狭間の華は

〜小夜との別れ〜
「…本当に、この国を出るの?」
「うん…西にある秦っていう国に行く事になったの」
幼かった私達の別れの日。
「いつかまた、帰って来てね。そしたら…また、お城に一緒に行こう」
無邪気な私はそう言った。
小夜ちゃんも疑う事を知らない顔で
「うん。もちろんだよ、美陽ちゃん」
と言っていたのを覚えている。
…結局、私達がこの国で再会する事は無かった。

〜琉宵との別れ〜
「…琉宵さんは、残るんですね」
「私には…王家に仕える者としての務めがありますから。ですが、美陽殿にまでその責務を負わせるつもりはありません。私の事は構わないでください。貴女は…生きて」
既に覚悟を決めたとわかる彼女の立ち居姿。それでも僅かに手が震えているのがわかった。
「はい…ありがとうございました、琉宵さん」
今生の別れを済ませた私はいよいよこの国を出た。

〜知らせ〜
「…琉宵さん…貴女は最期まで、太子様の側にあったのですね」
彼女は無闇な死を選んだわけではない。悩んで葛藤して、その上で『太子様の側にいる』という選択をしたのだ。
どうして私が生き残ったのだろうと思った。
そういえば小夜ちゃんも今、どこでどうしているのかも分からない。せめて彼女が無事である事を祈るばかりだ。
逃避行の道には黄色い彼岸花が咲いていた。それを見て幼かったあの頃を思い出すようで、胸が締め付けられた。
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