出会い編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日の任務は、脱走した猫の捕獲らしい。
ナルト「またこんな任務かよ……」
不満そうにぼやきながらも、現地へ着くなり三人は一斉に散っていく。私と会う前に、かなり危険な任務を経験したらしく、刺激の少ない仕事にはどうにも退屈しているようだった。私はカカシさんと並んで木の太い枝へ腰を下ろし、耳に付けたトランシーバー越しに三人の様子を見守っていた。
ナルト「いたってばよ!!」
サクラ「ナルト! 大声出したら逃げるでしょ!」
ナルト「行くってばよ!」
サスケ「……ウスラトンカチが」
三人の騒がしい声が流れ私は思わず吹き出した。その笑い声に反応したのか、隣のカカシさんが本から目を離し、片方の目だけを細めてこちらを見る。
カカシ「楽しそうだね」
『……はい。あの、カカシさんは行かないんですか?』
カカシ「俺が行ったら意味ないからね。あいつらの修行でもあるし。必要があれば、ここからアドバイスするだけ」
そう言って、カカシさんは再び本へ視線を落とした。出会ってからというもの、任務中でも手放さず読んでいる姿しか見たことがない。そんなに〝イチャイチャパラダイス〟という本は面白いのだろうか。少しだけ気になりながらも、私は再び三人へ視線を向けた。
猫を捕獲するための連携も、その動きも私にはどこか新鮮に映る。ナルトが勢いよく駆け出せば、サクラが逃げ道を塞ぎ、サスケがその先を読んで回り込む。まだ、ぎこちなさを見せながらもお互いの動きを意識し役割を果たそうとしているのが伝わってきた。
ふと視線を巡らせると、少し離れた場所でも別の班が任務に当たっている。ナルトたちとは異なる連携で術を駆使し、無駄のない動きで目標を追い詰めていく。同じ任務とは思えないほど班ごとに戦術が違っていた。その光景に、私は思わず息を呑んだ。
面白い。
気づけば、周囲の音すら遠のいていた。すっかり集中して見入っていた、そのとき。不意にすぐ傍からページをめくる音に紛れるように、ぽつりと声が落ちる。
カカシ「……そういえばさ」
『……?』
カカシ「〝さん〟って呼び方、ちょっとしっくりこないんだよなー」
『呼び方ですか? でも、目上の人には敬語を…』
カカシ「敬語はそのままでいいよ。でも、なんていうか……少し距離を感じるんだよね」
『……じゃあ、……カカシ?』
カカシ「……おっと。だいぶ距離詰めたね」
瞬きをひとつした後、ほんの少しだけ目元が緩んだ。少し違ったらしい。どう呼ぶのが正解なのかと考え、言葉を探すように視線を宙へさまよわせる。そのとき、ふと頭に浮かんだのは、ナルトたちが呼んでいた呼び方。
『じゃあ……カカシ先生?』
カカシ「そーそー。それでいい。よろしくね」
満足そうに目を細める。その表情を見ていると、もしかしたら私がまだ里や班に馴染めずにいることを気遣ってくれたのかもしれないと思った。それに、呼び方が変わっただけなのに不思議と距離がひとつ縮まった気がする。胸の奥がじんわりと温かくなって、私はほんの少しだけ勇気を出した。
『……カカシ先生。全部、捕まえちゃいましょう』
カカシ「……えっ?」
その気の抜けた返事が可笑しくて、思わずクスッと小さく笑ってしまった。
ナルトたちなら、きっとできる。でも、それだけじゃなくて、私もあの輪の中に入りたかった。木の上から見ているだけじゃなく、同じ場所で走って、考えて、一緒に任務をしてみたい。そんな気持ちが、いつの間にか胸いっぱいに広がっていた。
