Faraway Blue
「---ん!」
机の上に倒されて、蔵馬は苦しげに息をしていた。
前ボタンをはずされて、びくっと体がしなる。
ーやめっ…
口を開けず、浅い呼吸だけを繰り返す。
窓から入る光が黒髪に反射して、まぶしかった。黄泉はため息をついた。
相変わらず美しい。
「ずっと待っていた」
捜していた。生きる意味はお前だった。
言うと、首筋を舐める。
やっと唇を解放された蔵馬は、その瞬間、
「--!」
黄泉の首筋に噛み付いた。
「はぁ――はぁ…」
荒い息はどっちのものなのか…。
「やめ、ろ…」
消えそうな声が、響いた。
「蔵馬っ、お前は…」
ただ、そこから蔵馬は飛び出した。