【13章】デート
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乗り慣れた車だけれど私は借りてきた猫のように助手席に座っていた。
特に乱れてもいないワンピースの裾を直しながら、車内に掛かっているテレビに耳を傾けた。
車を走らせること30分弱。
うねる山道を上へ上へと登っていく。
たまに下山する車と擦れ違うが、車内はカップルばかりだ。
「着いたぞ」
山の頂上にある駐車場に車を停めると外に降りた。
ちらほら人がいる場所へと私達も足を進めた。
「うわぁ・・・綺麗」
木の柵に手を掛けて眼前に広がる夜景を眺めた。
「あれ、雄英かな?」
「多分な」
遠くに見える見覚えのある建物。
高層ビルなんて沢山あるのに雄英も負けていない。
「まさか相澤さんと夜景見に来れるなんて思ってなかった」
「・・・他に行きたいところあったら言え」
「うーん・・・あるにはあるけど」
相澤さん絶対興味ないし、行きたくない場所だ。
「なんだ」
「ううん。絶対相澤さん嫌いな場所だから」
「言うだけ言ってみろ」
「・・・・・・ネズミが住んでる夢の国と言われてる場所」
「あそこか・・・」
テレビで何度か見かけた場所。
キラキラしてて楽しそうだなぁと興味が湧いた。
しかし眉間に皺を寄せる相澤さんに苦笑が漏れた。
「いや、ほんと言ってみただけ!」
実はネットで検索したことがある。
チケット代だって安くない。
夢の国に入るにはハードルが高いのだ。
「いつか行こう」
相澤さんを見上げると、さっきまで刻まれていた眉間の皺は取れていた。
「いつか」なんて普通は社交辞令で実現しないことがほとんどだけど、彼の言う「いつか」はきっと「近いうち」なんだろうなと思った。
私はコクリと頷いた。
********
正直、俺は夜景に情緒を感じるほど繊細な感性は持ち合わせていない。
眼前に広がる光の集合体のどこがいいのだか。
しかし名前の表情を見ると連れてきて良かったと思う。
不自由な生活の中で俺にしてやれる自由だ。
きっと周囲から見れば俺達は普通のカップルだ。
まさか隣に立つ彼女が異世界からやって来た人物で、俺がその監視者であることなど誰が予想できようか。
メディア避けをしていてよかった。
マイクのように認知度の高いヒーローだと、こうやって外に連れ出してやることさえできなかっただろう。
「他に行きたいところがあったら言え」
名前のためじゃない。
ただ俺が名前と同じ時間や思い出を共有したい、それだけだ。
彼女は渋って心を隠そうとした。
問い詰めれば、しぶしぶ白状したが、そこは夜景よりもさらに俺が苦手とする場所だった。
それが分かっているから名前は言おうとしなかった。
「(そういえば・・・)」
日々の携帯チェックで、検索履歴に最近夢の国があったことを思い出した。
名前が調べることと言えば料理や勉強関連が大半だったので珍しいと思った。
名前の歳であそこに行ったことがないなど、他人に言えばきっと驚かれる。
「いつか行こう」
「いつか」なんて照れ隠しに過ぎない。
「必ず」行くと決めた。
これからも不自由な生活の中でどんどん「初めて」を経験していくだろう。
その「初めて」を共有する相手ができるだけ自分でありたい、一見優しさに見える裏にはそんな独占欲が隠れていた。
特に乱れてもいないワンピースの裾を直しながら、車内に掛かっているテレビに耳を傾けた。
車を走らせること30分弱。
うねる山道を上へ上へと登っていく。
たまに下山する車と擦れ違うが、車内はカップルばかりだ。
「着いたぞ」
山の頂上にある駐車場に車を停めると外に降りた。
ちらほら人がいる場所へと私達も足を進めた。
「うわぁ・・・綺麗」
木の柵に手を掛けて眼前に広がる夜景を眺めた。
「あれ、雄英かな?」
「多分な」
遠くに見える見覚えのある建物。
高層ビルなんて沢山あるのに雄英も負けていない。
「まさか相澤さんと夜景見に来れるなんて思ってなかった」
「・・・他に行きたいところあったら言え」
「うーん・・・あるにはあるけど」
相澤さん絶対興味ないし、行きたくない場所だ。
「なんだ」
「ううん。絶対相澤さん嫌いな場所だから」
「言うだけ言ってみろ」
「・・・・・・ネズミが住んでる夢の国と言われてる場所」
「あそこか・・・」
テレビで何度か見かけた場所。
キラキラしてて楽しそうだなぁと興味が湧いた。
しかし眉間に皺を寄せる相澤さんに苦笑が漏れた。
「いや、ほんと言ってみただけ!」
実はネットで検索したことがある。
チケット代だって安くない。
夢の国に入るにはハードルが高いのだ。
「いつか行こう」
相澤さんを見上げると、さっきまで刻まれていた眉間の皺は取れていた。
「いつか」なんて普通は社交辞令で実現しないことがほとんどだけど、彼の言う「いつか」はきっと「近いうち」なんだろうなと思った。
私はコクリと頷いた。
********
正直、俺は夜景に情緒を感じるほど繊細な感性は持ち合わせていない。
眼前に広がる光の集合体のどこがいいのだか。
しかし名前の表情を見ると連れてきて良かったと思う。
不自由な生活の中で俺にしてやれる自由だ。
きっと周囲から見れば俺達は普通のカップルだ。
まさか隣に立つ彼女が異世界からやって来た人物で、俺がその監視者であることなど誰が予想できようか。
メディア避けをしていてよかった。
マイクのように認知度の高いヒーローだと、こうやって外に連れ出してやることさえできなかっただろう。
「他に行きたいところがあったら言え」
名前のためじゃない。
ただ俺が名前と同じ時間や思い出を共有したい、それだけだ。
彼女は渋って心を隠そうとした。
問い詰めれば、しぶしぶ白状したが、そこは夜景よりもさらに俺が苦手とする場所だった。
それが分かっているから名前は言おうとしなかった。
「(そういえば・・・)」
日々の携帯チェックで、検索履歴に最近夢の国があったことを思い出した。
名前が調べることと言えば料理や勉強関連が大半だったので珍しいと思った。
名前の歳であそこに行ったことがないなど、他人に言えばきっと驚かれる。
「いつか行こう」
「いつか」なんて照れ隠しに過ぎない。
「必ず」行くと決めた。
これからも不自由な生活の中でどんどん「初めて」を経験していくだろう。
その「初めて」を共有する相手ができるだけ自分でありたい、一見優しさに見える裏にはそんな独占欲が隠れていた。
