中忍選抜試験編 前
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サクラ「名前‼︎‼︎」
サスケ「名前⁉︎お前の敵う相手じゃない!」
俺の静止する声も聞かず名前は向かっていく。怒りのせいか、しなやかで無駄のない彼女の戦闘スタイルとは全く違い雑で乱暴な攻撃。
音忍に襲撃され、ナルトが何かの術を喰らい放り投げられたところで名前が現れた。その時の彼女は今まで見たことのない怒りの表情だった。
応戦しなきゃいけないのに、動け、と何度も心の中で叫ぶが恐怖を知った体はいうことを聞かない。このままじゃ名前まで…俺はなにをしている_________
―愚かなる弟よ…この俺を殺したくば恨め!憎め!
そしてみにくく生き延びるがいい……逃げて逃げて…生にしがみつくがいい…―
違う‼︎‼︎
『みんなを傷つけたあなたを許さない‼︎』
オロチマル「あなたには興味ないのよ」
ドカッ⁉︎
『…………ぐっ⁉︎……サスケ!』
サスケ「名前落ち着け‼︎」
殴り飛ばされた彼女を抱き止め大きく叫ぶと肩の力が抜け、瞳に光が戻る。
サスケ「無茶するんじゃねー!お前もここで終わったら、さらに状況が悪化するだろ‼︎」
『ごめん…あいつが。許せなくて………サスケ、その目…』
サスケ「俺こそ悪かった、らしくねーとこ見せちまった。もう大丈夫だ、あれをやるぞ」
〝あれ〟と聞いた彼女の瞳は大きく見開かれ、いつも以上に輝いた。こんなところでも子供みてーに喜ぶ彼女を見てフッと鼻で笑ったあと、俺たちは背中を合わせ構え、スーッと息を吐き呼吸を整えた。
名前との呼吸が自然と合うと、合図なく同時に地を蹴る。
オロチマル「フッ、2人できたところで何が変わると……なに⁉︎」
俺たちを舐めていた女が眉を顰めた。
本当にお前との相性はいい。俺の写輪眼と名前の洞察力。お前が次にどう動くのか分かるし、あいつも俺の動きに合わせられる。
錯覚か、俺の体も軽くなったような気がしてよく動く。修行開始時のことを思い出す。
________『サスケ!すごく好き!』
サスケ「はっ?」
ナルト.サクラ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ?」
突然の告白に皆んなが度肝を抜いた。あのカカシでさえ、あのよく分からない本から目を離すくらい。
サクラ「ちょ、ちょ、ちょっと!急に何言ってんのよ!」
『さっきの鈴取りのとき、サスケと凄くいい動きができた気がしたの。なんかね、言葉では表せれないんだかど、こう、スーッと繋がったような…とにかく凄くよかったの!』
サクラ「あ、そう、鈴取りね…鈴取り」
その言葉を聞いた瞬間、皆んながホッとした中、何故か少し残念な気持ちを抱いたが、カカシの言葉ですぐ上書きされた。
カカシ「確かに、あの時の動きは良かったな。磨けばさらに良くなりそうだ」
『だって!聞いたサスケ?今から練習しようよ‼︎』
サクラ「だ、だめよ‼︎2人で修行なんて‼︎絶対ダメ!」
『なら、サクラもやろうよ‼︎』
ナルト「なら俺も参加するってばよ‼︎」
『ハハハ!ならみんなで修行だーー!』
サスケ「な、ちょ、おい!勝手に決めるな!」
嫌がる俺を逃さんとばかりに手を取り走り出す名前___________
名前、俺たちの成果見せてやろうじゃねーか。
オロチマル「あなたは邪魔よ‼︎」
『カハッ‼︎』
サスケ「名前⁉︎」
一瞬の隙をついた女が名前の首を掴み、そのまま地面に叩きつけると、彼女の影分身が消え、同時に土煙が舞い2人の姿が消える。
あの中に飛び込むべきか迷い、もう一度彼女の名を読んだ時、土煙の中心の一部が上に向かって持ち上がる。そこから出てきたのは。
『サスケ‼︎』
サスケ「フッ!お前は本当に期待を裏切らねーな」
土煙の中から飛び出てきたのは雨隠れの女。俺はフッと鼻で笑い、名前と同時に手裏剣を投げワイヤーを巧みに操り女を木にくくりつけると印を結び大きく息を吸い込んだ。
サスケ「火遁・龍火の術!!」
『火遁・蒼龍火の術!!』
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
ワイヤーを伝って赤い炎と青い炎が混ざり合い女を焼き尽くした。
名前を見るとケホケホと咳き込んで微笑み俺にピースを見せていた。最近教えた術でまだ未完成だったが、さっきの炎を見てここで完成させたなと鼻で笑う。青い炎だった時は驚いたが、多分得意体質だろう。
彼女は額から血を流しフラフラとした足取りでこちらに向かってくる。俺もチャクラの使いすぎでガス欠、早くここから離れ体制を立て直さないとと…そう思った時だった。
サスケ「くっ!……体が、金縛りか」
オロチマル「素晴らしい、その年で写輪眼をここまで使いこなすなんて。イタチ以上の目を秘めている……私の名前は大蛇丸。もし君が私に再び出会いたいと思うならこの試験を死にもの狂いで駆け上がっておいで…」
ワイヤーを解き一歩一歩こちらに向かってくる女は大蛇丸と名乗った。彼の顔は炎に焼かれマスクのようなものが焼け落ち、本来の姿の片目が俺たちを捉えた。
サクラ「アンタなんかの顔、こっちはもう二度と見たくないっていうのよ‼︎」
オロチマル「フフ…そうはいかないのよ……あら、あなた動けるの」
奴は横からの蹴りを簡単に掴み、蹴った相手を見る。
『は…なして……』
オロチマル「辛そうね。まあ、動けてるのが不思議なんだけど。……今はあなたよりもサスケ君よ、そうだったわ、腕のお返しをしなきゃね」
そう不気味に微笑むと、動きの鈍った名前を放り投げ、印を結ぶとさっきの突風が彼女を襲った。
サスケ「名前‼︎」
名前と目が合う。
けれど動かしたい足も動かず。
伸ばした手も今は届かない。
オロチマル「これで邪魔者はいなくなったわ」
サスケ「てめぇぇぇぇぇ‼︎___ブツリ_____なっ……急に…….くるし…」
サクラ「サスケ君⁉︎」
大蛇丸の首が伸び俺の首に牙を刺す。
奴の首が元に戻ると噛まれた傷口が痛みだし、それは意識が飛びそうなほど大きくなっていった。
オロチマル「サスケ君は必ず私を求める…力を求めてね…」
サクラ「アンタ!サスケ君に何したのよ!?」
何か話しているのだろうが、俺に聞く余裕はなかった。誰かに手を握られ、意識を手放さないよう俺はそれを強く握る。
けれど徐々に視界は暗闇に飲まれていった。
名前___________。