【14章】誘拐
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名前が去っていった後、すぐに追いかけようとしたが足が止まった。
せっかく名前が自我を取り戻したのに、己が近づけばまた失ってしまうかもしれない。
リュックの中身で空腹を満たせれば、きっと自分で戻ってくるはずだ。
しかし、待てど暮らせど戻ってこない。
俺は歩を進め、慎重に名前の気配を探した。
「全く・・・」
広い森の中だが、雑に走ってくれたおかげで足跡からすぐに見つかった。
大木の根元で膝を抱えている。
大方、俺を襲ってしまったことを気に病んでいるのだろう。
「・・・大丈夫か」
それは2つの意味を含んでいた、
身体と心。
身体は大丈夫そうだが、心に傷を負っていた。
俺がいくら大丈夫だと言っても聞く耳を持たない。
名前は俺の腕の中で泣きながら言った。
「私・・・・・・人間になりたい」
俺ではどうすることもできない願い。
心の底からの願いを叶えてやれないことに悔しさを感じた。
名前は十分人間らしいよ。
半分は人間じゃないか。
俺は名前が人間じゃなくても気にしない。
どんな言葉を掛けてやったところで、気休めにしかならないことは分かっていた。
だから言葉を掛ける代わりに、強く、強く、抱き締めた。
********
「名前さん!大丈夫!?」
「体育祭の時といい・・・心配かけてごめんね」
合宿所の玄関で緑谷くんと鉢合わせした。
緑谷くんの声を聞きつけたクラスメイトがわらわらと集まった。
「名前!」
クラスメイトの輪を掻きわけて轟くんが目の前に現れた。
「大丈夫・・・なのか?」
「うん。急にいなくなっちゃってごめん。おぶってくれてありがとう」
心配そうに眉を顰める轟くんを見て、本当に申し訳ないことをしたと思う。
「ほら、お前ら今から夕食だ。さっさと行け」
相澤さんがしっしと手で払った。
空腹が満たされた私と違い、みんな腹ペコなので私より今はみんなの方が心配だ。
と同時に羨ましく思ってしまう。
どれだけお腹が減っても自我を失わないみんなが。
「いいなぁ・・・」
ポツリと漏れた言葉。
ハッとして「私も行ってきます」と相澤さんに声を掛けて、みんなの後ろを追った。
せっかく名前が自我を取り戻したのに、己が近づけばまた失ってしまうかもしれない。
リュックの中身で空腹を満たせれば、きっと自分で戻ってくるはずだ。
しかし、待てど暮らせど戻ってこない。
俺は歩を進め、慎重に名前の気配を探した。
「全く・・・」
広い森の中だが、雑に走ってくれたおかげで足跡からすぐに見つかった。
大木の根元で膝を抱えている。
大方、俺を襲ってしまったことを気に病んでいるのだろう。
「・・・大丈夫か」
それは2つの意味を含んでいた、
身体と心。
身体は大丈夫そうだが、心に傷を負っていた。
俺がいくら大丈夫だと言っても聞く耳を持たない。
名前は俺の腕の中で泣きながら言った。
「私・・・・・・人間になりたい」
俺ではどうすることもできない願い。
心の底からの願いを叶えてやれないことに悔しさを感じた。
名前は十分人間らしいよ。
半分は人間じゃないか。
俺は名前が人間じゃなくても気にしない。
どんな言葉を掛けてやったところで、気休めにしかならないことは分かっていた。
だから言葉を掛ける代わりに、強く、強く、抱き締めた。
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「名前さん!大丈夫!?」
「体育祭の時といい・・・心配かけてごめんね」
合宿所の玄関で緑谷くんと鉢合わせした。
緑谷くんの声を聞きつけたクラスメイトがわらわらと集まった。
「名前!」
クラスメイトの輪を掻きわけて轟くんが目の前に現れた。
「大丈夫・・・なのか?」
「うん。急にいなくなっちゃってごめん。おぶってくれてありがとう」
心配そうに眉を顰める轟くんを見て、本当に申し訳ないことをしたと思う。
「ほら、お前ら今から夕食だ。さっさと行け」
相澤さんがしっしと手で払った。
空腹が満たされた私と違い、みんな腹ペコなので私より今はみんなの方が心配だ。
と同時に羨ましく思ってしまう。
どれだけお腹が減っても自我を失わないみんなが。
「いいなぁ・・・」
ポツリと漏れた言葉。
ハッとして「私も行ってきます」と相澤さんに声を掛けて、みんなの後ろを追った。
