【14章】誘拐
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我慢できなかった。
大好きな相澤さんだったのに。
姿が見えた瞬間、そんな気持ちはどこかに飛んでしまった。
リュックにはご飯が入っている。
分かっているのに、私の鼻腔を掠めた相澤さんの匂いしか眼中になかった。
美味しそう、食べたい。
こんなの好きな人に抱く感情じゃない。
リュックなんて目に入らなくて、気付けば腕に噛みついていた。
黒翼を相澤さんに突き刺そうとした。
"食料"として狩るために。
しかし相澤さんに抱き締められた時、あれだけ荒ぶっていた気持ちが不思議なぐらい落ち着いた。
何とか自我を手繰り寄せることができた。
自我を取り戻している内に相澤さんから離れなきゃ。
リュックを掴み、駆け抜けた。
相澤さんの匂いが感知できないぐらい離れると木の根元に腰かけた。
急いでリュックを開き、中に入っていたおにぎりにかぶりつく。
ああ、なんて醜いのだろう。
まるで獣だ。
私は涙を流しながら、リュックの中身を平らげた。
********
食欲が満たされたが、私はその場から動けなかった。
「ぐすん・・・」
どんな顔して相澤さんに会えばいいのか分からない。
空っぽになったリュックを抱えた。
みんなどこまで進んだかな。
顔を上げると空が傾き始めている。
静寂な森の中にザクザクと人の歩く音が聞こえた。
「・・・」
顔を見なくても分かる。
だって、あのまま私のことを放っておくなんて優しい相澤さんがするはずないから。
三角座りした膝に額を付けて顔を伏せた。
「・・・大丈夫か」
相澤さんは迷わず私の隣に腰を下ろした。
「・・・それは私のセリフだよ」
「俺は大丈夫だ」
「大丈夫!?どこが!?」
私はガバッと顔を上げた。
腕に目をやると痛々しく私の噛んだ後がついている。
「ごめんなさい」
辛かった。
大好きなのに、それさえも忘れてしまう本能が。
「ごめんなさい」
謝ることしかできない自分が。
「俺の方こそすまなかった」
どうして相澤さんが謝るの?
「名前への理解が足りなかった」
抱き締められたその身体からは少し汗の匂いがした。
「・・・怖くないの?私のことが」
「怖くない」
「・・・私は私のことが怖い」
前の世界では人間しか食べられない喰種が沢山いて、そんな中人間と同じ物が食べられる私はいい意味での"特別"だった。
でもここには人間を食べる者などいない。
こちらでは私は悪い意味での"特別"だ。
「私・・・・・・人間になりたい」
大好きな相澤さんだったのに。
姿が見えた瞬間、そんな気持ちはどこかに飛んでしまった。
リュックにはご飯が入っている。
分かっているのに、私の鼻腔を掠めた相澤さんの匂いしか眼中になかった。
美味しそう、食べたい。
こんなの好きな人に抱く感情じゃない。
リュックなんて目に入らなくて、気付けば腕に噛みついていた。
黒翼を相澤さんに突き刺そうとした。
"食料"として狩るために。
しかし相澤さんに抱き締められた時、あれだけ荒ぶっていた気持ちが不思議なぐらい落ち着いた。
何とか自我を手繰り寄せることができた。
自我を取り戻している内に相澤さんから離れなきゃ。
リュックを掴み、駆け抜けた。
相澤さんの匂いが感知できないぐらい離れると木の根元に腰かけた。
急いでリュックを開き、中に入っていたおにぎりにかぶりつく。
ああ、なんて醜いのだろう。
まるで獣だ。
私は涙を流しながら、リュックの中身を平らげた。
********
食欲が満たされたが、私はその場から動けなかった。
「ぐすん・・・」
どんな顔して相澤さんに会えばいいのか分からない。
空っぽになったリュックを抱えた。
みんなどこまで進んだかな。
顔を上げると空が傾き始めている。
静寂な森の中にザクザクと人の歩く音が聞こえた。
「・・・」
顔を見なくても分かる。
だって、あのまま私のことを放っておくなんて優しい相澤さんがするはずないから。
三角座りした膝に額を付けて顔を伏せた。
「・・・大丈夫か」
相澤さんは迷わず私の隣に腰を下ろした。
「・・・それは私のセリフだよ」
「俺は大丈夫だ」
「大丈夫!?どこが!?」
私はガバッと顔を上げた。
腕に目をやると痛々しく私の噛んだ後がついている。
「ごめんなさい」
辛かった。
大好きなのに、それさえも忘れてしまう本能が。
「ごめんなさい」
謝ることしかできない自分が。
「俺の方こそすまなかった」
どうして相澤さんが謝るの?
「名前への理解が足りなかった」
抱き締められたその身体からは少し汗の匂いがした。
「・・・怖くないの?私のことが」
「怖くない」
「・・・私は私のことが怖い」
前の世界では人間しか食べられない喰種が沢山いて、そんな中人間と同じ物が食べられる私はいい意味での"特別"だった。
でもここには人間を食べる者などいない。
こちらでは私は悪い意味での"特別"だ。
「私・・・・・・人間になりたい」
