遙かなる再会の章
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サスケ「逃すかよ」
サイ「っ…… 名前さん」
その一瞬で、彼女の体は俺の手の届かない場所へと引き寄せられていた。その事実に苛立ちが込み上げ、舌打ちしかけた勢いのまま草薙の剣に手をかけるが、その動きは途中で止まる。意識が、強引に別のものへと引き寄せられる。
異様なチャクラ。肌が粟立つほどの濃密な圧に、反射的に視線を向けると、そこにいたのは赤い獣の瞳をしたナルトだった。次の瞬間、視界が歪み、気づけば薄暗い建物の中にいた。充満するのは重く禍々しい気配。
サスケ「……まさか、お前の中にこんな化け物がいたとはな、ナルト」
ナルト「……どうしてお前が」
ナルトの声には驚きと戸惑いが混ざっていた。それに呼応するように、赤いチャクラがさらに激しくうねり、膨れ上がっていく。やがてそれは形を成し、巨大な狐の姿へと変わった。
キュウビ「ナルトの中のワシが見えるまでになるとはな。忌々しいその写輪眼……うちは一族のガキか」
低く響く声。
だが、それすら意に介さず静かに見据える。
サスケ「どうやら写輪眼は初めてじゃないらしいな」
キュウビ「その瞳力と、わし以上に禍々しいチャクラ……そして、名前に向けるその執着心。かつての、うちはマダラと同じだな。残念だが、あいつは誰のものにもならない……諦め――」
サスケ「知るかよ、そんなやつ」
言葉を遮る。九尾の言葉も警告もどうでもいい。今、頭にあるのはあいつのことだけだ。力を込めたその瞬間、九尾の姿がひび割れるように崩れ始める。赤いチャクラは霧のように散り、空間からゆっくりと消えていった。
キュウビ「わしの力を押さえ込むまでになるとはな……お前に……伝えておく……ナルトは殺すな……あとで後悔することになる……」
その言葉を最後に巨大な妖狐の姿は完全に消え、同時に視界が揺らいで意識が現実へと引き戻される。次の瞬間、ヤマトが動きをみせた。木遁の拘束から逃れるように跳躍して、そのまま地上へと降り立ち、ゆっくりと視線を落とす。見下ろした先、そこにはサイの腕の中で抱き上げられている名前の姿。
その光景を認識した瞬間、胸の奥がざわついた。さっきまで、あれは俺の腕の中にあった。俺のつけた痕が残るその体に、今は別の男の手が触れている。その事実が視界に焼き付き、指先に力がこもる。俺以外のやつに触れられているなんて、どうしても受け入れられない。
〝あいつは誰のものにもならない〟
九尾の言葉が頭の奥で何度も反響する。ふざけるな、あいつは俺のものだ。その思考に突き動かされるまま、もう一度彼女の元へ向かおうと踏み出す。だが、不意に腕を掴まれ、強く引き止められる。苛立ちのまま振り払おうとしながら、視線だけを向ける。
オロチマル「今回は諦めなさい」
サスケ「……放せ」
カブト「また、大蛇丸様に向かってそんな口の利き方を。名前ちゃんが欲しい気持ちには同感だけど、彼女は木の葉にいた方がいい。暁を一人でも多く始末してくれそうだからね。ここは我慢どころだよ」
サスケ「情けない理由だな」
カブト「君の復讐の可能性を上げるために必要なことだろう?」
サスケ「………」
オロチマル「行くわよ」
その声に背を向けながらも視線だけは外さない。
サスケ「名前、お前は俺のものだ。忘れるな」
その言葉に応えるように、腕の中で支えられたままの名前が弱々しく顔を上げ、青い瞳でまっすぐこちらを捉えた。あの薬の影響はまだ残っているはずで、まともにチャクラも練れない状態だったはずなのに、それでも俺の拘束から逃れるだけの力を引き出したという事実に、胸の奥でわずかに笑みが浮かぶ。
やっぱりこいつは俺に相応しい。そう確信しながら静かに踵を返し、今すぐでなくても構わないと割り切る。手に入れる機会なんて、いくらでもある。
