木の葉崩し編
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『私が行かなきゃいけないの』
サスケ「待てって⁉︎お前1人行ってどうにかなる問題じゃ…って!おい!」
手を伸ばす間もなく目の前から消える。
いつもそうだ…自分は俺の中にズカズカと容赦なく土足で入ってくるのに俺の言うことは一切聞かない。
今だってそう、こんな嵐みたいな戦いに俺たちが入る余地なんてない。絶対あいつも分かっているが名前は自分を犠牲にしてでも、守りたいと思ったら止まらない。
俺はお前に死んでほしくない。俺の横でずっと笑ってて欲しい___________
『サースケ』
サスケ「…んだよ。起きてるからその手に持ってるもの使おうとするなよ」
『やっぱり起きてる』と言って手に持っていた猫じゃらしを残念そうに見つめくるくる回すので、使われないように奪い取って投げ捨てた。
サスケ「んで、なんか用か」
こいつが俺のところに来る用事なんて一つしかないが、これを聞くとニヤリと企むような笑顔を見せて答える。あまり見ない表情が俺は嫌いじゃない。
『修行しよ』
サスケ「いやだね、お前弱いし」
そう言って、笑顔を見て満足した俺は背を向けまた目を閉じる。これで引き下がるやつではないが、今日はどうも気が乗らない。何度言われようが無視を貫こうと思ったのだが。
スルッ
サスケ「な、お前、返せって」
『今日の修行は鬼ごっこだよ。私を捕まえたら返してあげる』
サスケ「そんな話にのるわけ…」
『…実戦はまだ勝てたことないけど…たしかサスケ、鬼ごっこではまだ私を捕まえたことなかったよね。しょうがない返してあげるか…』
サスケ「上等だ。すぐに捕まえて泣かせてやるよ」
そう言って、俺から奪った額当てに手を伸ばすと、びっくりしたように距離をとり、嬉しそうに笑う。
『まだスタートって言ってないのに。それじゃ、時間は日が暮れるまでの2時間。額当てを手にしていた方が勝ちだよ。10秒数えてサスケはスタートね』
サスケ「…ほんとに勝手なやつだな」
と言いつつも、言われた通り10数え、彼女の後を追う。実際、あいつがいうように俺は鬼ごっこで勝てたことがない。名前を捕まえるのは容易いものではなく、特に森に入られると見失うほどの動きを見せる。野生の猿かと思うくらい。癪だが、体捌きや感知が磨かれいい修行になるだろう。
______________
サスケ「ハァ、ハァ、ハァ…たく、手こずらせやがって。もう逃げ場はねーぞ」
名前の後ろは高さのある滝壺。ここから落ちれば怪我なしではすまないだろう。
『ハァー、ハァー、写輪眼は…反則だよ』
サスケ「使っちゃいけないルールなんてないだろ」
『そうだけど…フフ、けど写輪眼使ってもらえるくらいには成長したってことかな』
彼女の言うとおり、森に入られてからは写輪眼を使わなければ見失うところだった。身のこなしが軽やかで、捕まえたと思ったらするりと交わされる。素直に「そうだな」と無意識に口にしてしまい、ハッと我に帰り訂正の言葉を述べようとしたが名前の満面な笑みに言葉を失う。
『ハハハ、嬉しいな。と、これ渡さなきゃね』
綺麗だ。
夕日が重なった影響か滝の水飛沫がキラキラと輝き、その笑顔をより引き立たせていた。遅れて渡されたそれに手を伸ばした_________
『えっ』
サスケ「なっ⁉︎」
俺の手に渡る前に、横からそいつが掻っ攫い滝壺の方へ飛んでいく。今飛べば届くだろうが真っ逆さまに落ちてしまうだろう。どうするべきか、一瞬の判断が俺の一歩を遅らせた。
なのに、なんであいつは迷わず行くんだ。
この高さから落ちれば、大きな怪我になるなんて誰にだってわかるのに、あいつは迷うことなく飛び、額当てを鳥から奪うと、俺に放り投げた。しっかりそれを掴み、あいつの腕を掴もうと手を伸ばしたが届かない。
俺にVサインを見せニコッと笑った。
サスケ「んで、お前は考えなしに行けるんだよ‼︎」
額当てをしっかり締め、滝壺へ飛んだ。
ザパッ‼︎
サスケ「ハッ……ハッ………」
水の中から名前を探し出し、陸へと引き上げる。腕の中でぐったりした彼女を横に寝かせ、急いで胸に耳を当てる。
トクン………トクン……
生きていることに安堵したが、胸の動きがない。息をしておらずこのままでは死にいたる。人工呼吸など、アカデミーから習っている。だが少しだけ抵抗を感じていた。
俺のファーストキスなど忘れもしたい記憶でとうに終わっているが、こいつはどうなんだろうか。好きな奴がいて、大事にしているのではないか…。そう思うとズキッと胸の辺りが痛んだ。
サスケ「あとから嫌味は聞いてやる……だから許せよ」
引っ掛かりはするが命には変えられず、長い時間悩むことなどできない。俺は大きく息を吸い、顔を近づけた。
サスケ「たく、泳げねーならなんで躊躇なく飛び込むんだよ。死ぬところだったじゃねーか⁉︎」
グッタリと岩場に背を預けたまま、言い返す言葉も見つからない。ど正論で言い返せないのか、ただ生死を彷徨った疲れか…まぁ、どちらもだろう。私はヘヘヘと笑うことしかできない。呆れたような目で見られたので視線を逸らす。
『ごめん、と、ありがとう。……額当ては忍の証。それを奪って賭けに使って…しっかり返さなきゃいけないものだから』
サスケ「フン、馬鹿なりにしっかりしてるじゃねーか。けどな、お前が死んだら意味がないだろ」
『そうかも。けど、体が勝手に動いちゃうんだよ』
サスケ「ナルトかよ」
『ナルトに失礼だよ。…今まで1人だったからさ…全部大切に思えてきて、何一つ失いたくないと思うようになっちゃった。だから、考えるより先に動いちゃうの』
ここで出会った大切な人たち、そしてその人達が大切にしているものを私は守りたい。守れるように強くなりたいんだ。
私の話を聞いて「馬鹿か」と呆れたように言う。そして私の前に来ると両頬に手が添えられる。私を見るサスケの表情はとても真剣で、私は息を呑んだ。その時間、ほんの数秒の出来事だったがとても長く感じた。顔が少し離れ緊張が解けたので声をかけようとした瞬間。
ゴッ‼︎‼︎と額にものすごい衝撃が。
『いったぁぁぁぁぁぁぁあ』
サスケ「馬鹿野郎‼︎弱いくせに何言ってんだ‼︎弱かったら何も守れないんだよ‼︎」
『サスケ……』
それは自分にも言い聞かせているようにさえ思えた。時折見せる、彼の冷たい目。強さにこだわる理由が少しだけわかった気がした。それでも私は思っていることを伝える。
『私は死なない、そんでみんなの大切なものも守る』
サスケ「……クソだな」
私の真剣な思いを伝えると眉間に皺をよせそう言った。大丈夫だよ、あなたの事も必ず守るから。
サスケ「…………るよ」
『えっ?なんか言った?』
サスケ「お前はナルトよりウスラトンカチだって言ったんだよ」
『ウスラトン…え、どうゆう…って⁉︎まって、置いてくの⁉︎』
彼はクルリと背を向けて歩き出した。
サスケ「せいぜい自分で帰りな」
『ちょ、サスケ、まって、動けな…待ってってばー‼︎わっ』
グィッ‼︎
サスケ「フン、びびったかバーカ」
身体が浮き彼に抱えられているのがわかり、置いていかれない事に安堵する。
サスケ「俺は強くなる」
____あいつを殺すため、そしてお前お守るために___
『私も強くなるよ』
____みんなを守れる力が欲しい_____
お互い目を合わせ彼はフンと鼻で笑、私は微笑む。私たちはお互いの目的のため、必ず強くなることを再度心に強く思った。
サスケ「これで組手も鬼ごっこも俺が強いってことがわかったな」
『え⁉︎……今日のは数に入れない‼︎』
サスケ「てめぇー、ふざけんなよ」
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