夜
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突然ですが、私、彼の声が好きでして。
一体誰に向けて話しているんだということについてはノータッチで。
ーーー
現在、進行形で彼の逞しい腕枕に甘え、堪能している至近距離に居るわけだが、長さは無いものの量がふっさふさでしっかりとした太さでストレートな伏せられたまつ毛を眺めている。下まつげ超長いじゃん。羨ましい。
今、何時だろう。
起こさないようにそっと体を起こして窓の方を覗き込むがまだ外は彼がいつも纏っているのと同じ闇の色をしている。
月光で薄らと照らされてはいるが、溶けて消えてしまいそうな程の夜の色がまぁ似合うこと似合うこと。
今は伏せられているが彼の瞳も"月"だ。
さしずめその姿で"夜"を体現しているようだと思う。
そう言えば確か愛刀も"夜"だったなぁ。
同じ布団に入っていることからお察しだとは思うが昨夜はお楽しみだったのだ。
どこからか意識と記憶が丸ごと抜けている。最後まできちんと付き合えていただろうか。きっと後片付けもしてくれたのだろう。
皮膚に残った薄ら残る絶頂の余韻と汗ばんだ肌と情事を思い起こさせるじっとりとした空気。
特段何がするわけでは無いがこの空気感と言うか、雰囲気が好きだ。
ベッドのヘッドボードに背を預け、ぼんやりとした視界と鈍い思考で夜を身に纏い月に照らされる男を眺めた。
「…好きだなぁ」
刹那。
伏せられていた瞼が開かれて綺麗な2つの満月がこちらを見た。
「そういう事は起きてる時に言え」
どうやら今夜は綺麗な月を全部私が独り占めできるようだ。
贅沢なことだ。なんて覚束無い頭で考えた。
「月が綺麗」
「今日は満月だからな」
「ううん、毎日綺麗だよ」
「そうか」
一言一句見つめながら答えたけれど、きっと伝わってないんだろうなぁ。
でもいっか、私だけが知ってると言うのも乙なものだ。
先程まで後頭部にあった腕が今は腰元にあって、急にモゾっと動いたと思えば私の腹に巻き付いては布団へ引き摺り込もうとしてくる。
大人しく彼と至近距離の定位置に戻って布団を掛けられ、もう一眠りでもしようか。そう思って微睡んでいた。
「小娘、いい言葉を教えてやる。二兎追うものは一兎も得ず、だ。」
「えっ」
面食らった私を見てワハハと軽く笑っている。
つまり全て分かっているぞ、という事じゃないか。
ブワッと顔が熱を持つ。
「まだ夜は開けていないが、もう寝るか?それとも…そうだな、月見でもするか?」
「……寝かせるつもりないなんてくせに。」
「そりゃそうだろう、あんな情熱的に見つめられては応えねば男が廃るというものだ」
腹に回ったままの腕が腰へと回りグッと引き寄せられた。お互い下着1枚と薄手の1枚しか羽織っていないからか沢山密着して体温が心地よい。
ふぅ、と深呼吸した彼の吐息が耳に掛かり、思わず身体が跳ねてしまった。
あ、やばい。今、空気が変わった。
恐る恐る彼の顔を見たら穏やかな満月は也を潜めて、代わりに瞳孔の開いたギラギラした鷹の瞳だった。
「…ヒッ」
「そんなに怯えずともいい。いつも酷いことはしていないだろう?」
違う意味では酷い目に遭っているのだが、と思ったのはぐっと飲み込んだ。
「さて小娘、もしかして耳が弱いのか?」
「いや!!違……うわけでもないけど……その…」
「なんだ、言え」
「………笑わない?」
「ああ、約束しよう。」
「耳が弱いかどうかはわからない。でも、ミホークの声が、ね、好きで、耳元でだと、その、脳が溶けちゃうみたいになって、」
急に手が伸びてきて後頭部に回り、お互いの顔が真横に来る程までグッと引き寄せられ、耳に唇が触れる手前で止まり、吐息たっぷりに
「感じる、か?」
と囁いた。
今の絶対意図的に狙ったでしょ。
悔しいけどさっきよりも大袈裟に身体が跳ねた上に吐息が漏れてしまった気がする。
その様子が面白いのかクツクツと笑っているが、そこではやめてくれ、何かが背筋を這い上がってくる感覚がしてゾワゾワするから。
「っ、ね、やめ」
「やめるわけなかろう」
「へ、変な気分になっちゃうから!」
「なればいい。いくらでも付き合ってやろう。きちんと鍛えているから心配せずともいい。」
逃げ場が無いじゃないか。
もとより物理的にはとっくに捕まってて腕の中なのだが。
「愛の言葉と卑猥な言葉、もしくは両方、どれがいい」
思案している間、押し黙ったのを肯定だと思ったのか勝手に選択肢を出してきた。
なんだその選択肢は。いや、どれ浴びても爆発四散しちゃうんだって。
「なぁ、どうする」
徐々に働かなくなってきた頭に鞭を打つ。
「……選びたくない、と言ったら?」
「ほう、それならば特別に両方してやる」
終 わ っ た
無理だって!そんな、普段無口な人にそんな囁かせたら摂取過多でスライムばりにとろけてしまうんだって、ただでさえいい声してるんだからもう許して下さい!本当に無理だって!
「…ね、やめよ」
「なんだ、嫌いか?」
ん゙ん゙…ずるい、既に手のひらの上じゃないか
♡♡♡
「こんなに涙目になって。かわいいやつだな」
「もう腰砕けじゃないか、諦めたらもっと気持ちよくしてやるぞ」
「こんなに蕩けきって。そんなに気持ちいいのか?」
「早く"もっと"と強請ればもっとしてやるぞ」
「ほら、強請ってみろ」
唇が僅かに耳に触れている。言葉を発する度動くのが伝わってくる。
囁かれる言葉が脳を反芻して脳が彼でいっぱいに占められて。
背筋のゾクゾクが収まらず、声は腰に溜まって響く。
囁きながら頬や顎を撫でたり項を撫で上げたりされてはもう為す術なく、文字通り手の上で遊ばれていて。
頭がふわふわして酔ったように酩酊していった。
'21/04/19 公開
'21/04/28 加筆修正
一体誰に向けて話しているんだということについてはノータッチで。
ーーー
現在、進行形で彼の逞しい腕枕に甘え、堪能している至近距離に居るわけだが、長さは無いものの量がふっさふさでしっかりとした太さでストレートな伏せられたまつ毛を眺めている。下まつげ超長いじゃん。羨ましい。
今、何時だろう。
起こさないようにそっと体を起こして窓の方を覗き込むがまだ外は彼がいつも纏っているのと同じ闇の色をしている。
月光で薄らと照らされてはいるが、溶けて消えてしまいそうな程の夜の色がまぁ似合うこと似合うこと。
今は伏せられているが彼の瞳も"月"だ。
さしずめその姿で"夜"を体現しているようだと思う。
そう言えば確か愛刀も"夜"だったなぁ。
同じ布団に入っていることからお察しだとは思うが昨夜はお楽しみだったのだ。
どこからか意識と記憶が丸ごと抜けている。最後まできちんと付き合えていただろうか。きっと後片付けもしてくれたのだろう。
皮膚に残った薄ら残る絶頂の余韻と汗ばんだ肌と情事を思い起こさせるじっとりとした空気。
特段何がするわけでは無いがこの空気感と言うか、雰囲気が好きだ。
ベッドのヘッドボードに背を預け、ぼんやりとした視界と鈍い思考で夜を身に纏い月に照らされる男を眺めた。
「…好きだなぁ」
刹那。
伏せられていた瞼が開かれて綺麗な2つの満月がこちらを見た。
「そういう事は起きてる時に言え」
どうやら今夜は綺麗な月を全部私が独り占めできるようだ。
贅沢なことだ。なんて覚束無い頭で考えた。
「月が綺麗」
「今日は満月だからな」
「ううん、毎日綺麗だよ」
「そうか」
一言一句見つめながら答えたけれど、きっと伝わってないんだろうなぁ。
でもいっか、私だけが知ってると言うのも乙なものだ。
先程まで後頭部にあった腕が今は腰元にあって、急にモゾっと動いたと思えば私の腹に巻き付いては布団へ引き摺り込もうとしてくる。
大人しく彼と至近距離の定位置に戻って布団を掛けられ、もう一眠りでもしようか。そう思って微睡んでいた。
「小娘、いい言葉を教えてやる。二兎追うものは一兎も得ず、だ。」
「えっ」
面食らった私を見てワハハと軽く笑っている。
つまり全て分かっているぞ、という事じゃないか。
ブワッと顔が熱を持つ。
「まだ夜は開けていないが、もう寝るか?それとも…そうだな、月見でもするか?」
「……寝かせるつもりないなんてくせに。」
「そりゃそうだろう、あんな情熱的に見つめられては応えねば男が廃るというものだ」
腹に回ったままの腕が腰へと回りグッと引き寄せられた。お互い下着1枚と薄手の1枚しか羽織っていないからか沢山密着して体温が心地よい。
ふぅ、と深呼吸した彼の吐息が耳に掛かり、思わず身体が跳ねてしまった。
あ、やばい。今、空気が変わった。
恐る恐る彼の顔を見たら穏やかな満月は也を潜めて、代わりに瞳孔の開いたギラギラした鷹の瞳だった。
「…ヒッ」
「そんなに怯えずともいい。いつも酷いことはしていないだろう?」
違う意味では酷い目に遭っているのだが、と思ったのはぐっと飲み込んだ。
「さて小娘、もしかして耳が弱いのか?」
「いや!!違……うわけでもないけど……その…」
「なんだ、言え」
「………笑わない?」
「ああ、約束しよう。」
「耳が弱いかどうかはわからない。でも、ミホークの声が、ね、好きで、耳元でだと、その、脳が溶けちゃうみたいになって、」
急に手が伸びてきて後頭部に回り、お互いの顔が真横に来る程までグッと引き寄せられ、耳に唇が触れる手前で止まり、吐息たっぷりに
「感じる、か?」
と囁いた。
今の絶対意図的に狙ったでしょ。
悔しいけどさっきよりも大袈裟に身体が跳ねた上に吐息が漏れてしまった気がする。
その様子が面白いのかクツクツと笑っているが、そこではやめてくれ、何かが背筋を這い上がってくる感覚がしてゾワゾワするから。
「っ、ね、やめ」
「やめるわけなかろう」
「へ、変な気分になっちゃうから!」
「なればいい。いくらでも付き合ってやろう。きちんと鍛えているから心配せずともいい。」
逃げ場が無いじゃないか。
もとより物理的にはとっくに捕まってて腕の中なのだが。
「愛の言葉と卑猥な言葉、もしくは両方、どれがいい」
思案している間、押し黙ったのを肯定だと思ったのか勝手に選択肢を出してきた。
なんだその選択肢は。いや、どれ浴びても爆発四散しちゃうんだって。
「なぁ、どうする」
徐々に働かなくなってきた頭に鞭を打つ。
「……選びたくない、と言ったら?」
「ほう、それならば特別に両方してやる」
終 わ っ た
無理だって!そんな、普段無口な人にそんな囁かせたら摂取過多でスライムばりにとろけてしまうんだって、ただでさえいい声してるんだからもう許して下さい!本当に無理だって!
「…ね、やめよ」
「なんだ、嫌いか?」
ん゙ん゙…ずるい、既に手のひらの上じゃないか
♡♡♡
「こんなに涙目になって。かわいいやつだな」
「もう腰砕けじゃないか、諦めたらもっと気持ちよくしてやるぞ」
「こんなに蕩けきって。そんなに気持ちいいのか?」
「早く"もっと"と強請ればもっとしてやるぞ」
「ほら、強請ってみろ」
唇が僅かに耳に触れている。言葉を発する度動くのが伝わってくる。
囁かれる言葉が脳を反芻して脳が彼でいっぱいに占められて。
背筋のゾクゾクが収まらず、声は腰に溜まって響く。
囁きながら頬や顎を撫でたり項を撫で上げたりされてはもう為す術なく、文字通り手の上で遊ばれていて。
頭がふわふわして酔ったように酩酊していった。
'21/04/19 公開
'21/04/28 加筆修正
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