【10章】疑惑
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「行くぞ」
「はいはい」
爆豪くんに急かされて、私は席を立った。
相澤さんには昼休みに爆豪くんに付き合う話をしておいた。
「人気者は大変だな」と同情された。
決して私は人気者ではないと思う。
爆豪くんは一見喜怒哀楽(主に怒)の表現が激しいように見えるが、実際のところ何を考えているのかイマイチわからない。
特に体育祭の後から変だ。
「名字」
「ん?」
轟くんに名前を呼ばれた。
「・・・いや、また明日な」
「うん!ばいばい」
別れを告げて爆豪くんの後についていった。
********
「手合わせってどんな感じにするの?」
「体育祭の時と一緒だ。違うのは場外アウトは無し。どっちかがギブアップするまでやる」
「オーケー」
体操服に着替えて爆豪くんと対峙する。
「もっぺん確認しとくが・・・大丈夫なんだろうな」
「体調?万全だよ」
「ふん」
他に誰もいない中、私達は体育祭1回戦を仕切り直した。
「はぁはぁ・・・」
「ふぅー・・・」
結果は私の勝ちだ。
ちょっとひやっとした瞬間もあったが、終始優位は取れていた。
「今日はもう終わりだ」
「そだね」
時計を見ると体感時間よりもずっと過ぎていた。
プライド傷つけられて喚くかと思ったが、爆豪くんは至って冷静だった。
座って水分を取る爆豪くんの隣に私も腰を下ろした。
”今日は”ってことはまた次回があるのだろうか。
「ずっと・・・気になってることがある」
「何?」
「てめぇ、入試の試験会場どこだったんだ」
「え・・・?」
何で入試の話?
私は一瞬聞かれている意味が分からなくて首を傾げた。
「ずっと疑問だった。そんなに強かったら推薦組かと思えばそうじゃねぇ。だが、名字ぐらいの強さがあれば試験会場で目立ってたはずだ」
最近大人しかったのはそんなことを考えていたのか。
注意するべきは轟くんだと思ってた。
だからノーマークの爆豪くんに不意をつかれ、私の背筋に冷や汗が流れた。
「クラスの奴らに聞いたが、名字と試験会場が一緒だった奴が見つからなかった」
「授業は名字だけ当てられる回数が少ないし、当たっても簡単な問題だってことに最近気づいた」
「何者なんだ、お前」
ペットボトルを持つ手が震えた。
爆豪くんの顔が見れない。
燃えるような赤い瞳が怖い。
「たまたまじゃない?試験会場はどこだっけかな・・・忘れちゃった」
「それだけじゃねぇ。実際に戦ってみて分かった。名字の強さは経験から来るもんだ」
逃げられない。
爆豪くんは轟くんと違って天然じゃない。
「誰にも言わないでくれる?」
「ああ」
「じ、実はさ。私皆より年上なんだよね。事故で2年間休学してて・・・。やっと復学できたの」
「事故?」
「う、うん。車に轢かれて打ち所が悪くてさ」
万一の時にと決めていた相澤さんと作った設定を爆豪くんに話した。
「・・・・・・嘘だろ」
これで何とかなると思っていたが甘かった。
爆豪くんはこの嘘も見破ってしまった。
「お前、自分の回復力忘れてんのか」
そうだ!
この設定、私の自己治癒力の高さが露呈する前に作ったものだった。
私は両手で顔を覆った。
「あー!もう・・・」
自分の馬鹿さ加減に辟易した。
まだ学生生活始まったばかりなのに。
爆豪くんにバレたらもうここにはいられなくなっちゃう。
そうしたら相澤さんとも一緒に居られなくなるのかな。
また一人ぼっちになっちゃうのかな。
不安な感情は涙となって頬を伝った。
「おまっ・・・!」
「ぐすん・・・」
「何で泣いてんだよ!」
「だって、学校辞めなくちゃいけない」
「何でそんな話飛躍すんだよ!」
「きっとそうなるもん」
「・・・」
「ヒーローにもなれない・・・」
「だー!!もう!!!」
爆豪くんは私の頭をがしっと掴んだ。
「今はこれ以上聞かねぇ。言いふらすつもりもねぇ。だが、いつか絶対ぇ本当のこと聞き出すからな」
よくわからないが、爆豪くんは引いてくれた。
「・・・意外と女の涙に弱い?いだっ・・・!」
「帰んぞ」
「はーい・・・」
頭を叩かれたけど、ひとまず危機は乗り切ったらしい。
先行く爆豪くんの背中をボーッと見つめた。
「はいはい」
爆豪くんに急かされて、私は席を立った。
相澤さんには昼休みに爆豪くんに付き合う話をしておいた。
「人気者は大変だな」と同情された。
決して私は人気者ではないと思う。
爆豪くんは一見喜怒哀楽(主に怒)の表現が激しいように見えるが、実際のところ何を考えているのかイマイチわからない。
特に体育祭の後から変だ。
「名字」
「ん?」
轟くんに名前を呼ばれた。
「・・・いや、また明日な」
「うん!ばいばい」
別れを告げて爆豪くんの後についていった。
********
「手合わせってどんな感じにするの?」
「体育祭の時と一緒だ。違うのは場外アウトは無し。どっちかがギブアップするまでやる」
「オーケー」
体操服に着替えて爆豪くんと対峙する。
「もっぺん確認しとくが・・・大丈夫なんだろうな」
「体調?万全だよ」
「ふん」
他に誰もいない中、私達は体育祭1回戦を仕切り直した。
「はぁはぁ・・・」
「ふぅー・・・」
結果は私の勝ちだ。
ちょっとひやっとした瞬間もあったが、終始優位は取れていた。
「今日はもう終わりだ」
「そだね」
時計を見ると体感時間よりもずっと過ぎていた。
プライド傷つけられて喚くかと思ったが、爆豪くんは至って冷静だった。
座って水分を取る爆豪くんの隣に私も腰を下ろした。
”今日は”ってことはまた次回があるのだろうか。
「ずっと・・・気になってることがある」
「何?」
「てめぇ、入試の試験会場どこだったんだ」
「え・・・?」
何で入試の話?
私は一瞬聞かれている意味が分からなくて首を傾げた。
「ずっと疑問だった。そんなに強かったら推薦組かと思えばそうじゃねぇ。だが、名字ぐらいの強さがあれば試験会場で目立ってたはずだ」
最近大人しかったのはそんなことを考えていたのか。
注意するべきは轟くんだと思ってた。
だからノーマークの爆豪くんに不意をつかれ、私の背筋に冷や汗が流れた。
「クラスの奴らに聞いたが、名字と試験会場が一緒だった奴が見つからなかった」
「授業は名字だけ当てられる回数が少ないし、当たっても簡単な問題だってことに最近気づいた」
「何者なんだ、お前」
ペットボトルを持つ手が震えた。
爆豪くんの顔が見れない。
燃えるような赤い瞳が怖い。
「たまたまじゃない?試験会場はどこだっけかな・・・忘れちゃった」
「それだけじゃねぇ。実際に戦ってみて分かった。名字の強さは経験から来るもんだ」
逃げられない。
爆豪くんは轟くんと違って天然じゃない。
「誰にも言わないでくれる?」
「ああ」
「じ、実はさ。私皆より年上なんだよね。事故で2年間休学してて・・・。やっと復学できたの」
「事故?」
「う、うん。車に轢かれて打ち所が悪くてさ」
万一の時にと決めていた相澤さんと作った設定を爆豪くんに話した。
「・・・・・・嘘だろ」
これで何とかなると思っていたが甘かった。
爆豪くんはこの嘘も見破ってしまった。
「お前、自分の回復力忘れてんのか」
そうだ!
この設定、私の自己治癒力の高さが露呈する前に作ったものだった。
私は両手で顔を覆った。
「あー!もう・・・」
自分の馬鹿さ加減に辟易した。
まだ学生生活始まったばかりなのに。
爆豪くんにバレたらもうここにはいられなくなっちゃう。
そうしたら相澤さんとも一緒に居られなくなるのかな。
また一人ぼっちになっちゃうのかな。
不安な感情は涙となって頬を伝った。
「おまっ・・・!」
「ぐすん・・・」
「何で泣いてんだよ!」
「だって、学校辞めなくちゃいけない」
「何でそんな話飛躍すんだよ!」
「きっとそうなるもん」
「・・・」
「ヒーローにもなれない・・・」
「だー!!もう!!!」
爆豪くんは私の頭をがしっと掴んだ。
「今はこれ以上聞かねぇ。言いふらすつもりもねぇ。だが、いつか絶対ぇ本当のこと聞き出すからな」
よくわからないが、爆豪くんは引いてくれた。
「・・・意外と女の涙に弱い?いだっ・・・!」
「帰んぞ」
「はーい・・・」
頭を叩かれたけど、ひとまず危機は乗り切ったらしい。
先行く爆豪くんの背中をボーッと見つめた。
