木の葉崩し編
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力が覚醒してからというもの、私は自来也さんとひたすら組手をこなし、制御と出力を上げる修行に打ち込んでいた。けれど思うような上達は見られず、時間だけが過ぎていく。この力を使えば、以前よりずっと強い――それは確かだ。でも“確実に勝てる保証”があるわけじゃない。胸の奥には、不安だけが居座り続けていた。
ゲンマ「“ブチギレる奴がいるから気をつけろ”ってカカシさんに言われたからよ。どんな化け物かと思ったが……可愛らしいお嬢ちゃんじゃねぇか」
顔を上げると、針千本を咥えた試験官が観察するように、こちらを見ていた。
『カカシ先生、そんなこと言ってたんですか? ……まったく、帰ったらお仕置きですね』
ゲンマ「ハハッ。あの人にそんなこと言えるガキはそういねぇぞ。面白いやつだな……。ま、お前が暴走しねぇように見ててくれって頼まれてるから安心しな」
にかっと白い歯を見せて笑う。整った顔立ちに思わず見惚れたけれど、言ってる内容は全然可愛くない。
『だから……子供扱いしないでください』
ゲンマ「…………フッ。ハハハハ」
『? ……ちょっ——』
わしゃっと頭を掴まれ、髪をくしゃっとかき混ぜられる。彼は顔を寄せ、目を細めて楽しそうに覗き込んできた。
ゲンマ「十年……いや、五年後か?お前、ある意味“大物”になりそうだな。……カカシさんも苦労すんぞ、こりゃ」
『なんの話ですか?』
ゲンマ「いや、なんでもねぇよ。…ほら、来たぞ対戦相手」
指差した先では、ドスが首を傾け、不気味に笑いながら会場へ入ってきていた。第二試験でサクラたちは戦ったらしいが、決定的な弱点は掴めず。さらにチョウジとの試合は一瞬で終わり、情報がほとんどない。長期戦は避けるべきだと思うけど、そう上手くいくかどうか…。
ドス「棄権してくれませんかね? 次の試合のために力を温存したいんですよ」
『……サスケと戦いたいってことですね。私は眼中にない、と』
ドス「そういうことです。話が早くて助かります」
『誰も棄権するなんて言ってませんけど』
ドス「いいんですね?」
『しつこいな。二回も言わせるつもり?』
ドスの口元がぐいっと吊り上がる。挑発に乗せようとしているのが見え透いていた。試験官の手が上がり――私たちは同時に地を蹴った。
グラッ——
『っ⁉︎……グハッ——っ!』 ドガッ‼︎
攻撃を避けた瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。耳鳴りが響き、平衡感覚が吹き飛ぶ。その一瞬の隙を逃さず、ドスの蹴りが腹部にめり込み、私は壁へと弾き飛ばされた。肺から空気が全部抜ける。立とうと手をつくが、焦点が合わない。胃の奥がねじれ、堪えきれず嘔吐した。サクラから聞いていた——“音”の攻撃は見えない。どう対策するか、吐き気と痛みに耐えながら、必死に頭を回す。膝に手をつき、なんとか立ち上がった。
『……よいしょ……』
ふらつく体。それを見て、ドスは勝ち誇り、薄く笑う。
ドス「もう一度言います。棄権したらどうです? 痛いのは嫌でしょう。あなたも気づいているはずです、私との実力差に。認めて降参するのも一つの——」
『……本当に……それ二度目。次言ったら許さないよ』
挑発か、それとも本気か。ドスはニヤリと口角を上げ、三度目の言葉を吐いた。
ドス「棄権——」
『忠告はした』
私は静かに息を吐き、集中し、力を引き出す。
片目に、黒い紋様が浮かぶ。空気の流れ、筋肉の伸縮、相手の癖――全てが、手に取るように分かる。その瞬間、地を蹴った。
——ほんの一瞬だった。
ドス「どこへ——……ッ?」
ドカッ!!!!!!
気づいた時には、私は彼の背後にいて、拳を容赦なく叩き込んでいた。骨の軋む確かな手応え。
『ごめんなさい。まだ手加減できないんだけど……無視した君が悪いんだから』
自来也さんには「あんまり使うな」って言われてたけど……しょうがない。そもそもこの第三試験のための修行だし。深呼吸しながら力を収める。——よし、上手く制御できてる。ドスが立ち上がらないのを確認し、ゲンマは手を高く上げた。
試験終了。
何が起きたのか理解できず、会場は数秒間沈黙に包まれる。観客も下忍、上忍までもが目を見開いて固まっていた。だが勝者が決まったと理解した途端、歓声が爆発した。
「今の見たか!?」
「動き……消えたぞ!?」
試合場の上では、上忍たちの視線が一斉に私へ向けられていた。
驚愕で口を開けた者。
鋭い目つきで分析する者。
闘志を燃やす者。
不気味な目で舌なめずりする者。
私がただ“勝った”以上の何かを見せてしまったのだと、この時の私はまだ気づいていなかった。この一戦で多くの忍が “私” という存在を知ることになった。
