あなたのことが
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あれから2週間。あの後、傷の手当やら事情聴取やら事件の後始末やらでてんてこ舞いの日々が続いた。
そしてわたしの怪我も順調に治り始めていたある日、げっそりとした顔の沖田くんが警察庁にやってきた。
「どうしたの…」
「佐内の野郎、殺さずに生かしておいたっつーのに、上役はやり過ぎだのなんだの言いやがって、謹慎処分の上に始末書大量に押し付けてきやがったんでィ…」
「ああ…そうだったの…お疲れ様」
いかにも覇気のない沖田くんから、書類を受け取る。彼はどうにも眠たいのか、覚束無い足で立っていた。
「じゃあ、この始末書しっかり目を通しておくわね。お疲れ様、ゆっくり休んで」
わたしは踵を返し、オフィスへと歩を進めた。
「楓さん!!」
沖田くんから名前を呼ばれ、振り返る。
「俺頑張ったんで、何かご褒美貰えませんかね?」
彼に何か恩を返せるもの。実は色々考えてはいた。それを考えているとき、ふと彼から言われ続けていた言葉を思い出した。彼からもし、またおねだりがあったら…答えは決まっていた。
わたしは再び踵を返し、彼の近くへと歩み寄った。
「 」
「…!」
沖田くんの耳元で言い切ると、彼は顔を真っ赤にしていた。
それを見届けたわたしは彼にニコリと笑いかけて、オフィスへ戻った。
「…ったく…不意打ちは勘弁してくれ…」
きっと彼は酷く動揺してるに違いない。
でも、彼がわたしの心に深く深く残したあの言葉、絶対に忘れない。
「大切な人…か」
鬱陶しかったはずの彼の名が書かれた始末書を
、どうにも愛しいと感じた午後2時のことだった。
(END)
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