木の葉崩し編
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力の覚醒から、それを使いこなせるよう自来也さんとひたすら組手に打ち込んだり、引き出せる量を増やすための修行などを行ったが、なかなか上手くいかず時間だけが過ぎていった。
試験当日。隣からカカシ先生の気配は感じらなかったが念のため戸を叩く。案の定返事はない。不貞腐れてしまった以来、彼とは会わずに当日が来てしまい、気まずさがある。
彼の隣の部屋だから気になるのだろうか…実際そこまで気にする必要もない事なのかもしれないと、無理やり試験へと気持ちを切り替える。
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ナルトとネジ、シカマルとテマリの試合が終わり、まだサスケが到着していない為、次は私の試合。ドキドキしながら階段を降りている途中に彼らと出会う。
『ナルト!シカマル!2人ともすごかったね!お疲れ様!』
2人の試合は本当に素晴らしいものだった。彼らに感じた事を全て話すと、自慢げなナルトと納得のいかない顔をするシカマル。
ナルト「へっへーん!俺ってばやる男だからなー!」
シカマル「俺の試合のどこがよかったんだよ、棄権だぞ」
『棄権だけど試合内容すごかったよ?先の先まで読んでて、多分勝つ道筋も見えてるんだと思った。シカマルはすごい頭脳の持ち主だよ』
シカマル「っ⁉︎」
へへっと笑ってシカマルに本心を伝えると、彼は照れたように目を逸らし頬をかいた。
『私も負けてられないな』
ナルト「勝ってこいってばよ!」
『もちろん‼︎』
2人が手のひら向けてきたので、それに合わせるようにパチンとその手を叩き微笑んだ。彼らの力が流れてくるような感じに、緊張がほぐれる。
『フフフ、なんかすごくいいね。力が漲ってくる』
シカマル「お前そんな背高かったか?それに髪も…」
『ん?……確かに髪は伸びたかもしれないけど、身長は分からないかな。けど、あれから1ヶ月くらいしか経ってないから気のせいじゃない?』
シカマル「そうだよな…わりぃ、試合前に」
彼の質問に首を傾げた。
わたしは気づかなかったが実際に第2の試験から5センチ弱ほど伸びていた。これは止められていた成長が動き出したもの。力の使い方を覚え始めたわたしの体は、本来の年齢に追いつくため急激に成長していた。
これはわたしの中にいる2人の存在が関係していた事を知るのは先の話になる。
ゲンマ「ブチギレる奴がいるから気をつけろってカカシさんに言われたから、一体どんなやつかと思ったけど、随分可愛らしいお嬢ちゃんだな」
顔を上げると針千本を口に咥えた審判員が目に入る。
『カカシ先生そんなこと言ってたんですか?本当にデリカシーのない人…やっぱり謝らない』
ゲンマ「ハハッ、面白いやつだな。こりゃー将来、大物になるかもな。ま、お前が暴走しないようしっかり見てやってくれって頼まれたから安心しな」
歯を見せてニカッと笑う。顔立ちはいい方なのだろう、少し見惚れてしまったけど話している内容が悪い。頬を膨らませて彼に言う。
『子供扱いしないでください』
ゲンマ「…………フッ、ハハハハ」
『?……ちょっ』
わしゃっと頭を乱暴に掴まれ、彼が私を覗きこむ。
ゲンマ「10年……いや、5年後か、ある意味大物になりそうだな。こりゃカカシさんも苦労しそうだな」
『何言ってるんですか?』
ゲンマ「いや、なんでもねーよ、こっちの話だ。ほら対戦相手来たぞ、頑張れよ」
彼の指差す方を見ると、不気味に笑う私の対戦相手、ドスが首を傾けながらユラユラと向かってきていた。わたしは、2人のような素敵な試合ができるだろうか。
ドス「棄権してくれませんかね?次の試合のために力は温存しておきたいんですよ」
『………』
私の顔を見るなりそう言うから、ゲンマも驚いた表情を見せる。私も一瞬理解ができず瞬きしてしまった。なめてる_______。
『サスケと戦いたい…か。目の前の私は眼中にない感じ?』
ドス「そうゆうことですが……棄権はしないんですね。一瞬で終わらせますよ」
『そっくりそのままあなたに返すよ』
真剣にこの試合に挑んでいる。こんな事を言われ少しイラッとした感情が芽生える。睨み合う中、ゲンマが手をあげたのと同時に地を蹴る。最初はお互い探り合いの試合だった。
グラッ
『っ⁉︎…グハッ』ドカッ‼︎
彼の攻撃を避けた瞬間、視界が歪み平衡感覚を失い、よろけたところドスの蹴りで壁まで吹き飛ばされた。立ちあがろうとするが焦点が定まらず気持ち悪さに嘔吐する。
これが彼の技の正体。サクラから聞いていたが〝音〟の攻撃は目で見えないから防ぎようがない。どうしようかと考えながら膝に手をかけ、なんとか立ち上がる。
『よいしょ……』
立ち上がるも少しふらつく。それを見たドスも勝ち誇った笑みで口を開いた。
ドス「もう一度言います、棄権したらどうです?楽になれますよ」
『……本当に…それ2度目。次言ったら許さないよ』
私の言葉に彼がニヤリと笑い_______3度目。
『忠告はした』
私は集中し力を引き出す。私の片方の目に黒の紋様が浮かぶのと同時に地を蹴った。それはほんの一瞬のこと____
ドス「どこへ………ドカッ!!!!!!!
一瞬で彼の背後に周り拳に力を込めて彼の頬をぶん殴る。
『ごめんなさい、まだ手加減できないんだ。けど、無視した君が悪いんだから』
そういえば、自来也さんにあまり使うなって言われたが…しょうがない。そもそも第3試験の為の修行だったし、とフッとゆっくり力を戻す。よし上手く使えてる。
ゲンマ(ハハッ、舐めてたぜ。本当にブチキレるやつじゃねーか。こりゃ将来いろんな意味でとんでもないやつに化けるな)
ゲンマがドスの方を見て立ち上がらない様子を確認すると彼は手をあげ試験終了を知らせた。一瞬何が起きたのか理解できなかった会場は静寂に包まれたが、勝者が決まったことを認識するとワーと歓声が上がった。
この時、私を驚きの目で見る上忍や不気味に舌なめずりする者、闘志を燃やす者、興味の目で見る者達がいることに、私は勝利の喜びから気づくことができなかった。
この試験で多くの者が私という存在を知ることになった。
ちょうど私が観覧席に戻ろうとしたとき木の葉が舞った。それは生きているかのように中心に集まり、私は目を瞑ると知ったチャクラと久しぶりに聴いた声が。
サスケ「フン、またボロボロじゃねーか」
『あなたの試合を皆んなで伸ばしてあげたのに。それが遅刻してきた人の言葉ですか』
嫌味を言われたので嫌味で返してやった。
会場の中心には少し髪が伸び自信に満ちたサスケとカカシ先生の姿。近くにいるだけでわかる、彼はとても強くなって帰ってきた。
『遅刻してきた分、面白い試合を見せてくれるんだよね』
サスケ「見てればわかる」
どうやら生意気さも成長しているようだ。