恋はきらめき、繋がるは 恋慕
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会社を出た頃には、もう時計は九時を指していた。
白い息を吐きながら、蔵馬は駅の改札を出た。
指先を凍らせるような風に、肩が震えた。
自然、足が早くなる。
ゆっくりすればするほど、時間がかかるだけ。
ああ、暖房…設定してくればよかったかなと、今更。
こんなとき、人混みのほうが暖かい。
駅を出れば、住宅街に続く道は他に誰もいなかった。
缶のミルクティーを飲みながら、マフラーの中で描くのは、
一つだけ。
…あのひとは、こんな寒い夜、どうしているだろうか、
魔界も、季節は同じだ。
「…ばか」
最後に会ったのは、からだを焼け尽くすような
太陽の季節から、乾いた風に変わるころで。
「ちゃんと、きれいにしてるのに」
肩にかかる髪を、くるりと指に絡めて缶を飲み干した。
浮かぶのは、綺麗にしろ、とあの人が言った夜のこと。