2.チェリー・ブロッサム~印象的な出会い~
「ユーリに馴れ馴れしく触るなっ!
ユーリもユーリだっ、どこの馬の骨かも分からない男に気安く近づくなんて!」
(黒髪クンはユーリくんっていうのか。)
「あー、えと、ゴメンね金髪クン。」
(もしや俺がユーリくんに手を出そうとしてるように見えた、のか?)
「ヴォルフ!馬の骨なんてRehiteさんに失礼だろ?」
金髪クンの声で我に返ったユーリくんが、気を遣って弁解しだしてくれた。
良かった、2人の仲を引き裂くような真似はしたくないので大助かりである。
「どうしてこいつを庇うんだ!!
そもそも、お前はこの男とどういう関係なんだ?!」
「Rehiteさんは地球じゃ有名人だし、大ファンだから俺が一方的に知ってるんだよ!
会ったのは今日が初めてで、」
「何ぃ?!
お前は初めて会ったヤツとベタベタするのか?!
油断も隙もないやつだな、この尻軽っ!!」
「そうじゃないし尻軽でもないっての!!!」
…弁解、してくれているのだが金髪クンの誤解は深まるばかりだ、彼思い込みが激しいタイプだな。
てか尻軽って、このご時世そう聞かない言葉だけど。
見た目のキラキラしい美青少年ぶりにそぐわぬ言葉遣いに意外性を感じる。
2人は俺のことなどそっちのけで言い争いを始めてしまった。
にしても美人が怒ると怖いというのは本当なんだな、迫力があってとても恐ろしい。
と、そこまで黙って様子を見ていたウェラーさんが金髪クンに声をかけた。
「ヴォルフ、その方を誰だと思ってるんだ。」
「そんなこと言ったって婚約者に手を出されそうになっているのに黙っていられるわけないだろ!!」
…What?
俺の聞き間違いだったりする?
「あの、今婚約者って言葉が聞こえたんだけど、誰と誰が…?」
そう尋ねると金髪クンはがふふん、と優越感を含んだ笑みを俺に向けて返答した。
「そんなの、僕とユーリがに決まっているだろう?」
「ま、マジか…!」
いや、付き合ってると言っていたからおかしくはないはずなんだけど。
自分が日本人で、海外とは違い同性間の婚姻関係を目にすることがないからかつい驚いてしまう。
そうか、ここは日本と違って少なくとも同性間の恋愛に偏見がないんだなぁ。
照れて赤い顔を俯けてしまっているユーリくんと、関係性を公表して自慢げな金髪クン。
2人を見ているとどことなく微笑ましい気持ちになってしまうのであった。
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