瑛二's BIRTHDAY
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瑛二's BIRTHDAY
今日は本当に楽しい1日だった。
メンバーのみんなを中心にたくさんの人にお祝いをしてもらった。
ケーキやご馳走はもちろん、忙しい中みんなプレゼントまで用意してくれた。
普段は厳しい父さんからもお祝いの言葉を貰った。
加えてシャッフルユニットでお世話になった一ノ瀬さんからもお祝いのメールが届いていて、俺はこんなに幸せでいいのだろうかと思ってしまう。
今日くらい甘えればいいって兄さんに言われたけど、甘やかされるのも悪くないかなって。
幸せな気持ちを噛み締めて、日付が変わる少し前に帰宅した。
ブーッブーッ
「ん?」
こんな時間に知らない番号からの電話…一体誰だろうか。
「はい、もしもし」
「もしもし、鳳くんですか?」
「えっ、二階堂さん!?」
電話の相手はレイジングエンターテインメント社長である俺の父さんの秘書を務める二階堂さんだった。
実を言うと俺の想い人でもある人。
「突然ごめんね。電話番号は社長に聞いたの。今少しいいかな?」
「はい、大丈夫です。何かありましたか?」
「えっと、仕事の急用っていうわけじゃないんだけど…どうしても伝えたくて」
沈黙が俺達を包み込む。電話越しに彼女の息を吸う声が聞こえた。
「誕生日おめでとう、鳳くん。貴方にとって実りある1年になることを願ってます」
「…!」
驚いた、俺の誕生日を知っているなんて…
でもそれ以上に…
「ありがとうございます…!とっても嬉しいです」
「今日が鳳くんの誕生日なんだって思ったら、どうしても伝えたくて。きちんと自分の声で伝えたかったの。仕事が長引いちゃってこんな時間になっちゃったけど…」
「いえ、わざわざありがとうございます…!」
やばい…今俺はとんでもなくだらしない顔をしているに違いない。
まさか自分の想い人から連絡が貰えるなんて思ってもいなかったから。
「じゃあ夜も遅いし、早めに寝てね。夜遅くに失礼しました」
「あ、あの!」
せっかく貰った電話を切るのが名残惜しくて、俺は咄嗟に声を上げた。
「ん?どうかした?」
せっかくの誕生日だ。たまには自分に素直になってもいいかもしれない。
「あの、二階堂さん…よかったらその…今度事務所の近くのビルに入ってる喫茶店でお茶でもどうですか…?そこのコーヒーがとっても美味しいんです。ぜひ二階堂さんにも飲んでいただきたくて…」
隣のビルの喫茶店のコーヒーは確かに美味しい。周りからの評判もいいし、あの兄さんにも美味いと言わしめた程。
「あ!それっていつも人が並んでるところでしょ?わたしも行ってみたかったの!」
ダメ元で誘ってみて正解だった。今日は本当にツイてる日かもしれない。
「でもよかったの?鳳くんの誕生日なのにわたしのことなんて誘って…他のメンバーは誘わなくていいの?」
「あ、えっと…その…俺は…」
貴方と一緒に居たいんです。
その一言が言えない。
「じゃあ、日にちや時間はおいおい決めていきましょう」
「……あ…はい」
アイドルという職業柄、俺は応援してくれるエンジェルたちの鳳瑛二でいなければならないことは分かっている。
それでもこの瞬間だけは、好きな人の前では素のままの鳳瑛二でいたい。
「それじゃあ、おやすみなさい」
「あの!!!!!」
電話を切ろうとする彼女を再び引き止めた。
「あの…俺、違うんです…コーヒーを飲んでいただきたいのは本当です。でも二階堂さんを誘った一番の理由は貴方と…二階堂さんともっと仲良くなりたくて…」
「鳳くん…」
今の俺にはこれが限界だ。それでも俺が伝えたいことの半分は言えたはず。
「ありがとう。わたしももっともっと鳳くんのこと、知りたいわ」
「二階堂さん…!」
すると彼女は電話越しに少し笑って言った。
「鳳くんがみんなから愛される理由がよくわかったわ。そんな鳳くんを独り占めできるなんて贅沢ね。わたしが誕生日を迎えたみたいだわ」
彼女は電話を越しで放心状態の俺の事なんて何にも分かっちゃいないだろう。おやすみなさいと言って電話を切った。
俺は嬉しさを噛み締めながら、スマートフォンの通話履歴を見つめた。
俺は二階堂さんと話したことを一つ一つ思い出しながら、お気に入りの抱き枕を抱きしめて眠った。
(END)
→あとがき
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