中忍選抜試験編 後編
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ジライヤ「ナルト、今から死んでこいの‼︎死の恐怖の中から、でっかいチャクラを引き出してみろ。死にたくなかったら、自分でどうにかしてこい」
『ナルト‼︎‼︎‼︎』
ナルト「うわぁぁぁぁぁぁあ‼︎」
自来也さんに吹き飛ばされたナルトの手を、私は掴むことができなかった。
『自来也さん!何してるの!このままじゃナルト、崖から落ちて死んじゃう!』
ジライヤ「死ぬ気でやる修行だ。荒療治だが、感覚を掴んでもらう。それで死んだら、あいつはそれまでの男だったということだ」
その目は本気だった。私の時もそうだったけど、この人のやり方はいつだって無茶苦茶だ。
ジライヤ「おい、何しとる‼︎お前が行っても何もできんぞ‼︎」
私は力を引き出し自来也さんを押し退けると、そのまま地を蹴ってナルトを追った。チャクラを頼りに位置を探ると、そこは岩肌が剥き出しになった底なしの崖だった。視界の先には谷底へ向かって落ちていくナルトの姿。
迷う暇なんてなかった。私はそのまま崖へ飛び込み、必死に落下を止める方法を探す。けれど、岩肌は濡れていて滑る。掴まったところで、この速度では勢いに耐えきれない。まして、二人分の重さを支えられるチャクラも残っていなかった。
どうする、どうすればいい。
焦りの中で思考を巡らせた、その時だった。
〝この力を使えばよい〟
頭の奥に静かな声が響いた。
『⁉︎……ごめん、ナルト!許して!あなたが頼りなの‼︎』
頭の奥で誰かの声が響いたのと同時に、私は無意識に左手へ青いチャクラを纏わせる。考えるより先に体が動いていた。伸ばした腕が落下するナルトの腹へと突き刺さる。
次の瞬間。
ビチャン
冷たい水音が響いた。
『ここは……』
ゆっくりと目を開けると、そこは水浸しの薄暗い建物の中だった。足元には浅く水が張り、天井の見えない暗闇が奥へと続いている。
ナルト「どこだってばよ」
隣でナルトが辺りを見回す。ここは空気は重く、禍々しい気配が漂っている。なのに、不思議とどこか懐かしいような感覚もあった。
『ナルト……』
声をかけ近づこうとした時だった。獣のような唸り声が響き、ピリッと空気が震えた。私たちは反射的に顔を見合わせ、音のする方へゆっくり足を進める。辿り着いた先にあったのは、無数の札が貼られた巨大な檻。その奥で、全身に赤いチャクラを纏った巨大な存在が、こちらを見下ろしていた。
ナルト「お前が……俺の中にいる九尾か」
『九尾……?』
そう呼ばれた獣が低く唸るたびに水面がびりびりと震え、その視線だけで背筋がひやりと冷えた。けれど、ナルトは怯まなかった。真っ直ぐにその獣を見上げ、小さく息を吐く。その背中には恐怖よりも、強い意志が滲んでいた。
ナルト「コラ、アホギツネ!俺の体に泊めてやってんだから、家賃としてお前のチャクラ貸しやがれ‼︎」
キュウビ「……クククッ、ガハハハ‼︎大した度胸だ‼︎」
重々しい笑い声が空間を揺らす。腹の底まで響くようなその声に、思わず足が竦みそうになる。それでも私は唇を引き結び、ナルトの隣へ一歩踏み出した。
『わ、私たちが助かるには、あなたの力が必要なの! 力を貸して‼︎』
声は少し震えていたけれど、逃げるわけにはいかなかった。すると、それまでナルトへ向けられていた視線が、ゆっくりとこちらへ移る。まるで今になって初めて存在を認識したかのように、巨大な獣は目を細めた。
キュウビ「貴様は…他人の空間に入り込めるとはな。一体何者だ……いや、この匂い……そうか」
それは、どこか懐かしむような声音だった。
『……?』
ナルト「貸すのか貸さねーのか‼︎どっちなんだってばよ‼︎」
キュウビ「せっかちなやつだ…まぁ、いいだろう。面白いものも見れた。ここへ来た褒美だ、くれてやる」
低く喉を鳴らすように笑ったあと、九尾の視線がゆっくりとこちらへ向けられる。
キュウビ「それに、そこの女に感謝するんだな」
次の瞬間、檻の隙間から赤いチャクラが溢れ出した。渦を巻くように広がったそれが私たちを包み込み、灼けつくような熱と凄まじい力が体の奥へ流れ込んでくる。荒々しい力が体中へ広がっていき、思わず息を詰めた。
キュウビ「時がきたと言うことか……。予言の子ならば、ナルトの中にいても、少しは退屈せずに済みそうだ」
低く響く九尾の声には、どこか愉快そうな色が滲んでいた。だけど、その言葉が私たちに届くことはない。赤い瞳だけが静かに細められ、巨大な影は檻の奥で不気味に揺らめいていた。
