Black Cherry






小さい頃、一瞬見たこともない映像が頭の中を駆け抜けたのが始まりだった。


その頃からふとした瞬間に映像は頭を掠め、更には夢に見るようにまでなった。


時折幼い子供には衝撃的な内容で、気分を悪くしたり悩まされることがしばしばあった。





その真相がわかったのはそれからすぐのこと、俺の心を抉る忌まわしい事件がきっかけだった。


”自分が何故存在しているのか”


そんな人生においてのテーマが俺の中で確定してしまった瞬間だった。





それからは人に頼らないように、迷惑にならないようにと必死に努めた。


心の拠り所となる人達に出会ったものの、その信念が曲がることはなかった。





ー彼女に出会うまでは。





彼女は俺に生きる喜びを教えてくれた。


未来への希望を与えてくれた。


…だがそれも束の間、その後の事故が俺の存在価値を大きく揺るがせた。


自分が存在しなければ…、そんなことばかり考えるようになった。





それでも俺は、人生最難関の試練に勝つまで生き抜かないといけない。


そんな強迫観念まがいな思いが辛うじて俺を正常でいさせてくれた。





それから少しして、人生の転機が来る。





ついに俺の存在理由が証明される時が来たのだ。


幸い頼りになるものが幾つも用意されていたため、試練への準備は出来る限りし尽くすことができた。





そして、俺は命を懸けた勝負へ挑む。


どんな終わりを迎えるかは最後まで誰にもわからない。


けれど、するしかないのだ。


俺に残された選択肢はもう1つもない。





そう、全ては

























「彼との約束のために」





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