遙かなる再会の章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『だって私、あなたより強いから』
僕に組み敷かれたまま、彼女はそう言った。その瞳は驚くほど澄んでいて、まるで僕のすべてを見透かしているかのようだった。
僕は“感情”というものがよくわからない。だから、人の表情や言葉に意味を見出すこともほとんどない。それでも、初めて会った時からこの瞳だけはなぜか記憶に残っていた。理由は分からない。分からないけれど、確かにどこかに引っかかっている。
サイ「……そのようですね」
ゆっくりと上体を起こし、彼女から身を離す。彼女の言う通りだ。真正面から戦えば、おそらく勝てない。いや、仮に背後から闇討ちを仕掛けたとしても結果は同じだろう。返り討ちにされる。一年前のように。
__________
______
サイ「……あの人か」
小さく呟きながら、湖の中心で胡座をかき、目を閉じている彼女を観察する。ダンゾウ様から渡された書類の内容を、もう一度頭の中でなぞった。間違いなく、目の前の人物が任務対象だ。
素性にはいくつか不自然な点がある。だが、経歴や人脈を辿っても、決定的に引っかかる部分は見当たらない。それでも「将来、木ノ葉に危険を招く人物だ」と判断され、暗殺命令が下された。理由は重要じゃない。どう危険になるのかも関係ない。僕はただ、与えられた任務を遂行するだけだ。資料上の戦闘能力なら問題はない、そう判断し巻物へと手を伸ばす。その瞬間、首元にひやりとした感触が触れた。
『殺しに来たってことは……殺される覚悟もあるってことだよね』
サイ「………」
早い。それに、この圧はさっきまでとは比べものにならない。僕の存在に気づいて、あえて抑えていたのかと理解した瞬間、この人は格上だと判断する。ここまでかと結論づけ、巻物から手を離した。その瞬間、首元に当てられていたクナイが静かに下げられ、同時に彼女は一歩距離を取る。
『……木ノ葉の暗部?』
サイ「……」
答えないというより、答える必要がない。
『……お話してくれないんだ。まぁいいか』
肩をすくめるようにして彼女は言い『気をつけて帰ってね』と微笑みながら手を振った。暗殺に失敗し、笑顔で帰される、そんな経験は初めてだった。僕はその場を離れず彼女を観察する。すると彼女もまた、青く澄んだ瞳でこちらを見ていた。まるで、すべてを見透かしているかのような視線だ。なぜかは分からないがそう感じた。
_____
__________
この時からだろう、彼女を“危険だ”と思ったのは。そしてその彼女が今、薬師カブトに抱えられている。ぐったりと力の抜けた身体、意識はなく完全に気を失っていた。……あの彼女が、こんな状態になるとは想像していなかった。
オロチマル「まさか、その子を連れてこられるとはね。あなた、そんなに強かったかしら」
カブト「いやー、運が良かっただけですよ」
軽い調子で答えながら、カブトは腕の中の彼女を抱え直す。
カブト「クローンとの戦闘に、ナルトくんの暴走を抑え込んで……力を使い果たしていたみたいで。まさか、綺麗になった彼女をこんなに早く手に入れられるなんて」
その言葉と同時に、カブトは意識のない彼女の頬へ、自分の頬を擦り寄せた。その仕草には研究者としての興味だけではない、どこか粘つくような執着が滲んでいる。
サイ「その人、何か特別なんですか」
その問いに、カブトは一瞬だけこちらへ視線を向けたが、すぐに興味を失ったように肩をすくめる。
カブト「君が知る必要はないよ。けど、この子に手を出そうものなら容赦はしない」
声色は穏やかなままなのに、空気だけがわずかに張り詰めた。やはり、ただの研究対象ではないらしい。
オロチマル「フフフ……サイ、と言ったかしら。彼女については、移動しながら話してあげるわ。あなたも興味があるでしょう?」
そう言って、細い指で気絶している彼女の髪を一房すくい上げた。
オロチマル「でも、手は出さないことね。カブトは、怒らせると厄介よ。それに……まぁいいわ、気をつけなさい」
カブトは相変わらず笑みを浮かべているが、その腕は彼女を決して離そうとしない。この時の僕はまだ知らなかった。大蛇丸が最後に言いかけた言葉の意味を。そしてこの後、カブト以上に彼女へ異様な執着を見せる男に出会うことも。
