孤独だった僕ら
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まただ。前を歩く銀時と晋助が言い争いをしていて、小太郎と私は呆れ顔でその後ろを着いて歩く。
ふと後ろを振り返ると、笑顔の先生がこちらを見ていた。
私はそれが気になり、三人から離れて先生の元へと走ろうとした。
しかし誰かが私の手を握っており、先生の元へは行けなかった。
「……夢…か」
この夢を見ると、手を握る人物を確認しようと振り返る時に毎回目が覚める。一体誰が私の手を握っているのか。
「先生…貴方は私に何を伝えようとしているのですか…?」
眠る前に開け放した窓からは、美しい月が覗いている。気分が優れないため、月でも見て落ち着こうと窓枠へ近づくと、ふと紫煙の残り香がした。
「…晋助?」
私の知っている晋助は煙草なんて吸わないけれど、なぜかそんな気がしてならなかった。
「晋助…?晋助いるの…?」
部屋を見渡しても居るはずはなく、私は乱暴に上着を手に取り、急いで外へと飛び出した。
「晋助…!」
家を飛び出してしばらく彼の姿を探すが、結局晋助は見つからなかった。
「…何してるんだろう私…居るはずがないのに…」
とぼとぼと来た道を引き返し、家の引き戸を開けた時、ふと先程の紫煙の残り香がした。
「よお」
とうとう都合のいい幻聴まで聞こえ始めたか。そう思い再び家の敷居をまたごうとした。
「オイオイ、テメェはまた俺を無視しやがるのか、楓」
今度はハッキリとした声色と紫煙の香り。声のする方へと視線を向けると、そこには男が立っていた。顔は月影に隠れてよく見えないが、それでも聞き覚えのある声に半信半疑になりながら、心の内に閉まっていた名を呟いた。
「…晋助…なの?」
その男は一歩、また一歩と私の方へ近づいてくる。すると男の顔は次第に月明かりに照らされ始め、ついにその風貌をあらわにした。
見慣れない女物の着物に左目は包帯で巻かれ、手に煙管をもつその男は、確かに私の想像とは違っていたが、その風貌は正しく思い続けた高杉晋助そのものであった。
煙管を懐にしまい込み、一歩一歩近づく彼に私は我慢が出来なくなり、一気にその距離を詰めると、晋助は両腕で私を抱き止めた。
どちらともなく体を離すと、私達は互いの思いをぶつけ合うように唇を合わせた。合わせた唇からは熱い吐息が漏れ、息つく間もなく晋助の舌が私の口内を蹂躙する。
唇が離れたと思った瞬間、晋助は息を切らす私を抱き、そのまま家の中へと押し入った。そしてそのまま敷かれたままの布団になだれ込み、これまでの距離を埋めるかのような熱い一夜を過ごした。
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