない。相手がどれだけ大きかろうが恐ろしかろうが、引き下がるなんて選択肢は最初から持っていない。嫌な予感がした。隣を見ると、案の定ナルトのこめかみに青筋が浮かんでいる。これダメなやつだ、そう思った次の瞬間。
ナルト「誰がガキだってばよ‼︎」
勢いよく響いた怒鳴り声に、私は思わず顔を覆いたくなった。そしてまた、新たな危険が迫ろうとしていた。
『で、話はついたの?』
ナルト「シー!シー!ガマオヤビンを馬鹿にしちゃダメだってばよ!あんなやつ怒らせたら死ぬってばよ!」
慌てたように制止してくるナルトを見て、なんとなく上下関係が決まったのだと理解する。まあ、最初から決まっていた気もするけれど。2人の言い合いがようやく終わった時だった。ぬるり、と何かが体に巻きつく。嫌な感触に肩が跳ね、気づいた時には、大きな舌が私たちの体を絡め取っていた。
『え…⁉︎』
次の瞬間、凄まじい勢いで体が引き上げられる。
ガマブンタ「しっかり掴まっとれ、ガキどもォ‼︎」
助走をつけたガマブン太が、蹴り砕く勢いで跳び上がったのだ。景色が一瞬で遠ざかる。猛烈な風が頬を叩き、重力が全身へ容赦なくのしかかった。
ナルト『「う、いやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」』
ただ必死に、振り落とされないよう耐えるしかなかった。やがて、ドンッ、と大きな衝撃とともに地上へ辿り着く。
『っ……!』
私はすぐにガマブン太の背から降り、小さく息を吐いた。助かった、と少しだけ安堵したけれど、視線を上げればナルトはまだ背中へしがみついたままだった。大きくしなる体に振り回されながらも、落ちまいと必死に耐えている。
ナルト「ぜってぇ落ちてたまるかってばよぉぉぉ‼︎」
ガマブンタ「ハッ。まだ掴まっとるんか、根性だけはあるようじゃなァ」
面白がるような声に、私は思わず顔を引きつらせた。
『やっぱり体力お化けだ』
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数分前……。
ジライヤ「これは驚いた…まさか、いや、あの力は…」
崖の上から見下ろした先。揺らめく青いチャクラに、思わず目を細める。見間違えるはずがなかった。あれはあいつと同じものだ。胸の奥が、ぞわりと震えた。確かに知っている感覚。忘れたくても忘れられない、あの女を思い出させる力。
〝このままじゃ崖から落ちちゃう⁉︎〟
あの時、なぜ分かった。どうして崖の先で起きていた状況を知っていたのか。普通なら見えるはずもない。感じ取れる距離でもない。
〝自来也、止まれ。急いでそこから一キロ後退しろ。敵の罠だ、死ぬぞ〟
低く迷いのない声を思い出すだけで、あの時の冷たい空気まで蘇る。
〝ったく、だから言っただろ。戦場では仲間だろうが気を張っておけってな。私が来ていなかったら死んでたぞ〟
振り返った先には、呆れたように笑う横顔と風に揺れる長い髪。あの女は、いつだって一歩先を見ていた。誰も気づかない危険を察知し、誰より早く死の気配を嗅ぎ取る。まるで、“未来”でも見えているかのように。
ジライヤ「……まさか、な」
小さく息を吐く。昔の記憶と今目の前にいる少女の姿が重なった。青いチャクラ。異様なまでの勘の鋭さ。そして、どこか面影を感じさせる雰囲気。偶然にしては、あまりにも出来すぎている。
これは、一体……。
