中忍選抜試験
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カカシ「まっ、上を目指すのはいいことだが、覚悟はしておけよ。忍の世界は甘くないってこと」
『…今更それを言うんですか?もう受験するの決まってるのに』
カカシ「念のためだよ、念のため。お前は過酷な生活してたから大丈夫だと思うよ。……受からなくてもいい…死なずに帰ってこれたら十分さ」
『え、死人出るんですか?』
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と、試験前日の会話を思い出す。試験で人が死ぬなんて、誰も想像しない。いや、私だけかもしれないな。同意書にサインした時でさえ、あまり危機感を感じていなかった。
今思えば、中忍試験の話が出た時からそうだった。まさかメンバー全員が参加しなければいけない事を当日まで隠してたんだから。まあ、私は例外で、参加しなくてもナルト達は参加できたようだけど…。
もう少し詳しく説明してくれても良かったと思う。そうであったなら、こんな状況にはならなかったかもしれない。腕の中で気絶するナルト、傷だらけでボロボロのサクラ、足から血を流し動揺を見せるサスケの姿。そして、彼らをここまで追い込んだ蛇のような女。
初めての感情。恐怖ではない、沸々と込み上げてくる怒りを堪えるのに必死だった。感情に流されてはいけないと、じいちゃんに教えてもらったけれど、我慢できないほどの怒りに襲われたらどうしたらいいのか。
『……なんか、腹が立つ』
抑えられない感情を言葉にすると、女はアホらしいと言うように嘲笑う。気を失ったナルトをサクラに預けながら状態を確認すると、恐怖から腰を抜かし立てそうにはない。逃げるとしたらサスケに2人を運んでもらうしかなさそうだ。
サクラ「名前……」
『大丈夫だよ、サクラ。私が時間を稼ぐから、みんなで逃げて』
サクラ「そんな⁉︎ 名前が死んじゃう!」
『大丈夫だよ』
にっこり笑ってサクラに安心感を与えるけれど、彼女の恐怖は拭えない。これじゃあ逃げてもらうのは不可能だ。サスケに助けてもらおうと彼の方へ向かうが彼も同じ顔をしている。こんな表情は初めてだ。さらに怒りが込み上げ、それが爆発しないよう強く拳を握る。
サスケ「……おい…」
『遅れてごめんね、結構遠くまで飛ばされちゃって戻ってくるのに時間かかっちゃった。みんなが頑張った分、次は私が頑張るよ。だからナルトとサクラを連れてここから離れて』
だからそんな顔しないで、いつものあなたに戻ってほしい。初めて見つけた友達…いや仲間、それを手放すなんてできない。私は絶対にみんなを守る、例え命を落としたとしても。
サスケ「……んな」
『えっ』
サスケ「ふざけんじゃねー‼︎何が頑張るだ!死のうとしてるじゃねーか‼︎」
グイッと強く襟を掴まれ引き寄せられると、怒鳴られた。重なった瞳。初めて見た赤い瞳から目を晒すことができない。
サスケ「お前はすぐ自分を犠牲にする。けどな、顔に〝怖いって〟書いてあんだよ!そんな顔すんならカッコつけたこと言うんじゃねー、ダサいんだよ‼︎」
『……だって、初めてできた仲間を失いたくない』
サスケ「………ククク、本当にうざいなお前」
『……えっ、痛っ』
なぜそうなった。どこに笑われる要素があったのだろうか。おかしそうに笑う彼にトンと頭突きされた額を押さえながら首を傾げた。
サスケ「どう考えてもお前1人だけじゃ時間すら稼げねーよ。俺ら2人であいつをやるぞ。あれ、やってみるか」
〝あれ〟と聞いて、ここで初めて嬉しさを感じた。だって、修行中一度も成功したことのない技を、ここでやろうと言うのだ。でもなぜか、必ず出来るという確信めいたものがあった。彼もきっとそう。
オロチマル「お話は終わったかしら。ずいぶん泣けるドラマだっだじゃない。けど哀れな子達。その子が増えたからなんだというのかしら」
サスケ「ほざいてろ。とは言ったものの、あいつは強いぞ」
『絶対勝つ。それとサスケ、瞳すごく綺麗だね』
サスケ「はっ?……俺も相当アホだが、お前はさらにアホだな」
『ビクビクして動けないよりはましでしょ?和ましたの』
サスケ「フッ、確かにな。絶対しくじんなよ」
『もちろん』
私たちが話終わるまで待っていた女。余裕の現れなのだろう。確実に私たちより強い相手。死が関与する戦い。これが忍。けど、こんなところで止まっていられない。みんなと一緒に私は強くなる。
2人の呼吸が自然と合うのと同時、地を蹴った。私とサスケが交互に攻撃を繰り出す。最初女は余裕の表情で私たちの攻撃をかわした。私たちは少しづつスピードを上げる。
集中力が高まり。徐々に周りの音が消えていく。女の動きがスローモーションのように見えるようになってくると、攻撃は一つ一つ確実に当たるようになってきた。不思議と彼の目で見ているものが見えているような錯覚を起こし、私は2人分の視野を手に入れる。
サスケとの連携が決まり女も苦痛な表情を見せた。
『ハッ……ハッ……ハッ』
初めて、集中力をフルに使い、徐々に呼吸が荒くなるけど、何故か今、この時間を楽しんでいる自分がいた。終わりたくない、止まりたくない。私は必死で呼吸を続けた。
サスケ「へばるんじゃねーぞ‼︎」
『ハッ、ハッ…わかってる‼︎』
オロチマル「あなたは邪魔よ‼︎」
『しまっ…カハッ』
首を掴まれ、そのまま木に叩きつけられた。頭を強く打ち、脳震盪を起こすと女の顔がぼやけ、はっきりと見えない。
オロチマル「ここで寝てなさい」
『ハッ……ハッ……ハッ…』
__________だめ、意識を手放しちゃ。
まだ何もしてない。
呼吸続けて……。
起き上がって、次の攻撃に備えて。
あの技を完成させなきゃ。
みんなを守らなくちゃ。
私の視界は徐々に色をなくし、暗闇に飲み込まれた。
バタン‼︎
真っ暗な世界に、夢の中で見た扉が現れた。
……あれ、私何してたんだっけ。
この時、何故かさっきまでの出来事を全て忘れていた。私が前に開けた扉からは赤黒いモヤのようなものが漏れ出ている。何か禍々しさを感じ、少しずつ後ずさると。
〝フフフフッ、変わって〟
陽気な声が聞こえた途端、扉がバタンと開き、モヤが勢いよく飛び出す。逃げ場などなく、私は飲み込まれた。
_______『フフフフ』
オロチマル「何かおかしいかし……ボキッ⁉︎
私の口は弧を描いていた_________