中忍選抜試験編 前
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_____『気づいてる?人を殺めるときあなたはとても悲しそうな目をしてる』______
理解に苦しむ。
俺を狙う奴を殺して、俺は俺が生きていると実感できる。しかし、目の前にいる女は少し押せば倒れそうなほどボロボロの状態にも関わらず、俺をまっすぐ見据える瞳の光は消えていなかった。
それが無性に苛ついた。
まあなんでもいい、こいつを殺せば解決することだ。そう、いつもしてきたように。
血の雨に打たれてから動かなくなった女にとどめを刺そうとした時だった。
『真っ赤だね〜〜〜』
口調が変わった。
『君は好き?』
ガアラ「⁉︎」
耳元で囁くような声。
声の方を見ると、さっきまで少し離れた場所にいたはずの女が不気味に微笑んでいた。咄嗟に砂でガードし捕まえようとするが女は消え、クスクス笑う声を辿ると木の上に座っていた。
自分の身体についた血を眺めながら微笑んでいる姿は、さっきの女とは別人に見えた。
『私は好き……真っ赤で、綺麗で、いっぱい見たくなるよね。ね?君も好きでしょう?分かるよ私にはあなたの気持ちが』
カンクロー「あいつどうしたんだよ」
テマリ「血を流しすぎてハイになってるんじゃないか⁉︎我愛羅!もうやめよう。巻物は手に入っただろう?」
ガアラ「俺に指図するな‼︎」
なんだ、お前も飼ってるじゃないか______化け物を‼︎
そう思ったらゾクゾクとした気分が俺を支配した。早く捕まえて、グチャグチャにして、女の中の化け物を見たくてたまらない。しかし、さっきとは違う規則性のない野生のような動きになかなか捕らえることができなかった。
カンクロー(っ!我愛羅が笑ってる……あの女何者だ?それにあの出血量もう動ける体じゃないだろ‼︎化け物かよ⁉︎)
『フフ…楽しいね〜…………あれ?』カクン
ガアラ「捕らえた」
ドカッ‼︎
一瞬の隙。疲労した体の限界だったのだろうか、足が止まったのを見逃さず木にに叩きつけると、女は膝をつき動かなくなった。身体を木に預けヒューヒューと弱々しい呼吸音が聞こえる。
ガアラ「終わりだ………⁉︎」
テマリ.カンクロー「っ⁉︎」
ゾワッ‼︎
『フフッ』
白髪の髪から覗く赤い瞳が不気味に光り俺の頬に汗が流れた気がした。瞬間、俺は砂で彼女を攻撃した。
カンクロー「我愛羅!どうしたんだ‼︎」
ガアラ「……なに」
砂は女に当たる直前でぴたりと止まった。俺の意思とは反対に彼女へ近づきたくないのか押し戻される。
『あいつが静かだと思ったら、表に出てきていたか…………小童、少しやりすぎたな』
その声を聞いた途端、体が動かなくなった。女はゆらりと立ち上がり顔を上げ、俺たちを見下ろしたその瞳は血に濡れた赤でもなく、お人好しの青でもない。
威圧を感じるその青白い瞳から目を逸らすことができなかった。
女は自身の状態を確認し、時折「可哀想に」「痛そうだな」と他人事のように呟いている。
『こんなにボロボロになって……あの小僧に任せたのが間違いだったか』
ガアラ「貴様………何者だ」
『ん?…ああ、なんだ、小童、どこか知った気配だと思ったら。…タヌキは躾がなっているかな___________
ゆっくりと腕を上げ俺を指さし_______
『おすわり』
!?
ガクッと片膝が地面についた。俺の意思ではない、気づいたら膝が落ちていて、驚き女を見ると満足そうに微笑んでいる。
『タヌキのせいで不眠にその性格…随分苦労してるな。名前がこうなったのも全て小童が原因ではないから、これくらいで許してやろう…私は今からここから消える。ついてくるなよ』
そう言った女は姿を消すと、すぐに俺の体は自由になった。解放されたテマリやカンクローがあいつには関わるなと訴える。いつもなら苛立ちを覚えるのだが、この時は妙に落ち着いていていて、俺は深追いすることなく塔へと向かって歩き出した。
あの女は一体何者なんだ_________。
__________
_______
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ナルト「名前⁉︎おい!みんなー!名前がいるってばよー‼︎」
サスケ.サクラ「⁉︎」
手を振るナルトの方へ向かうと、そこには離れ離れになってから2日ぶりの名前がそこに立っていた。
サスケ「おい!大丈夫か!」
『…………』
サクラ「名前、心配したのよ!無事でよかった」
『…………』
声をかけるが反応がない。
ナルト「名前、なにぼさっとしてんだってばよ‼︎」
『……やっと来たか…あとは頼んだぞ……狐』
名前の声だったけれどいつもと口調が違う。ナルトの声にだけ反応し、俺の中で妙な感情が生まれ咄嗟に肩を掴み、俺の方を向かせると光のない瞳が目に入る。
名前を呼ぶとその瞳に光が戻り。
『……やっと会えた』
サスケ「っ⁉︎」
安心したよう微笑んだあと、目を閉じそのまま崩れ落ちた。慌てて腕を取り地面に倒れないよう引き寄せきよせると、腕の中からスースーと寝息が聞こえたので安心したが彼女の体から血の臭いが鼻をかすめた。
身体を見ると服は汚れていたが、大きな外傷はないため無事だと分かる。2日間一人でこの森を彷徨ったのだ、俺たちと会えたことで緊張が解け気絶したのだろう。
カブト「どうしたんだい急に走って驚いたよ……その子が例のはぐれた仲間かい?」
途中から行動を共にしていたカブトが遅れてやってきて、腕の中で眠る名前を見て言った。
それから休息をとりながら塔を目指して進むと彼女は目を覚ました。いつもと変わらない名前だったが戦闘時に動きのキレがなく自身にセーブをかけてるように感じたが、俺も本調子でないため何も言わなかった。
途中、最初に出会った雨隠れと戦闘にり天の書を勝ち取り、二つの巻物を持って俺たちは無事塔へたどり着いた。