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Blue energy -being hidden- 嘆きの風



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「あ、ここにもいた!見て」
明るい声で、蔵馬は飛影を振り返った。壁から刺す日の光に、蔵馬の頬がオレンジ
に染まった。
海辺の街の水族館。その2階に、二人は居た。

大きな水槽の中、動く黄色い魚を、蔵馬は指で追った。鮮やかなブルーの水の中を
ゆっくりと漂う黄色の魚、手のひらに載りそうな大きさのそれを、蔵馬はじっと
見つめていた。
「あ、こっちもだよ」
ピンクの魚を見つけて、蔵馬はもう一度飛影を振り返った。晴れ渡った空から
ガラスを通して刺す光に染まる蔵馬が眩しい。
「こっちのほうがきれいだぞ」
ずっと同じ水槽に張り付いている蔵馬の背に手を回すと、大人しく従う。
「本当だ!」
薄いピンクのグラデーションの珊瑚を見つけて、蔵馬は水槽の顔を近づけた。
張り付きそうなほど近づいている蔵馬に呆れた目を向けたのは一瞬。
「お前の目の色だ」
そう言って、中に揺れる濃いエメラルドグリーンの魚を指さした。
いつも自分を見上げてくる深い碧の瞳。蔵馬は頬を染めた。
「…いきなり言わないでよ」

水族館の通路を抜けると、そこは海の見渡せるバルコニーだった。
「晴れて気持ちいい!」
強い風が吹いた。
その風に煽られて、蔵馬の黒髪が靡いて乱れた。
「そうだな…魔界の空より、ずっといい」
「こっちの海も、良いでしょ」
言う蔵馬に、こっちのほうがずっときれいだと思わず口にする。
はにかむように、蔵馬は笑った。蔵馬の手を繋ぐと、蔵馬は手を
重ねてきた。
「パサついているぞ」
肩に触れると、蔵馬の噛みに潮がついて手ぐしが通らなくなっていた。
「あとで、俺が洗ってやる」
耳元で囁くと、蔵馬は、えっと言って顔を伏せた。
蔵馬が嫌だと言わないことは、分かっていたけれど赤くなった頬を見るのは
楽しかった。
キラキラと、光を集めたように蔵馬が笑う。繰り返し再生するテープの
ように、飛影は瞬きをして蔵馬を何度も見つめた。


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