孤独だった僕ら
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あれから数年後。
私は今、江戸を大きく外れた静かな土地に一人で住んでいる。
終戦後、戦いに出た男連中がどうなったか気になった私は、単身江戸へ向かい情報を集めた。
晋助や小太郎が生きていることはすぐに分かった。二人は過激派攘夷浪士として指名手配されていたからだ。
だが晋助はおろか、小太郎でさえも見つけることは不可能だった。
そして情報を集め始めて二年が経った頃、銀時と偶然江戸の町で出会い、彼が生きていることを知った。
銀時の話によると、ほとんどの仲間があの戦いで命を落とし、先生もまた助けることが出来なかったと聞いた。
「そう…そんなことが…」
「ああ。すまねえな、何の連絡もできなくてよ」
「いいのよ、それはお互い様だもの。誰が生きてて誰が死んでるかも分からなかったから」
「アイツらもお前に合わす顔がねえのかもしれねえな」
銀時は少し遠い目をしていた。いつも一緒にいたはずの小太郎や晋助と袂を分かつほどのことが戦いの中であったのだろうか。
「そういやお前、高杉のヤローとはどうなった?」
「あ…うん…そのことなんだけど…銀時、晋助がどこにいるか知らないわよね?」
銀時は少し気まずそうな顔をして"悪ィ、知らねえわ"と答えた。
「俺達ァ、結局何のために攘夷戦争に行ったんだろうな」
「……」
それから銀時とは定期的に会うようになった。そのうち小太郎とも顔を合わせるようになったが、結局晋助には出会えずじまいであった。一度だけ二人に居場所を聞いたこともあったが、
"今のアイツはお前の知ってるアイツじゃねェぞ"
それだけを告げられ、特定の居場所や、晋助が何をしているのかまでは教えてくれなかった。私も二人はから晋助のことについて深く詮索するのをやめた。
戦争は全てを変えてしまう。別れ際に笑って待っていろと言った彼は、もうどこにも居ないのだろうか。
私はただの一般市民で、今や指名手配犯の晋助と出会う手段なんてものはない。
この事実を受け止めてからは、晋助のことは自分の過去の思い出として心の内に閉まっておくことができた。
何よりも彼が生きているという事実、それだけで私は満足だったから。
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