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時雨との闘いは目まぐるしく、そして熱く鋭いものだった。
気が抜けず、思い出の花を召還する。
倒れこんだ蔵馬を見つめたのは、自分が一番早いと思った。
ーーーけれど。
油断していた。
かけつけようとした時には黄泉がいた。
『最後にしろ』
黄泉のそばにいた躯が言った。
『手に入らないものを望むのは、最後にしろ』
キリを付けに行けよ。
蔵馬を抱える黄泉に、激しい何かを抱いた。
触るな。
触るな。
お前にだけは…。と、思う。
少し出遅れた飛影は、黄泉の前に立ちふさがった。
蔵馬を、見詰める。
そして黄泉を見詰める。
「返してもらおう」
冷たく鋭い瞳で、黄泉を見る。
「こいつは、俺のものだからな」
全てを溶かす想いが、宿って居た。
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