1.ハンター~予期せぬ出来事~
少しして支度が済んだ頃にロドが自室から起き出してきた。
「おはよ、ロド。…あれ、まだ寝てられると思うんだけど。」
「おはようリヒ。
目が覚めちゃったんだけど二度寝できそうになかったから起きることにしたんだ。」
「ふーん、そうなんだ。」
「それにしても今日はお仕事随分早いんだね。
あまり寝てなさそうだけど体調崩したりしてない?大丈夫?」
「大丈夫だよ、心配性だなー。」
「前科があるから訊いてるんじゃないか、睡眠不足で貧血起こしてぶっ倒れたの誰だったっけ?」
(よく覚えてるなぁ、さすが医者…。)
「今日は昼までだからもつって。それに朝飯もちゃんと食べてるしさ。」
「そう?それならいいんだけど…。
あ、今日も朝ごはん美味しそうだな~、朝早いのにわざわざありがとうね。」
「別にー?家事当番俺なんだから作るに決まってるじゃん。」
「うん、それでもありがとう。」ニコニコ
「…どういたしまして。」
照れくさくてそっぽ向きながら返事をしたら笑われた。笑うなよ。
と、こんなほのぼの会話してる場合じゃないんだった、もう出勤の時間が迫っている。
パンを食べ終わると歯磨きを始めていたロドの隣で俺ももう一度歯を磨き、その後忘れ物がないことを確認してからロドに声をかけた。
「それじゃあ俺もう行くから、食器類は台所に置いといて!あと戸締まりよろしくー!仕事遅れんなよ!」
「わかったよ、いってらっしゃい!気を付けてね!」
「おー、行ってきまーす!」
そう告げると俺は家を出て既に待機している車へ乗り込んだ。
今から雑誌に日本人モデル代表で載せてもらう撮影のため、有能マネージャーの運転する車で撮影現場へに向かうのである。
ここで俺の職業について。
俺は普段本職として
学生時代にスカウトされたのがきっかけだ。
最初の頃はファッション雑誌にたまに載る程度だったが、今ではCM・ドラマ・映画・舞台・果てはCDデビューまでさせてもらっている。
(実を言うとアレな内容のものにも手を出してはいるが)地道ながらコツコツ売り続けてもらったお陰で今では大分知名度が上がったのではないだろうか。
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