1.ハンター~予期せぬ出来事~
事務所に到着すると車を降りマネージャーと一緒に事務所内へ入る。
行き交う人々に挨拶をしながらスタジオへと足を進めた。
「おはよーございます!」
「おはよう、今日も元気いいね!」
「えー?普通じゃないスか?」
「いやぁ、この朝早い時間帯にこんな元気に撮影挑んでくれる子は少ないから、こちらとしては嬉しい限りだよ。
スゴく士気が上がるしね!」
嬉しそうに話す顔見知りのカメラマンと言葉を交わすと、早速着替えとヘアメイクのセットに取りかかる。
それからヘアメイクさんたちと他愛もない話をしつつ準備を済ませると撮影が始まった。
撮影後、関係者全員に挨拶を済ませると早々と車に乗り込みマネージャーに家まで送ってもらう。
家に着くとマネージャーへお礼にと事前に用意してあった、お手製一口大チーズケーキとアップルティーを差し入れた。
「いつも気を遣わなくていいんですよ?これも仕事の1つなんですから。」
「んー?気を遣ってるんじゃないよ。
モデルとしてもだけど、有能なマネージャーさんに俺も有能なタレントとしてカッコつけたくて勝手にしてるだけで。」
「ふふ、私相手にカッコつけてどうするんです。」
「いいんだよ!感謝の気持ちをアピールしたいだけだから!」
「ハイハイ、それはどうもありがとうございます、しかと受け取りましたっ。
うふふ。」
「…子供扱いされた気分…。」
「してませんよ。それより中に入って早くお休みなさい、朝早かったんですから。」
「ソーダネ。」
「改めてありがとうございます、差し入れは事務所でゆっくりいただきますね。
それではまた明日。」
「うん、また明日ー。」
キリのいいところで話を締めくくったマネージャーに別れを告げられる。
言われたとおり早朝の撮影で疲れていたので素直に従うことに。
車が遠退いていくのを手を振りつつ見届けた俺は、今度こそ家に入るのだった。
帰宅後ふと時計を見ると既に11時。
あー、そらお腹も空くわ。
さすがに食パン1枚だけでは昼までもたない。
とはいえ片付けを先に済ませてしまいたい。
ということで、ひとまず冷蔵庫にあまっていたチーズケーキと冷えた水を胃に収めて一息吐く。
それから部屋着に着替え、ロドが流しに運んでくれていた食器を洗い始めた。
「ふいー、疲れたー。」
独り言を呟きながら洗濯物を干し(これまたロドが洗っていってくれたらしい、手間省けるからありがたいなぁ)、その後軽めに自分の昼食を作った。
「そーいや俺、何か忘れてる気するんだけど…何だっけ…?」
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