波の国での一戦で体の訛りを痛感し、火影様にAランク以上の任務を受けさせて欲しいと懇願したのはいいものの…写輪眼の使いすぎで一歩も動けずにいる現状に呆れてため息も出ない。

そんな時に出会ったのが彼女だった。


こんな辺境の地に人がいることに驚いた。少し近くの集落もここから走って1時間ほどのところだ。身なりから敵ではないだろうと思うが、最悪の可能性を考えながら様子を伺う。

年はナルト達と同じくらいだろうか。
鎖骨が隠れる長さの綺麗な白髪の髪に、中世的な顔立ちの子。驚き見開かれた瞳が透き通るような青い瞳に俺は見惚れてしまい、彼女に先を越された。


『えっと、大丈夫ですか？』__________








ｶｶｼ「何から何までありがとう、助かったよ。そう言えば名前は…」

『……名前です』

少女は少し考えるそぶりを見せたあと名乗った。
身近にあるもので簡易的な処置を手際良く施し、持っていた食料を分け与えてくれたおかげで自力で起き上がれるまで回復した。

名前は祖父と2人でこの先を進んだ家に住んでいるらしい。手際が良かったのは祖父から教わったようで、他にも生きていく上で必要な事を学んだと言った。

それに、こんな山奥に住んでいるのだ、嫌でも生きる術が身についていくだろう。


『………….』

ｶｶｼ「………………君は、俺に質問しないんだね」


出会ってから俺は彼女の素性を知るためにいろんな質問を繰り返したのだが、彼女は答えるだけで聞き返すことはなかった。

俺の質問にキョトンとした顔を見せた彼女を素直に可愛らしいと思った。そして考えた末に開かれた口に、また笑わされた。

『……どうして片目しか出てないんですか』


ｶｶｼ「クックック、痛っ。名前は面白いね。これは、特に理由はないよ。他にないの?例えば俺の名前……他には何があったのか、俺は一体どこの誰なのか、とか」

『……木の葉の忍。戦って傷ついて帰れなくなった人』

ｶｶｼ「確かにその通りだけど…もう少しオブラートに包んでよ」

『あなたが歩けるようになれば、あなたは里へ帰り、私も家へ戻る。何も知らなくても問題はないから質問はない』

ｶｶｼ「……そうか、ま、確かに理にかなってる。なら、名前くらい覚えてよ。俺は木の葉の里のハタケ　カカシ。もし何かあれば里へ来て俺の名を言って尋ねたらいい、この恩のお返しをさせて欲しいから」

『ハタケ…カカシ』


一線を引かれた。確かに彼女の言い分も分からなくはない。これが彼女の生きる術の１つなのだろう。他者との関係を断つ事で生存の可能性を広げる。

しかしその分、孤独と向き合わなければならない。彼女は後者を取ったのだ。



ドッ‼︎‼︎

ｶｶｼ「なっ」

それは突然だった。


彼女に押され体制を崩したのと同時。
俺を押すために伸ばされた腕に苦無が2本突き刺さった。それを見て初めて敵襲だと認識し、最後の力を振り絞り写輪眼を開眼させ分身に始末させた。



どさりと崩れ落ちる。
チャクラ切れだ。


少し回復したものを全て使ってしまいもう動けない。最後に見たのは数人の敵と腕を押さえ横たわる名前の姿。





ここまでか____________。