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過去の妄言

テレビやら何やらで関わろうと思えば関わる機会が多少あるかもくらいな関係のそれぞれのアイドルグループに所属するイアソンとぐだ。イアソンは人気がある反面クズい噂も結構ある。ヤリチンだとか性格悪いとか。ぐだ所属のグループの仲間うちとかにも「あんまり関わらない方がいいよ」って言われるような男なんだけど、ぐだは内心噂だけで決めつけるのは嫌だなぁと思ってた。
けどある日番組で一緒になって、楽屋裏で実際話す機会があった時に「一番華がないやつか」と暴言吐かれて本当に嫌なやつだった!となる。

確かにぐだはファンはある程度いるけどセンター初め、グループ内の人気は下から数えた方がいいくらい。別に人気になりたい!って凄く思うわけでもないけど、好きでいてくれるファンのためにももっと頑張りたいセンターになってファンが喜ぶ姿が見たい、と思ってる。けど、実際はそううまくいかないし、やっぱり他の子の方がファンの喜ばせ方を知ってるしぐだは圧倒的に何かが足りてない。
反対にイアソンはセンターだしリーダー。実際に会ってもオーラも存在感もある。悔しいけど凄い。

その日がきっかけでイアソンとぐだは少しずつ話すようになる。別に個人的に会うことはなくて、仕事先でたまたま会ったときに少しだけ。
それから少しずつわかるイアソンのこと。
顔だけって言われてるけど全然そんなことなくて、イアソンはちゃんと自分の役割考えてるし必要なら他のメンバーにセンターをやらせる。常に状況を見ていて、自分とメンバーの見せ方が上手い。性格は悪いけど。(実際イアソンは必要なら上の人間と寝ることも躊躇わないし、ヤリチンに関してそれは嘘とは言い切れないんだけどただ別に女好きってわけではなくあくまで必要に応じて自分の身体を使っているに過ぎない。)
ぐだはイアソンの語るアイドルグループのあり方を聞いてから少しずつイアソンを尊敬し始める。聞いた話を出来るだけ自分にも学び活かして、そこからぐがどんどん人気出てくる。イアソンもそんな自分に影響されて光るぐだを見ていて、悪い気はしていない。
とうとうセンターになれた時、ぐだは泣いて喜ぶしメンバーにも喜んでもらえる。良いグループ。
イアソンのおかげでここまでこれたって凄く嬉しそうに報告するぐだにイアソンは興味なさげにしつつも「仕方がないから祝ってやるか、何がいい?」と聞く。
そんなこと考えてなかったからぽろっと「一緒に遊びたい」っていう。
そして誰にも秘密のたった一回きりのデートをする。
デートというか、普通に遊ぶだけなんだけど。
ただぐだは薄々イアソンの事が好きかもしれないと気付いてて、遊べるのは嬉しかったけど、色んなものに凄く後ろめたくなる。だから出来るだけ何でもない友達と遊ぶように過ごした。
色めいた空気なんて全然なかった。短い時間だったけど心のそこから楽しくて久しぶりにただの女の子に戻った気がした。別れ際、別に根性の別れでもないのにこの日が終わってしまうのか寂しくて、ぐだはちょっと歩みが遅くなる。それにイアソンは気付いてるけど、気付いてないふりをして一緒に歩みを遅くする。
人気のない公園で一休みしようってどちらかがいって、それに当たり前に同意した。
そこで初めてぐだは好きな人の横にいるという意識をしてしまう。凄くどきどきするし、ずっと一緒にいたいと思った。
でも意識がふわふわしそうになる中で、イアソンに「お前の活躍楽しみにしてやるよ」って言われて、そこで現実を「アイドルの藤丸立香」という立場をハッキリと思いだし自覚する。
心臓が少し痛かったけど、好きだったからこそ期待を裏切りたくなくて、その恋を諦めるぐだ。

イアソンはもうアイドルとして覚悟決めてるから恋はするつもりはない。でも、別の世界があるならぐだと一緒にいるのも悪くないなと思ったけど、それをぐだが知ることはない。

そしてぐだセンターの曲は国民的ヒットになるし、イアソンはセンターじゃなくなる。
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