中忍選抜試験編 後編
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『ゼイ、ゼイ……』
――この子、強い。
自来也先生の術で、私は気づけばどこかの“閉ざされた空間”に飛ばされていた。そして今、目の前の“人形”と死ぬ気で戦っている。だが、すぐに悟る。これはただの人形じゃない。動きの癖、間合いの取り方、攻撃のリズム。全部、私自身のそれだ。
そう、これは――私の分身。違うのはただひとつ。私には体力の限界があるが、相手にはそれがないということ。
「影分身の術……火遁・蒼火球の術」
『っ……!』
青白い炎が生まれた瞬間、周囲の空気が灼ける匂いに変わる。威力が尋常じゃない。影分身はただの幻じゃない。チャクラを分けられているから、“二人分”の力で術を撃てる。あれを一人でやったら、私は口の周りを大火傷して終わりだ。
体術も忍術も、完璧に“私の上位互換”。話しかけても反応はなく、倒す以外の選択肢はない。負ければどうなるかも分からない。…説明不足すぎるよ、自来也さん。
『でも、こんなところで終わってられないんだ』
技術で劣っていても、基礎が同じなら、勝負はまだわからない。私は深呼吸し、構えを整える。ここで逃げるわけにはいかない私は――みんなを守れるくらい、強くなりたい。その一心で、目の前の“もう一人の自分”を睨みつけた。
________________
バチツッ‼︎
ジライヤ「ぬおっ⁉︎……どうやら上手くいったみたいだのー」
『これが……』
体の奥底から、力がじわじわと湧き上がる。熱いようで、冷たいようで……ただ、確かに“別の自分”の気配があった。
ジライヤ「ククク、驚くにはちと早いのー。それはまだ、ほんの“わずかな力”にすぎん。お前さんは、これを“引き出して”“使いこなせる”ようにならんと――」
ボカッ‼︎
ジライヤ「ぶほっ⁉︎……いっ……いたたたた…!?」
説明もなく、生死に関わる修行に放り込まれた反射で、つい拳が出てしまった。
『あ、いや、ちょっと…つい……』
ジライヤ「たく……あの可愛らしいお前はどこへやら……どんどん、あいつに似てきて悲しくなるわい」
『えっ、誰のこと言ってるんですか?』
ジライヤ「ええい!なんでもないっての。ほれ、本題に戻るぞ。本題にな」
深く息を吐いて、ジライヤは表情を引き締めた。
ジライヤ「力を手にしたということは――つまり、お前、しっかり“もう一人の自分”と話し合ってきたってことじゃな?」
『……多分?』
ジライヤ「多分じゃと⁉︎」
『だ、だって……抜け殻みたいな人形と戦ってただけだし……とりあえず倒したらここに戻ってきたって感じで……』
ジライヤ「倒した……と?」
ジライヤさんは一瞬固まり――
ジライヤ「クク……ククク……クハハハハ‼︎あのじゃじゃ馬を倒したか!良い!良いぞお前さん!強くなる、強くなるぞー!!」
肩を親戚のおじさんみたいに、バシバシ叩いてくる。勢いよく手を払いのけようとした瞬間、どくん、と力が抜けた。膝から崩れ、その場にぺたんと座り込む。
『……っ、力が……入らない……』
そして――
『……グーーーーーー』
ジライヤ「わっははは!腹の虫が鳴いとるのー。よし、まずは腹ごしらえじゃ。修行はそれからじゃな」
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ジライヤ「あいつも大男並の食欲を見せていたが……これが理由だったとはの。まさか“こんな弱点”があったなんて、わしも知らなんだ。あいつは最強で、弱みなんぞ一度も見せんやつじゃったからのー」
あれから、私は急いで街へ降り、腹の虫を黙らせるために食堂へ入った。普段はあまり食べない私でも、今日はどれだけ食べても満たされない。気づけば、大人三人前をぺろり。まだ余裕がある。あの力は、相当なエネルギーを使うらしい。
『自来也さん、どうしてあの力のこと知っていたんですか?みんな知らなかったのに』
ジライヤ「ふむ……どこから話すべきかの……」
懐かしむように目を細め、自来也さんは語り始めた。
昔、一緒に戦っていた“ある女性”のこと。
その女性が属する、一族のあり方。
そして――一族が持つ特別な“力”のこと。
ジライヤ「……まぁ、話せるのはこれが限界だな。
謎の多い一族じゃったし、あいつも全部は教えてくれんかった。今話したのは、わしが直接聞いた話と、後から旅の途中で調べた分じゃ。今も探しとる最中よ。何か分かれば、お前さんにも伝える」
『ありがとうございます』
ちょうど三人前を食べ終える頃、話は一区切りついた。まだ入りそうだったが、奢ってもらう身なので、追加注文の手はそっと引っ込める。
ジライヤ「さて、腹の虫も鳴き止んだことじゃし……ナルトの様子を見に行くかの」
会計を済ませ、立ち上がる自来也さん。
その背中を見ながら、私はふと思い出して口を開いた。
『そういえば……私の術、名前なんですか?』
一瞬だけ目を逸らし、渋い顔でモゴモゴ……。
咳払いをして、覚悟を決めた顔で言った。
思わず私は眉をひそめ――
『……ダサい』
