彼岸花の道
〜筆の由来〜
「ねぇ、小夜。受け取って欲しい物があるんだ」
「改まってどうしたの?」
蒙恬くんは何か細いものを懐から取り出した。
「小夜ちゃんが古くなった竹筆を大切に使ってるから…もっと長く使えるものをあげたいなと思って」
それは見た事のない形をした筆だった。
「どうもありがとう…珍しい形だけれど、どこで手に入れたの?」
「実は…自分で作ったんだ」
「えっ…?すごい…蒙恬くんが考えて作ったのね…」
「狩りをしている時に思いついたんだ。動物の毛で作ったら長持ちするんじゃないかって。それと書きやすさも考えたけど…どうかな?」
早速私は墨を吸わせて竹簡に書いてみた。
「なめらかで、書きやすい…」
「…気に入ってくれたら良いな」
「私のために発明をしてくれるなんて…蒙恬くんは立派な芸術家ね。本当にありがとう」
「芸術家…うん、そんなに喜んでもらえて僕も嬉しいよ」
私達は夫婦の時間を大切に過ごしていた。
〜友達の話〜
「今日、あいつらが来るんだ」
「えっ、李信くんと王賁くんが?今日来るの?」
「ごめん、言うの遅くなった」
「大丈夫だけど、それならお茶の準備をしなくちゃ」
「はは、本当に小夜は真面目だねぇ」
そこでノック音が聞こえて来た。蒙恬くんが扉へと向かっていく。
「あ、もう来たの?」
「なんだ、早く来たら悪いのか」
「相変わらず王賁は言い方キッツいな〜」
「俺もちゃんと遅れずに来たぞ!」
「李信が遅刻しないなんて珍しい」
「どうせ忘れてるだろうと思って家まで行ってやったんだ、ちょっとは感謝しろ」
「ありがた迷惑ってやつだ、恩着せがましいぞおめー」
「まぁまぁ2人とも落ち着いて」
そんな会話を聞きながら私はお茶を淹れていく。
「蒙鈴、このお茶を差し出してあげて」
「はーい」
前に市場で買った良いお菓子が近くに見つからないので戸棚の上を確認しようと台の上に乗る。
「あのお菓子はどこにあったかしら…」
やっと見つけたと思いお菓子を手に取ったが、そこで私はバランスを崩してしまった。
「あっ…」
落ちそうになった瞬間、気づけば私は蒙恬くんに支えられていた。
「大丈夫?」
「う、うん…ありがとう」
「小夜ちゃんはちょっとドジな所あるからね」
顔が真っ赤になっているのが自分でもわかる。
「ひゅーひゅー!お似合いの夫婦だなー!」
「…そそっかしい奥方だな」
しかも、その様子を2人にもばっちり見られていた。
「ちょっと王賁言い方!小夜ちゃんはちょっとドジだけど僕の世界一かわいい妻なんだからね!」
「まーた始まった」
李信くんは笑っている。
「父上と母上は本当に仲がよろしいですね」
気づけば蒙鈴だけでなく蒙清も来ていた。流石に子供達にまで見られたのは恥ずかし過ぎる。
「小夜ちゃん照れ過ぎだよ。ほら、お菓子取ってくれたからみんなで食べよ?」
「よっしゃー!ほら、早く食おうぜ!」
「…ここは奥方の好意に預かろう」
私達はそれからお菓子とお茶と共に談笑した。
そっと庭を眺めると、赤い彼岸花が揺れていた。
〜こだわりの話〜
「だから、味付けは濃くしてって言ってるじゃん!」
「これ以上濃くしたら舌がおかしくなるわ。素材の味がする方が良いでしょう?しかも健康的よ」
「だったら今日のお昼ご飯食べないもん」
「食べなくて結構です、あっち行ってて」
私と蒙恬くんは食の好みが真逆だ。優しい味付けの方が好きな私、やたらと濃い味付けを欲する蒙恬くん。
こればかりは譲れないので構わず料理を続けた。
「父上と母上、またやってるよ」
蒙清の声が聞こえて来る。子供たちにはもはやお馴染みと思われているのも何とも言えない気分になる。
やがて料理が完成したが、蒙恬くんがやってくる気配はない。まさか本当に食べないつもりなのだろうか。
しかし少しして、子供たちと共に食卓にやって来た。
「…さっきはごめん」
「…こちらこそ」
「小夜ちゃんが僕の健康を考えてくれてるのはわかったから…」
「そうだけど…これからは蒙恬くんの好きな味付けもするね」
「ほんと?」
蒙恬くんは子供みたいに目を光らせる。
「うん、私もちょっと頑固過ぎたわ」
「じゃあ仲直りだね。さ、食べよ〜」
美しい庭を眺めながら家族と共に食卓に着く。そんな日常がとても尊い時間に感じられた。
「ねぇ、小夜。受け取って欲しい物があるんだ」
「改まってどうしたの?」
蒙恬くんは何か細いものを懐から取り出した。
「小夜ちゃんが古くなった竹筆を大切に使ってるから…もっと長く使えるものをあげたいなと思って」
それは見た事のない形をした筆だった。
「どうもありがとう…珍しい形だけれど、どこで手に入れたの?」
「実は…自分で作ったんだ」
「えっ…?すごい…蒙恬くんが考えて作ったのね…」
「狩りをしている時に思いついたんだ。動物の毛で作ったら長持ちするんじゃないかって。それと書きやすさも考えたけど…どうかな?」
早速私は墨を吸わせて竹簡に書いてみた。
「なめらかで、書きやすい…」
「…気に入ってくれたら良いな」
「私のために発明をしてくれるなんて…蒙恬くんは立派な芸術家ね。本当にありがとう」
「芸術家…うん、そんなに喜んでもらえて僕も嬉しいよ」
私達は夫婦の時間を大切に過ごしていた。
〜友達の話〜
「今日、あいつらが来るんだ」
「えっ、李信くんと王賁くんが?今日来るの?」
「ごめん、言うの遅くなった」
「大丈夫だけど、それならお茶の準備をしなくちゃ」
「はは、本当に小夜は真面目だねぇ」
そこでノック音が聞こえて来た。蒙恬くんが扉へと向かっていく。
「あ、もう来たの?」
「なんだ、早く来たら悪いのか」
「相変わらず王賁は言い方キッツいな〜」
「俺もちゃんと遅れずに来たぞ!」
「李信が遅刻しないなんて珍しい」
「どうせ忘れてるだろうと思って家まで行ってやったんだ、ちょっとは感謝しろ」
「ありがた迷惑ってやつだ、恩着せがましいぞおめー」
「まぁまぁ2人とも落ち着いて」
そんな会話を聞きながら私はお茶を淹れていく。
「蒙鈴、このお茶を差し出してあげて」
「はーい」
前に市場で買った良いお菓子が近くに見つからないので戸棚の上を確認しようと台の上に乗る。
「あのお菓子はどこにあったかしら…」
やっと見つけたと思いお菓子を手に取ったが、そこで私はバランスを崩してしまった。
「あっ…」
落ちそうになった瞬間、気づけば私は蒙恬くんに支えられていた。
「大丈夫?」
「う、うん…ありがとう」
「小夜ちゃんはちょっとドジな所あるからね」
顔が真っ赤になっているのが自分でもわかる。
「ひゅーひゅー!お似合いの夫婦だなー!」
「…そそっかしい奥方だな」
しかも、その様子を2人にもばっちり見られていた。
「ちょっと王賁言い方!小夜ちゃんはちょっとドジだけど僕の世界一かわいい妻なんだからね!」
「まーた始まった」
李信くんは笑っている。
「父上と母上は本当に仲がよろしいですね」
気づけば蒙鈴だけでなく蒙清も来ていた。流石に子供達にまで見られたのは恥ずかし過ぎる。
「小夜ちゃん照れ過ぎだよ。ほら、お菓子取ってくれたからみんなで食べよ?」
「よっしゃー!ほら、早く食おうぜ!」
「…ここは奥方の好意に預かろう」
私達はそれからお菓子とお茶と共に談笑した。
そっと庭を眺めると、赤い彼岸花が揺れていた。
〜こだわりの話〜
「だから、味付けは濃くしてって言ってるじゃん!」
「これ以上濃くしたら舌がおかしくなるわ。素材の味がする方が良いでしょう?しかも健康的よ」
「だったら今日のお昼ご飯食べないもん」
「食べなくて結構です、あっち行ってて」
私と蒙恬くんは食の好みが真逆だ。優しい味付けの方が好きな私、やたらと濃い味付けを欲する蒙恬くん。
こればかりは譲れないので構わず料理を続けた。
「父上と母上、またやってるよ」
蒙清の声が聞こえて来る。子供たちにはもはやお馴染みと思われているのも何とも言えない気分になる。
やがて料理が完成したが、蒙恬くんがやってくる気配はない。まさか本当に食べないつもりなのだろうか。
しかし少しして、子供たちと共に食卓にやって来た。
「…さっきはごめん」
「…こちらこそ」
「小夜ちゃんが僕の健康を考えてくれてるのはわかったから…」
「そうだけど…これからは蒙恬くんの好きな味付けもするね」
「ほんと?」
蒙恬くんは子供みたいに目を光らせる。
「うん、私もちょっと頑固過ぎたわ」
「じゃあ仲直りだね。さ、食べよ〜」
美しい庭を眺めながら家族と共に食卓に着く。そんな日常がとても尊い時間に感じられた。