風影奪還の章
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ナルト「綺麗だ」
『フフッ、やめてよナルト。それに全然似てないよ』
ナルト「えー? じゃあこうか? …… 名前、綺麗だってばよ!」
サクラ「それナルトじゃない」
即座に突っ込まれ、ナルトはむっと頬を膨らませる。
カカシ「もうやめてくれ、お前ら」
呆れたような声に、場の空気が少しだけ落ち着いた。風影奪還の任務に私も同行することになった。敵のアジトを発見しそこへ向かう道中、あまりにも熱が入りすぎているナルトを落ち着かせるため、カカシ先生が軽く声をかけたのが発端だった。不貞腐れたナルトが、砂の里での出来事をほじくり返し始めたのだ。カカシ先生には悪いけど、これで和むならと私も少し話に乗る。
ナルト「あんときのカカシ先生てば、絶対本気だったってばよ!名前が綺麗になったから言ったんだって!」
『残念、カカシ先生のそれは“得意な口説き文句”だよ』
ナルト「えー⁉︎ オレは本気だと思うんだけどな〜!」
サクラ「それよりさ……本当に綺麗になりすぎじゃない? びっくりしたんだけど!ねぇ、何したの?どうしたらそうなるの⁉︎」
『あはは……本当に、特に何もしてないよ』
じろじろと頭の先からつま先まで見られたので、そう答えながら照れ隠しに笑う。けれど、サクラは納得いかない様子で腕を組み、ナルトも「ぜってー怪しいってばよ」と首を傾げていた。
大人になったとはいえ、こういうところは二人とも全然変わっていない。その変わらなさがどこか懐かしくて、任務前だというのに胸の奥が少しだけ緩んだ。
サクラ「そうだ! この任務が終わったら、名前は木ノ葉に戻るの?」
『んー……そうだね。その予定だよ』
サクラ「よかったぁ。名前が戻ってきてくれるなら、安心ね!こんな綺麗な子が隣にいたら、他の女性も近寄りにくいし」
カカシ先生は相変わらずなんだな、と苦笑いが溢れる。話を聞く限り、私がいないこの三年間はかなり“ひどかった”らしい。それは私がいなくなる前からだよ、そう言いかけて言葉を飲み込む。私が止めることでもないし、今さら蒸し返す気もない。
それに、あの素顔を一度でも見てしまったら…きっとサクラだって分かるはずだ。カカシ先生に惹かれてしまう、女性たちの気持ちが。私は速度を落とし、からかい半分で小さくなったカカシ先生の横へ並んだ。彼は横目でちらりとこちらを見てから、わざとらしく不貞腐れた声を出す。
カカシ「……なんだよ」
その様子が可笑しくて、思わずくすっと笑ってしまう。
『相変わらずですね、カカシ先生。そろそろいい歳なんですから、もう少しちゃんとしたらどうですか』
カカシ「はいはい、自粛しますよ。まったく……久しぶりに会って、いきなり説教されるとは思わなかったな」
『それは,変わらない先生が悪いんじゃないですか』
そんな他愛ないやり取りをしていると、まるで昔に戻ったみたいで、胸の奥がじんわりと温かくなる。けれど、どこか少しだけ違う。距離が近いようで微妙に遠い。その変化を感じ取っていると、彼がふと思い出したように口を開いた。
カカシ「そういや…ナルトたちと離れたあと、何してたんだ?」
『はぐれた後か……』
言葉を返しながら、私は静かに記憶を辿る。
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『……来てくれたんだ』
静まり返った森の中で背後に立つ気配へそっと声をかける。ここは、私と彼が初めて出会った大切な場所だ。
イタチ「……お前が呼んだんだろ」
『そうだね』
振り向くと、そこにはあの頃と変わらない柔らかな微笑みがあった。その表情を見た瞬間、胸の奥がじんわりと熱を帯びる。考えるより先に身体が動いていた。
彼の胸へ飛び込むと、一瞬だけ驚いたように目を瞬かせ、それから何も言わずに腕を回してくれる。背中に伝わる確かな温もり。懐かしくて、優しくて、張り詰めていた心がゆっくりとほどけていくのが分かった。
『ずっと……会いたかった』
胸元に顔を埋めたまま小さくこぼす。
イタチ「……俺もだ」
その短い言葉が胸の奥に深く染み込み、思わず呼吸が揺れる。私は彼の胸元に額を預け、長い間、心の奥に閉じ込めていた想いを静かに言葉にした。
『……暁にいるのも、うちはを全滅させたのも……理由があるんでしょ。私、知ってるよ。イタチは理由なく、そんなことする人じゃないって』
イタチは何も答えなかったけれど、その沈黙こそがどんな言葉よりも彼の苦しさを物語っていた。
『サスケ、誤解したまま里を抜けた。あなたを殺す力を手に入れるために……』
イタチ「……いいんだ。それで。お前が……わかってくれているなら、それでいい」
どうして、そんなふうに言うの。胸の奥に溜まっていた痛みが今にも溢れ出しそうで言葉が震える。覚悟も孤独も全部背負ったまま、何事もないように微笑むこの人を、私は本当に理解していると言えるのだろうか。受け止めたいと思うのに、その重さに並び立つにはまだあまりにも未熟で、抱きしめる腕にそっと力を込めることしかできなかった。
頬を伝った涙を拭うように、イタチの指先がそっと顎を持ち上げた。触れられた場所がじんわりと熱を帯びる。伏せられていた視線が上がり、優しい瞳がまっすぐ私を捉えた。その眼差しだけで張り詰めていた心が、音を立ててほどけていくのが分かった。
少しずつ距離が縮まる。吐息が触れ合うほど近くなり、私は自然と目を閉じていた。唇が重なる。柔らかくて温かい。確かめ合うようにゆっくりと。ずっと欲しかった温度がそこにあった。
『……イタチ……大好き』
囁くように零れた想いに、彼の腕が静かに力を込める。逃がさないように守るように、その抱擁は世界中のどんな言葉よりも優しくて、私はただその胸に身を委ねることしかできなかった。
