風影奪還の章
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砂の門の前、朝の光が彼女の背中を照らしていた。形式的な挨拶は、今しがた終わったところだ。このまま見送ればいい。それが正しい判断だと、風影としての俺は分かっている。それでも、何も言わずに別れることだけは、どうしてもできなかった。
ガアラ「名前」
名を呼ぶと、振り返った彼女と視線が合った。その一瞬で、胸の奥に押し込めていた何かが静かに決壊しかけた。
ガアラ「俺は、お前が好きだ」
言葉にした瞬間、不思議なほど心が静まった。背後で、テマリとカンクロウが同時に息を呑む。昨日、二人に言われた言葉が頭をよぎる。〝公共の場では何もするな〟だが、そんなもの知ったことか。彼女の目がわずかに見開かれる、朝の光の中でその瞳が揺れた。
『我愛羅。私……』
彼女が言葉を探すように口を開く。
だが、俺は静かにそれを遮った。
ガアラ「……俺は風影だ。里を守る立場にいる以上、軽率なことはできない。だが、それでも……お前を特別だと思っている」
言葉は、驚くほど自然に口から出た。
ガアラ「守りたい。必要だ。傍にいてほしい。風影としてではなく……一人の男として、だ」
想いを口にすることはもう怖くなかった。拒まれるかもしれないけど、伝えないまま終わることの方がよほど耐え難い。
ガアラ「答えは、今でなくていい」
一歩距離を詰めると彼女の気配がすぐ近くにあった。
ガアラ「俺は待つ。お前がどんな選択をしても、それを尊重した上で……それでも、待つ」
それは縛るための言葉ではなく、誓いに近い静かな宣言だった。きっと、彼女の中で俺は友人の一人なのだろう。そして、その胸には別の誰かがいる。そんな気がした。
さらに一歩、距離を詰めたその瞬間、彼女が無意識に半歩だけ後ろへ下がった。それを見て、思わず口角がわずかに上がる。いつもなら、こういうことに関しては無防備なのに。少しは学んだらしい。けど、逃がすつもりはない。
足元の砂をわずかに動かし、彼女の足首へ絡める。そのまま手を取り、こちらへ引き寄せた。距離が一気に縮まり、俺は静かに彼女の頬へ手を添えた。躊躇いはない。ほんの一瞬、不意を突くように軽く頬へ口づけ、すぐに唇を離した。彼女は、言葉を失ったように目を見開いている。
『なっ⁉ ……また、みんなの前でっ』
頬を赤くしながら抗議する彼女に、俺は静かに答えた。
ガアラ「別れの挨拶だ」
そう言ってから、彼女の背後に立つ男へと視線を移す。表情はいつも通り、どこか掴みどころのない、あの顔。けど、ほんのわずかだが空気が張り詰めている。あの男は気づかれていないつもりなのだろう。俺には分かる。はたけカカシは、彼女をただの教え子として見てはいない。自覚があるかどうかは別として。だからこそ、俺は一言だけ言葉を残した。
ガアラ「……お前も、苦労するな」
カカシ「………」
ほんの一瞬、沈黙が落ちる。
その空気を破ったのは。
ガイ「何を言う!私の辞書に〝苦労〟という文字はない!安心しろ風影‼︎」
横から勢いよく割って入ったマイト・ガイの声に、思わず、ふっと頬が緩んだ。彼女の周りは騒がしい。
ガアラ「また、会おう」
『うん、またね我愛羅』
ナルト「またなー!我愛羅‼︎」
