Blue energy -being hidden- 嘆きの風
飛影は、何も答えず蔵馬を見た。
蔵馬の顔が青くなり、ポトリとイルカのぬいぐるみが落ちた。
飛影が、それを拾うことが、出来なかった。
蔵馬の黒髪が、空よりも濃い黒に見えた。
「行って…」
数秒後、消えそうな声が聞こえた。
イルカのぬいぐるみを、蔵馬は小さく踏んだ。
「行って…緊急なんでしょ」
頬を、小さな雫が伝ったのが見えた。
けれど蔵馬は顔を上げなかった。
「今日は…ありがとう」
今夜髪を洗ってやるって、言ったのは誰と、
追及したくなったのは本当で。
「飛影様!」
使い魔は、何度も飛影を呼んでいた。
「そんな者に構っていないで早く!」
「うるさい!」
叫んでいたのは、飛影だった。
「来い、蔵馬!」
そのまま、蔵馬を抱えた。イルカのぬいぐるみを載せて。