サスケ奪還編
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サクラ「……名前なら」
緊張で胸がざわつく中、背後から小さな声が聞こえた。振り向くと、サクラが俯いたまま立っている。握り締めた拳が小さく震えていた。
サクラ「名前なら…サスケくんを止められるかもしれない。私には……無理だった……ごめん」
その横顔が今にも崩れてしまいそうなくらい苦しそうで、私はそっとサクラの肩へ手を置いた。
『そんなことないよ、サクラ。サクラの言葉、ちゃんと届いてる。サスケも……分かってるはずだよ』
サクラ「違うの!私と名前じゃ、全然違うの…!」
瞳に涙を滲ませながら、サクラは唇を強く噛み締めていた。彼への想いの強さを知っているからこそ、胸が痛い。
サクラ「好きな…好きな子の言葉なら…絶対、届くはずなの」
一瞬、息が詰まる。昨日サスケに想いを告げられた私が、簡単に否定していいものじゃない。胸の奥がじんと鈍く痛むけれど、サクラが欲しいのはそんな沈黙じゃない。私はゆっくり息を整えて、できるだけ優しく笑った。
『……サクラを泣かせるなんて、ほんとサスケはバカだね。戻ってきたら……ガツンと殴ってやらないと』
できるだけ明るく言うと、サクラの肩がぴくりと揺れた。私はそのまま、まっすぐ彼女を見つめた。
『連れ帰ってくるよ。ちゃんと、ね。だからサクラも……帰ってくるサスケを迎える準備、してて』
口にした瞬間、不思議なくらい迷いが薄れていく。
サクラ「……うん」
サクラは慌てるように涙を拭って、それでも小さく頷いた。震えた声だったけれど、その返事には確かな願いが込められていた。その姿を見た瞬間、胸の奥で静かに、けれど確かな決意が燃え上がる。絶対に連れ戻す。仲間として、大切な存在として。そして、逃げてしまったあの続きを、今度こそちゃんとサスケに伝えなきゃいけない。
ナルトと一瞬だけ視線を交わす。言葉はいらなかった。絶対に連れ戻す。その想いだけが互いの瞳の奥に強く宿っている。ナルトがぎゅっと拳を握った。
ナルト「絶対連れ戻すってばよ」
その声に私は強く頷く。次の瞬間、私たちは迷いなく、木ノ葉の門を駆け抜ける。胸の奥で燃え上がる決意を抱えたまま、ただ前へ。サスケを追って――
シカマル「いいか、お前ら。こいつを全力で守れ」
『……シカマル、真面目に話して』
思わず眉を寄せる。今は冗談を言っている場合じゃない。音の忍に追いつき、サスケまであと一歩というところで発動した敵の術。気づけば私たちは、分厚い土壁の内側へ完全に閉じ込められていた。逃げ場はなく、薄暗い空間。息をするたび重たい空気が肺へまとわりつく。
ネジの白眼によって、この壁の内部で私たちのチャクラが少しずつ吸い取られていることも、すでに分かっていた。時間が経つほど不利になる。焦りがじわじわと全員を蝕んでいく。その空気を断ち切るみたいに、シカマルがわざとらしく肩を竦めた。
シカマル「だから言ってんだろ。こいつ守っときゃ何とかなる」
『だから真面目に──』
言い返しかけた瞬間。
シカマル「大真面目だ、バカ」
