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「少し痩せたな」
唐突に言うと、蔵馬は視線をそらした。
「はい」
なんていったらいいかわからない。
何かを切り出すべきか、明るく振る舞えばいいのか。





思いが巡るが、うまく纏まらない。
そんな蔵馬をじっと見て、飛影は小さく言った。
「トーナメントがある」
「…はい」
「しっかりしろ」

とらえどころの無い言葉で、飛影はまっすぐ蔵馬を見つめた。
この視線は苦手だ。
捕まえられてしまいそうで強くて熱くて。
ああ、どこかで見た瞳だ、と思った。



『もっと自分を…---』
あの言葉の時と同じ。



「はい」
ジワジワとにじんでくる何かに、泣きそうになった。
ああ、いつも。いつも気にしてくれている。
今なら、今なら…

「あの」
そのまま帰ろうとした飛影を呼び止める。
「何だ」
「あの。俺ーーー」
あなたが。
小さく言葉にすれば、心が震える。


ツン。

そこまで言うと、飛影の指先があった。目の前。
「続きは、大会の後で聞く」
「ひえい!」

一瞬後には姿は無かった。
風のように去っていったひとを、戸惑ってそして少し頬を
膨らませて見詰める。
「…もう」
でも、温かい。
もっと自分を。



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