出会い編
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波の国での一戦を経て、俺は嫌というほど自分の鈍りを思い知らされた。それで火影様に、Aランク以上の任務を任せてほしいと願い出たまでは良かったのだが。
写輪眼の使いすぎで、一歩も動けないこの有様に、自分自身へ呆れ思わずため息が漏れる。そんな情けない状態の俺の前に現れたのが――彼女だった。
まさか、こんな辺境に人がいるとは思わなかった。最寄りの集落まで、忍の足でも一時間はかかる。身なりを見る限り敵ではなさそうだが、油断はできない。最悪の事態を想定しながら、静かに様子をうかがう。
年は……ナルトたちと同じくらいか。肩まで伸びた白髪が、木漏れ日を受けて淡く光る。風に揺れるたび、一房一房が銀色にきらめいて見えた。中性的で整った顔立ち。大きな青い瞳に、小ぶりな鼻、形のいい唇。薄く白い肌と、細い輪郭。驚いたように目を見開くその仕草に、思わず見惚れ――そして、彼女に先を越された。
『えっと……大丈夫ですか?』
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カカシ「……何から何までありがとう。助かったよ。そういえば、名前は?」
『……名前です』
少女は一度、静かに息を整えてから名を告げた。彼女の手際のいい応急処置と、分けてくれた食料のおかげで、俺はようやく上体を起こせる程度には回復できた。その間に、いくつか分かったことがある。
名前は、この先の家で祖父と二人で暮らしているらしい。応急処置が手慣れていたのは、元医者だった祖父の影響だという。森の知識も豊富で、木の実や薬草の見分けも自然と身についたそうだ。この山奥で生き抜くには、十分すぎるほどの力だ。彼女の落ち着いた動作につい目が引き寄せられていた、その時だった。
ドッ‼︎‼︎
カカシ「なっ……!」
突然、強く突き飛ばされ、体勢を崩す。次の瞬間――俺を押し出した彼女の腕に、苦無が二本、深々と突き刺さった。
一瞬で理解する。敵襲だ。残った力を振り絞り、写輪眼を開眼。分身に敵の始末を任せるが、チャクラは底をつき、俺の体は再び地面へと沈んだ。最後に見えたのは、複数の敵と、腕を押さえて倒れ込む名前の姿。
──ここまでか。
〝お前に任せたぞ〟
カカシ「……生きてたのか」
誰かの囁きに、ゆっくりと目を開ける。あたりは暗く、冷たい雨が肌を打っていた。立ち上がり、周囲を確認する。戦闘の痕跡の中に、五人分の遺体が転がっている。……誰がやった?
カカシ「名前‼︎」
彼女は木にもたれ、意識を失ったままだった。ここまで自力で移動したのか。体を確認すると、苦無に塗られていた毒が、じわじわと回っている。雨で冷えた服が肌に張りつき、症状を悪化させているようだった。
なぜ俺は助かったのか。
なぜ、ここまで動けたのか。
考えるべきことは山ほどある。
だが今は、それよりも――
カカシ「頼むから……恩を返す前に、死ぬんじゃないぞ」
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ヒルゼン「カカシ、お前が無事に帰還したことを喜ぼう。連れ帰った少女も一命を取り留め、今はぐっすりと眠っておる」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に絡みついていた緊張が、ようやくほどけた。どうにか、間に合ったらしい。
ヒルゼン「お前もしばらくは休むがよい。報告は後でも構わぬ」
カカシ「……いえ。明日から任務に戻ります。報告も今からで大丈夫です。戻れなかったのはチャクラ切れが原因で……ですが、目を覚ました時には、なぜか回復していまして」
ヒルゼン「ほう……妙な話じゃな。敵は倒され、お前のチャクラは回復していた……雨が止み次第、暗部を向かわせよう」
現場への同行を願い出ると、火影は眉をひそめながらも「無理はするなよ」と承諾してくれた。あの時聞こえた“声”の正体を、確かめたかった。
だが結果は芳しくなかった。倒れていたのは、かつて忍だった者が落ちぶれ、山賊となった連中。そして最も重要な、俺を助けた“何者か”の痕跡は、一つとして残っていない。まるで、最初から存在しなかったかのように。
木ノ葉へ戻った頃、名前はすでに目を覚ましていた。火影との話し合いの末、敵ではないと判断されたが、一人で元の場所へ返すには危険が大きい。安全が確保されるまで、木ノ葉で暮らすことになった。
空いていた隣の部屋が、彼女に与えられる。遠回しに言えば、身の回りの世話と、監視を任されたということだ。……まあ、最初からそのつもりだったが。あの時、敵の気配に最初に気づいたのは、俺ではなく名前だった。さらに気になるのは、戦場に“第三者の痕跡”が不自然なほど残っていなかったこと。ありえないとは思うが――念のため、警戒は続けるべきだろう。
そして。
どうしても、頭から離れない言葉がある。
〝お前に任せたぞ〟
一体、誰が。
そして、何を俺に託したというのか。
