遙かなる再会の章
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それは、無事に木ノ葉へ帰還してすぐのことだった。今回の任務で、サソリからサスケに繋がる可能性がある情報を得た。天地橋へ向かうため、ナルトと一緒に第七班の穴埋めとなる人材を探していた時だった。
「君、力弱いね。それでもチンポついてるんですか」
ナルト「なにっ⁉︎」
金属音が弾けた。ナルトのクナイを忍刀で受け止めた男は、口元だけで笑っていた。貼り付けたような笑み。そのくせ目はひどく冷たい。炭のような乾いた匂いが、ふわりとかすめる読めない男。それが、彼の素顔を見た第一印象だった。私は地を蹴り背後へ回り込むと、そのままクナイを男の首筋へ滑り込ませた。白い肌に刃先が触れる寸前で止める。
『当たり前でしょ。同じ里の人間に本気で殴るわけない』
「…そう言う君は……随分、鋭い殺気ですね…… 名前さん」
『まぁ、一度……』
一年前の出来事が、ふと脳裏をかすめた。ローブと仮面に包まれた暗部。炭のような、乾いた匂い。あの時の男だ。記憶が繋がりかけたその瞬間。
シカマル「名前!逃すなよ‼︎」
鋭い声に、はっと視線を落とす。足元で影が静かに伸びていた。私は即座に男の服へ手を伸ばす。布越しに腕を掴み動きを封じるつもりだった。同時に影が足元へ迫る。あと一瞬、そのはずだった。
「また会うことになるよ。ナルト君、名前さん」
淡々とした声だった。次の瞬間、掴んだはずの感触が消え、視界からその姿が掻き消えた。残されたナルトと私は、しばらくその場の気配を探っていた。だが、さっきまで確かにそこにあった気配は、まるで最初から存在しなかったかのように消えている。ナルトが悔しそうに小さく舌打ちをした。
ナルト「……くそっ」
私も周囲を見回すが、やはり何の痕跡もない。やがて顔を見合わせ、小さく息をついた。これ以上ここにいても意味はなさそうだ。
シカマル「逃げられんなよ」
『ごめん……。けど、また会うって言ってたし大丈夫だよ』
そう言いながら、さっきのことを思い返す。あの男は仮面を外して私の前に現れた。なにか意味があるはずだ。まさか、このあとすぐに出会うことになるなんて、この時は思ってもみなかった。
シカマル「何が大丈夫なんだよ、ばか」
『いった……』
後頭部に軽い衝撃が落ちる。振り向けば、シカマルは眉間に皺を寄せて私を睨んでいた。
シカマル「つか、お前!なんで帰ってきた事俺に報告しねぇんだよ!」
『えっ……あっ……さっき帰ってきたばかりで……いろいろ報告とか』
言い訳を口にする間にも、ぐっと距離を詰められる。その瞬間、ふと我愛羅との出来事が脳裏をよぎった。体が勝手に反応して、一歩後ろへ下がる。さらに一歩。背中が壁にぶつかり、ドンッと鈍い音が響いた。気づけば両側を腕で塞がれていて、逃げ場はなかった。目の前には険しい顔のシカマル。
三年前と比べて、随分体格に差が出たと思った。彼の顔を見るには自然と見上げる形になるし、私の体は彼の体にすっぽりと囲われてしまう。それは、息がかかるほどの距離だった。
シカマル「馬鹿野郎。帰ってきてから俺は……お前にな……」
そこで言葉が止まった。口を開けたまま固まり、視線が泳ぎ、わずかに逸らされた顔をよく見ると耳が赤かった。シカマルがこんな顔をするなんて珍しい。言葉を探しているのが分かり、声をかけようとしたその瞬間、足音と一緒によく通る声が割り込んだ。
イノ「チョウジ、こんなところにいたのね。アスマ先生が早く来いって……シカマル。あんた、真っ昼間から女口説く度胸あったのね?」
そう言ったイノは状況を視界に収めた途端、にやりと口角を上げた。彼女の言葉に空気がぴたりと止まる。なるほど。壁に追い詰められている私、その両脇を塞ぐシカマルの腕はどう見ても完璧な構図だ。
シカマル「ちげーよ⁉︎ ばっ……馬鹿野郎‼︎」
珍しく声が裏返っている。耳の赤さがさっきよりもさらに増していた。少し後ろで、チョウジがいつも通りポテチを食べ続けている。まるでこの状況を気にする様子もない。イノとナルトは腕を組み、面白そうに肩をすくめた。
イノ「へぇ? どう見てもそういう雰囲気だけど?」
ナルト「あら〜、シカマルさんもすみにおけないですわね〜」
シカマル「うるせぇ!そんなんじゃねぇ!」
言い返しながらも、まだ腕は壁についたままだった。
『イノ‼︎ 久しぶり』
私はシカマルの腕をぐいっと持ち上げ、その隙間から顔を覗かせた。一瞬、彼女の動きが止まり、次の瞬間ぱっと目を見開く。
イノ「あんた‼︎ もしかして名前なの⁉︎ちょっと、帰ってきてたなら声掛けなさいよ!」
『ごめん。さっき帰ってきたばかりだったの』
イノ「そうだったの!っていうか……随分、垢抜けたわね」
『え?』
イノ「なんていうか……前よりずっと女っぽい」
まじまじと顔を覗き込まれ、視線が上から下へじっくりと移動する。次にはくい、と顎に指を当てられ左右に顔を動かされた。やがて、その視線がゆっくりと黙り込んでいるシカマルへ流れ、また口角が上がる。
イノ「これじゃあ……」
シカマル「何だよ」
イノ「シカマルが焦るのも分かるわね」
シカマル「は⁉︎ 焦ってねぇし!」
『……焦ってたの?』
シカマル「焦ってねぇって言ってんだろ!」
視線を逸らしながら言うその横顔は、まだほんのり赤い。イノは楽しそうに肩をすくめた。
イノ「ふーん? ま、いいけど。とりあえずアスマ先生待ってるわよ。続きはあとでね」
意味深な言葉を残し、くるりと踵を返す。去っていくイノとチョウジの背中を見送りながら、そっと隣を見ると、シカマルは不機嫌そうに眉を寄せたまま「めんどくせぇ」とぼそりと呟いた。
その後、ナルトはもう少し探してみると言ってその場を去り、残された私はシカマルに誘われ、お茶をする事になった。
